第2話〜ナサ研究所の叔父さん登場〜
暗闇のなかから声が、
「和博、みっちゃんが来たよ。」
頭が割れるように痛い、どうしたんだろう。思い出させない 、、いつベッド
の上に横たわったんだろう。
「ちょっとまって、着替えていくから」
しばらく窓の外を眺めているうち、先程の頭の痛みがだいぶやわらいだ。みっ
ちゃんとは母の一番下の弟で、京都大学の院生として地質学の研究をしていると
き、教授から気にいられナサの研究所の研究員として推薦され、現在某プロジェ
クトの責任者だそうである。 母の自慢の弟であり、叔父がどんなに苦労して大
学入ったかをいつも聞かされていたので、大学の受験勉強もそれほど苦にはなら
なかった。叔父は背が高くスラットしていて好男子なのだが、どうゆうわけか未
だ独身である。 とってもユーモアにとんだ話し方で思いやりがあり、受験の数
日前にはわざわざ国際電話で励ましてくれた。 今回、日本にかえってきたのは
、休暇とのことだが実家にもほとんど帰らず、祖母が心配して、母に愚痴をこぼ
していた 。
さっきの出来事はなんだったんだろう。
ふとペンダントにした石のことが気になり、電灯をつけペンダンを探した。そ
れは床に落ちていたが、ベッドよりかなり離れていた。不思議だと思った。でも
石のこと叔父に聞いてみようかと思いつき、ペンダントを握ってそそくさと部屋
をでて、階段を降りていった。炊事場で母と語らっている叔父に向かって、
「道雄叔父さん、いらっしゃい。」
と息を弾ませて挨拶をした。
「や、和ちゃんお邪魔してますよ、今姉さんから叱られてたところですよ。
和ちゃん応援してよ。」
と照れくさそうに私に話かけてきました。それとなく母の顔をみるとすこし興
奮しているようだった。
「それは、可笑しいね、僕といる時はいつも叔父さんのこと自慢してるのに」
母は気を取り直したように、
「和博、お父さん何時帰るの?」
まったく、誰の夫なんだ(笑)と思いつつ。最近、父は残業が続いており、会
社に泊まることがある。
「じゃ、電話してみる、あそれと道雄おじさん、これなんて石なの?」
とペンダントをわたして電話のところへ行こうとした。叔父がペンダントを受
け取ると一瞬表情が固くなった。そして、自分を落ち着かせるように静かに、
「和ちゃん、この石どこで見つけたの?」
考えて見れば、こんな遅くに叔父が来たのも不思議だ。
(麗兄)
<PC−VANサークル「カフェテリア」#2106より転載>
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