第3話


雨が屋根のトタンを叩く。
その音は激しさを益してきた。

「姉さん、テレビを消してくれ」

そう言うと叔父さんは改まって僕(和博)の前に向き直った。
冷蔵庫の上の小型テレビを消したキッチンはトタンの音に支配された。
僕の自律神経が少し動揺しているのを感じる。

「何処で見つけたんだい?和ちゃん。」

叔父さんは笑っている。
僕(和博)は一瞬自分の部屋で起こった不可思議な事を思い返した。
此の石。 光る石。 一体なんなのだろう。
僕は尋ねた。 場を明るくしようと、わざと陽気に。

「へへ〜綺麗だろ〜。それ、なんて石かなぁ。」

叔父さんの顔つきが変わった。

「どうでもいい!此れを何処で手にいれたのだと聞いて居るんだ!」

此処には叔父さんと母さんと僕。
その後一瞬、キッチンに居合わせる3人が同じ表情をした。
驚いた顔を一番先に綻ばせたのは叔父さんだった。

「すまない。和ちゃん。」

僕は聞かないで居た。叔父さんが怒鳴った本当の理由を。
その事で僕は後々後悔することになるなんて、その時は思いもよらなかった。

3人は居間に移って談笑している内に、父さんが帰ってきた。
その後お互い石の事に触れた話はしなかった。 しないほうが良いと思ったか ら。 母さんもなぜか意に関しない。
ただ、1時間後叔父さんが帰るときに、

「この石を貰えないか」

と言われたときは、さっきの事を聞こうかと思ったけど・・・。

「頼むよ和ちゃん。今度ラ〜メン奢るからさ。」

こうして僕が拾った綺麗で不思議な石は、ラ〜メン「毒蝮」の特製大盛りマム シ味噌ラ〜メンと引き換えに叔父さんに貰われていった。

・・・はずだった。


(ねこかず)


<PC−VANサークル「カフェテリア」#2160より転載>

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