NHK-BS2放送のアニメ「絶対少年」田菜編の舞台『田菜』は、静岡県田方郡函南町丹那地区がモデルになっているようです。
調べたら幾つか確証を得られたので、早速取材に行ってみました。(2005.06.24)
※訪問2回目 (2005.07.17), ※訪問3回目 (2005.08.06), ※訪問4回目 (2005.12.16)
初電で出発、途中に小田急を挟んで乗り継ぎ、目的地の真下を通る丹那トンネルを抜けて、函南着。
丹那地区への路線バスは、赤字の為に2年前に廃止されてしまい、交通手段はタクシーしかありません。
しかしタクシー料金検索で片道2,500〜3,000円なんて出てきてしまうと、利用には抵抗があります。(実際はもう少し安いらしい。)
そこで、歩いてみました。
丁度、奈古谷(なごや)温泉行きのバスがあり、県道11号線にぶつかる平井バス停(函南駅から4つ目)まで乗って、そこから約6kmを徒歩移動。
しかしこの県道11号線(熱函道路)、序盤の急な上り坂に引き続いて緩やかな上り坂の連続,歩道無し,トラックを含めた車の交通量の多さ,スピード違反車だらけ、という悪条件の塊で、徒歩には全く向いていません。危険を感じます。他に歩いてるヤツなんて誰も居ませんでした。
当初は三島駅前の無料レンタサイクルを使えないかと検討しましたが、自転車などとてもじゃないけどお奨め出来ません。
標高差が200mくらいあるし、素直にタクシーを使うか、車の運転が可能ならレンタカーを使うのが無難でしょう。
(※地図中、アルファベットの「O」は欠番。N〜Sは訪問2回目、T〜Uは3回目、V〜Wは4回目のページを参照。)
第5話のAパート、夜景のシーンで登場。函南側から来れば、丹那盆地の入口付近にあります。
かつての路線バスの記念碑バス停が、函南中学校のスクールバス専用として再利用されています。(他のバス停も同様。)
事前にチェックした「酪農王国オラッチェ」(後述)のサイト内に地図と写真があったので、探すのは容易。
平井バス停からここまで、頑張って歩いて1時間かかりました。
これより、盆地の外周道路を時計回りに歩きます。
駐在所の手前に、廃業したらしい店舗跡を発見。
建物自体は違いますが、看板部分や自販機,周辺道路は、劇中の深山商店と似ています。
地図によれば、この辺りが丁度丹那トンネルの真上のようです。
駐在所の先、「酪農王国オラッチェ」のすぐ手前に、赤壁の建物と小さな鳥居(実は牧場の看板跡だそうです)を発見。電柱形状も一致。
火の見やぐらはありません。以前はあったのでしょうか? この向かい側に函南町消防団第二分団があります。 (追記:看板跡は歩道改修で撤去され、電柱も交換済みで形が変わりました。)
幼稚園併設。劇中では『田菜小学校』となっています。このご時世、さすがに中には入れませんね。
基本的に土日も施錠、無断侵入は警察に通報と、丹那小の公式サイトにあった学校だよりにも書かれていました。
外周道路の東側、『お寺さん』こと長光寺に到着。本堂の隣りが墓地で、看板によれば、“分譲中”だそうな。
境内からの盆地の眺めは、劇中ほど良くないです。
ここの写真も、「酪農王国オラッチェ」サイト内で事前確認済み。
外周道路をちょっと逸れて、長光寺の脇の道を熱函道路に向けて登ります。かなりの急坂なので注意。
そして、熱函道路へ出たところにあるのがこれ。劇中で須河原アナウンサーがメシ食ってた御食事処のモデルです。
国交省が公開しているカラー航空写真で似たような赤屋根を発見し、アタリを付けて来てみたら、ビンゴ!
