John Coltrane(ss,Ts,comp.) (ジョン・ウイリアム・コルトレーン)
1926/9/23ノースカロライナ州ハムレットの生まれ。40年代にローカル・バンドに参加。フィラデルフィアの音楽学校でJazzを学ぶ。19歳でミュージシャンデビューを果たす。R&B系の楽団やガレスピー、ジョニー・ホッジスらのバップ・バンドを経て55年、マイルス・クインテットに参加。人生においての大きな師を得る。59年までの4年間、セロニアス・モンクと共に活動。その後マイルスの数々の作品に参加。59年、「ジャイアント・ステップス」を発表。多くの注目を集める。60年、コルトレーン・カルテットを結成。「マイ・フェイバリット・シングス」「至上の愛」などの不朽 の名作を世に残す。マッコイ・タイナーエルビン・ジョーンズ、ジミー・ギャリソンらとのカルテットは60年代を代表するグループとして現在尚、不滅の四重奏団と言われ多くの音楽仲間から神格として仰がれる。「シーツ・オブ・サウンド」奏法の開拓者。
マイルス・クインテット参加以降の彼は今までの屈折したエネルギーを爆発させるようにジャズ界きっての一大推進力となる。彼は非常に真面目な性格で、努力家でもあり、また不器用であったが、音楽に傾ける情熱は死の直前までも持ち続けていた人ではなかろうか。または黒人として付きまとう人種差別と人格をも否定される社会現象への叫びを孕み、彼ら自らの意識改革を音楽に反映させていたのではなかろうか。そしてそれは確かに黒人大衆の声を代表する代弁者であり、不可避的なムーブメントを象徴する精神的な支柱ではなかっただろうか。当時巨大な遺産とまで言われた「ジャイアント・ステップス」を生み出した後もこの喧燥と葛藤は音楽を飛び越え自己の内面との闘いへと姿を変えて行く。彼の父は牧師であり宗教的な環境に育ったコルトレーンの葛藤はやがて「神」「愛」「宇宙」といった信仰と結びつき、一層激しい叫びの世界へと入り込んで行く。そして60年代という異様な時代のエネルギーはコルトレーンに完璧を求め、彼のエモーションはもはや誰も止める事が出来ない程膨れ上がっていた。自己の カルテット以後ますます求心的な表現へと疾走を始め、やがてコルトレーンミュージックはアバンギャルド的な性格を帯びるようになる。しかし一方で、従来の伝統的なミュージシャンとの共演も見事な成果を生み、エリントンとの歴史的な出会いはコルトレーンを大いに勇気づけている。それはコルトレーン自身の行って来た事が決して間違いではなく、伝統に根差したもである事を再確認するものでもあった。当時コルトレーンの音楽はフリーイディオムの影響も受けてはいたが、しかしアルバート・アイラーやエリック・ドルフィーオーネット・コールマンといった人達とはどこか異なる内面的問題を含んでいたようにも思える。それは完結と信仰への彼自身のある種の答えであったかも知れない。また、事実、彼の響きはエモーショナルで美しくJazzならではのソフィスティケティドさを兼ね備えていた。それはバラードにもよく表れ、通常のアバンギャルド派とは一線を画するものと言える所以かも知れない。
コルトレーンの音楽は70年代以降もかなりの余波を残しつつ1967年、突然の病に倒れ他界する。マイルスグループから死ぬまでの12年間、そして本当に彼の音楽を完成させ活動した期間は後半の6年間、彼は、ピュアにしてまた精神の研ぎ澄まされた世界で音楽を昇華させ、燃焼し尽くしたのである。そして、このわずか6年間の初めと終わりでは全く別人の音楽といえるほどの開きがあったという。マイルスは参加当初の彼を見てこう言っている。「下手とか巧いとかは問題じゃないんだ。要はどれだけ個性的かって事なんだ。周りが皆なブルージィな事ばかりやっていた時代にあいつだけは違っていた。」
1967/7/17 NYで死去。没後、92年グラミー賞生涯功労賞が授与される。

参考アルバム

「The Giant Steps」「A Love Supreme」「Crescent/J.Contrane Quartet」「My Favorite Things」「Live in Japan Vol.1,2」 J.Coltrane(ts), Pharoah Sanders(ts,as), Alice Coltrane(P), Jimmy Garrison(b), Rashied Ali(ds) 1966/7/11 rec. at Sankei Hall, tokyo.


その他参考アルバム
「KULU SE MAMA」Impuluse MVCZ-61「Coltrane/live at the village vanguard again!」Impulse A-9124「The Avant-Garde/J.Cortrane & D.Cherry」Atlantic AMCY-1003「Bags &Trane」Atlantic SD-1368「TENOR MADNESS」「Johnny Griffin」Blue Note「OM」Impuluse A-9140「The New Wave In Jazz」Impulse A-90「Mating Call」「Kenny Burrell & John Coltrane」


John Coltrane Discography

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