第4話〜奪還−登校編〜



「じりりりりりりりりりりりんりりんりりりりりり゛んりんりん!」

あぁうるさい。
僕は目覚ましの頭をひっぱたき、どっかにほおりなげた。
はぁ、もう朝か。学校へ行かなくちゃ・・。 
僕はうつろな頭で夕べの出来事を思い起こした。
不思議な青い石を拾った事、夢とも現実ともつかない事件が起こったこと、叔 父さんが来たこと、特製大盛りマムシ味噌ラ〜メンと引き換えに僕の石が貰われ ていきそうになったこと・・。 
僕は自分の胸に手をやった。ひんやりとした感触。
良かった、ちゃんとあったよ・・。頼むからこのまま気づかずに飛行機に乗っ てくれないかな、みっちゃん・・・。  

僕は約束通り特製大盛りマムシ味噌ラ〜メンを御馳走になった変わりに一度は この石を叔父さんに手渡した。 叔父は石をティッシュにくるんで背広のポケッ トに石をしまった。
僕は叔父が大通りでタクシーを拾って帰るつもりだというので見送るといって ついていった。久々なんだからもう少し居ればいいのに、なんていいながら、の べつくまなくじゃれついて、こらこら男同士でじゃれたって不気味なだけだろう なんて二人で笑いながらね。 
・・・甘いな、みっちゃん。僕だって普段はそんなにじゃれたりしないよ(も ちろん彼女は別だけどねっ)。
酔っぱらいのように絡んだり、カップルの真似してべたついてみたり、「掘り 出し物はないかな〜小銭は無いかな〜」なんて言ってポケットあさってみたりね 。甥思いの叔父としては、可愛い甥っ子が久々にじゃれついてくるものだから嬉 しくてついつい気が緩んだみたいだね、僕はそのすきを狙って石をこっそり別の 物とすり替えたのだ。 そ、早い話が”すり”をしたのさ。

この石は僕の石だ。誰がなんと言おうと。相手が誰だろうと、決して誰にも渡 さない。
この蒼い色を見ていると、こんな気持ちになる。 あの夜の不思議な光りは、 石が発した言葉のような気がした。

”今日からお前が私の主だ・・決してどこにもやらないでおくれ・・”。

僕は制服の下に青い石のペンダントを下げて登校した。僕は同級生の親友ノリ ミチをさっそくこの石を見せびらかした。 
彼はは僕のバンドでボーカルをしている。大のB’zオタクでハスキーボイス目 指して日々喉を燻製加工し続けているのだが、今のところ単なる喫煙少年と化し ている(彼はあくまで喉の「加工」だと主張している)。

「あ、いーなぁ〜〜、高かったろ?」
「いんや、タダだよ。」
「なんで? すっごい綺麗だよ、これ。サファイアかな、違うな〜なんだぁ? 」

僕らは他愛も無い会話をし、それぞれの席に座った。


(SUM)


<PC−VANサークル「カフェテリア」#2170より転載>

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