この場所からは木々が邪魔になって盆地を見下ろせないので、少し離れた所から1枚撮影。劇中のアングルとは全然違いますね。
外周道路に戻り、すぐ見えてくるのが畑(はた)公民館。
劇中では『公民館前』となっていた畑公民館バス停も、スクールバス専用化しています。
その他、住民用の貸切バスが週に3日だけ運転されているようですが、一般客が使えるのかどうかは不明。
畑公民館のすぐ南、JA三島函南畑支店の隣りに建つ倉庫らしき建物は、形状が『たなや』に似ています。
ちなみに、この地区にはコンビニが1軒も見当たりませんでした。
JAから丹那断層に向かう途中、左手に、熱函道路へと通じる広い道と並んで、大きな砂防ダムの連なりが見えます。
これは丹那記念碑付近からも遠目に確認出来るでしょう。
函南町の公式サイト(建設課の砂防のページ)に写真と住所が載っており、地図検索サイトでその住所を入力すれば、場所も特定可能です。
丹那断層へのT字路にあります。劇中で『猫ヶ辻』と呼ばれている場所です。
多少のアレンジはありますが、再現度は高い方でしょう。
オープニング映像の1カットは、この写真に似てるかも。
上記 道祖神の角を曲がれば、すぐに到着。水路・ベンチ・あずま屋の位置関係が劇中と違いますね。
何より一番の違いは、あずま屋だと思っていたものが、実際は公衆便所だったことです。
丹那断層は国の天然記念物に指定されており、実際の断層を見られる屋根付き半地下の見学施設もあります。
盆地の中央部にある、地元名主の川口秋平邸跡で、丹那の酪農発祥の地と言われています。
ところが、木々が大量に伐採されて、もはや森とは言い難く、林のレベルにも満たない姿になっていました。
丹那のシンボル的存在でもあるだろうし、是非とも残して欲しかったところですが、このまま消滅してしまいそう……(所有者が変わったらしい)。
劇中で言うところの『頭屋の森』にあるような建物らしき構造物は、今は見られません。
地元自治体・JA・民間が共同で造った観光施設。入場無料(ラビットスクエアのみ有料)。
工房があり、乳製品の手作り体験教室なども行われています。ソフトクリームが濃厚で美味でした。
公式サイト内、「丹那大発見」のページには、今回の訪問に大変役立つ情報が載っており、助かります。
( 公式Webサイト → http://www.oratche.com/ )
手前の屋根形状と窓配置、そしてショップであるという点では、前述の倉庫(?)よりも『たなや』に似ているでしょう。
しかしコンビニと言うにはデカ過ぎ。
「猫おどり」がここで開催されていた時期もあります。
タクシー乗り場の案内板には、函南駅まで概算で2,300円と書かれていました。
川口家の森付近から東側を見上げた様子。山の中腹の所々に見え隠れする横方向のスジが、熱函(ねっかん)道路。
ドライブインきみちへ行くには、あのくらいの高さまで登る必要があるわけです。
丹那盆地南側の山の上に見える別荘地で、定住者も増えているようです。劇中の『エメラルドランド』のモデルと思われます。
そろそろ時間と体力の限界が近付き、丹那盆地を後にします。
発見に至らなかった場所がまだ残されており、これは宿題ということで。
帰りも徒歩で函南駅へ。
もうかなり歩き回って疲労も増し、足が言う事を聞いてくれません。今度は下り坂が続く為、辛うじて前に進んでいる状態。
それでも頑張って、丹那記念碑から平井バス停まで1時間強でした。
しかし接続するバスが無く、ついでだからと、新幹線という地名が付いた場所へ寄り道。足にとっては更なる追い討ち。
函南町新幹線区(正式には「函南町上沢」の一部)の案内板と公民館、そしてバス停2つ。
箱根登山鉄道バスの路線は廃止されたようで、今ここを通るのは伊豆箱根自動車のバスのみ。
延々と歩きっ放しで、既に両足が麻痺状態。
函南駅手前の上り坂がかなり辛く、こりゃもうあかんと、JR経由&グリーン車利用で帰る事にしました。
駅の階段で足が上がらねぇ……。
徒歩往復はお奨め出来ません。
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( by KASHIWA )