Eric
Dolphy(as,b-cl,fl)
エリック・ドルフィー:1928/6/20カリフォルニア州ロサンジェルスの生まれ。9歳でクラリネットの練習を開始、16歳でサックスを習う。58年ドラマーのチコ・ハミルトン・クインテットに入団ニュー・ポート・ジャズ・フェスティバルの模様を収めた映画「真夏の夜のジャズ」でその存在を知られるようになる。59年ニューヨークに渡りチャールス・ミンガス・グループで活躍。バンド・リーダーでもあるミンガスから多くを学び、後のドルフィー特有のスタイル形成に影響を及ぼす。独立後、自己の音楽を発展させ、60年アイラ・ギトラーの関与によるプレステッジの初吹き込み以降翌年オーネット・コールマン「フリ
ージャズ」、同年コルトレーン・グループに参加、「オレ」「インプレッション」等数多くの名作を残す。その後ヨーロッパ移住を決意、64年ヨーロッパに渡る。1964/06/29 ベルリンで死去。以前より持病であった糖尿病が悪化しての客死。
私はドルフィーの研究家でもなく、また残念な事にドルフィーの完全なアルバム(LP)というのを一枚も持っていない。何故ならドルフィーが世に認められるようになったのは長い下積みの後の30歳を過ぎてからであったし、更に自己のスタイルを確立し注目を集めるようになったのはその後の4年間ほどである。つまりドルフィーのサイドメンとしてのアルバムを含めこのわずか4年の間に殆どの録音が集中しており、サイドメンとしてのレコーディングは多いもののリーダーアルバムはコルトレーンやパーカーより少なく、その殆どは彼の死後に何らかの形で編纂されたCDであるからだ。(勿論、60年代にドルフィーファンであった方々はちゃんとしたLPアルバムを所持している事だろう。)従って私もサイドメンとしてのドルフィーや幾つものアルバムのピックアップ盤からドルフィーを耳にした一人である。こうした私がドルフィーを語る事は非常に正確でないかも知れないし、また年代順に聴いていないのでドルフィーの変遷にも今一つ感情移入が出来ない点は、真のドルフィーファンには多少申し訳ないかも知れない。実際、チコ・ハミルトン時代のドルフィーも、更に多くのミンガ
ス時代の彼も聴いていればもっと違った話が出来たかも知れないと思うからだ。しかし、「もっと聴いていれば良かった」「もっと知りたい」と感じさせる魅力がドルフィーにはあるようだ。
兎に角、数々のアーティストと共演する中で様々な養分を吸収して来たのがドルフィーであったように思う。そしてそれは時には伝統を重視したりパーカーに傾倒するビ・バッパーであったり、彼特有の「馬のいななき」フレーズや前衛であったりもした。またドルフィーの演奏は多くのフリー系ミュージシャンが直接的、或いは間接的にでも西洋音楽の影響を強く受けていたのに比べ、寧ろ土着的で温かいといえる。そんな彼の特徴がよく表れている曲にArthur
herzog,Bille Holiday作の「God Bless The Child」がある。ここでは彼独自の個性と、また伝統からはみ出た、否、形を意識した自由と幻想とでも言うのだろうか、B-Claの美さを垣間見ることが出来る。反面、フルートには深淵なクラッシックの響きを感じ、この人の個性は実に捨て難く、こんな所がマニアに愛される所以であるのかも知れない。コルトレーンとの共演では互いに影響しあい、コルトレーンがよりフリーフォームを目指したのに反し、ドルフィーは以前にもまして伝統的なJazzの要素を吸収して行くのは興味深いものである。今の耳からすればオーソドックッスで当たり前であるドルフィーの演奏だが、当時のアメリカのJazz界はドルフィーの良き理解者とは言い難く、また親友のブッカー・リトルの早すぎた死など、様々な傷心も抱えていた。晩年、ヨーロッパでの永住を決意したのか、または彼の音楽的活動の将来をヨーロッパに託したかったのかミンガスに同行、「音楽は耳に届いた後、空気に溶けて消えて行く」のことばを残して永眠する。36歳と9日。
参考アルバム
「Straight Ahead/Oliver Nelson With E.Dolphy」「E.Dolphy
Berlin Concert」「E.Dolphy/Artistry In Jazz」「Densities And Abstraction」
その他の参考アルバム
「Out There」「Looking Ahead/Ken Mcintyre」「Conversations」「Far
Cry with Booker Little」「Jazz Abstracions」「Iron Man」「AT The Five Spot
Vol1、2」「In Europe Vol.1-3」ベルリンから1週間後の9/6、8両日コペンハーゲンでの演奏。Quartetはデンマークのミュージシャンが共演。「Last
Date」「Free Jazz」「個性と発展」「Ezz-Thetics/George Russell」
参加経歴
Roy Porter's 17 Beboppers | 1949 | Gerald Wilson And His Orchestra | 1950 |
Clifford Brown | 1950 | Chico Hamilton Quintet | 1958 |
Ernie Andrews | 1958 | Sammy Davis Jr., acc.by Sy Oliver Orchestra | 1960 |
Eric Dolphy Quintet | 1960 | Ruth Brown | 1960 |
Charles Mingus and his Orchestra | 1960 | Oliver Nelson Sextet | 1960 |
Ken McIntyre-Eric Dolphy Quintet | 1960 | Charles Mingus Jazz Workshop | 1960 |
Eric Dolphy Quartet | 1960 | Latin Jazz Quintet with Eric Dolphy | 1960 |
John Lewis and his Orchestra | 1960 | Eddie "Lockjaw" Davis with the Big Band | 1960 |
Abbey Lincoln/Jazz Artists'Guild | 1960 | Charles Mingus Jazz Workshop/Jazz Artists'Guild | 1960 |
Gunther Schuller And his Orchestra | 1960 | Ornette Coleman Double Quartet | 1960 |
Latin Jazz Quintet with Eric Dolphy | 1961 | Latin Jazz Quintet with Eric Dolphy | 1961 |
Abbey Lincoln | 1961 | Oliver Nelson Sextet | 1961 |
Oliver Nelson Quintet | 1961 | Booker Little and his Sextet | 1961 |
Ted Curson Quintet | 1961 | George Russell Sextet | 1961 |
John Coltrane and his Orchestra | 1961 | John Coltrane Combo | 1961 |
Ron Cartet Quintet | 1961 | Mal Waldron Sextet | 1961 |
Eric Dolphy-Booker Little Quintet | 1961 | John Coltrane Quintet | 1961-2 |
Max Roach and his Orchestra | 1961 | Rune Carlsson Quartet | 1961 |
Eric Dolphy Group | 1961 | Benny Golson and his Orchestra | 1962 |
Ed Summerlin JazzVespers Service | 1962 | John Lewis /Gary McFarland | 1962 |
Orchestra U.S.A | 1963 | Freddie Hubbard and his Orchestra | 1963 |
Gunther Schller Ensembles | 1963 | Teddy Charles and the All Stars | 1963 |
Gil Evans and his Orchestra | 1963 | Sextet of Orchestra U.S.A | 1963 |
New York Philharmonic Young People's Concert | 1964 | Andrew Hill Sexstet | 1964 |
Hale Smith Septet | 1964 | Kenny Drew Trio with Eric Dolphy | 1964 |
Eric Dolphy with the Misha Mengelberg Trio | 1964 | Eric Dolphy/Donald Byrd | 1964 |