目次
[MUSICA MUNDANA No.70] 2006年11月30日 発行

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 「MUSICA MUNDANA No.70」をお届けします。

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           MUSICA MUNDANA NO.70
             Nov.30.2006
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             ◆ 目次 ◆

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 ◎ 音楽史
    ◆ペロティヌスのオルガヌム◆
 ◎ 数学史
    ◆バグダード◆
 ◎ Homepage Updated (Nov.25.2006)
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 ◎ 随想
 ◎ あとがき
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━━[音楽史] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆ペロティヌスのオルガヌム◆

 オルガヌム大曲集のドゥプルムが最も初期の2声のハーモニーを見せて
くれるのと同様、トリプルムとクァドルプルムもまた、最も初期の段階の
三声及び四声のハーモニーを私たちに見せてくれます。

 ペロティヌスの大クァドルプルムは、その資料だけでなく、規模の大き
さでも新しいものです。--単旋律聖歌の音は、実際、しばしば音楽の構成
の上での単なる基盤(土台)にされてしまっています。加えられたパート
が、たとえ、聖なる対象物、神によってインスピレーションを与えられた
「グレゴリオ聖歌」の旋律の単なる装飾にすぎないという理論があるとし
ても、その装飾そのものが、いっそう巧みに構成されました。

 ペロティヌスの二つの大クァドルプルムは、「大曲集(Magnus liber)」
に彼が寄与したうちで最も立派で印象的な部分にすぎません。Anonymous
IVは、ペロティヌスは「多くのクラウスラあるいはプンクトゥム」や三声、
二声、また「単声」のコンドゥクトゥスを作曲したと語っています。

 コンドゥクトゥスは、「正しくは、エスコートのための歌、特に儀式で
の行列のための歌を意味します。そのための儀式は、司教職の人が典礼の
儀式を行う途中あちこち移動するときに必ず、典礼に現れる」のですが、
それが「一般に、韻文形式のテキストを伴った歌を意味する」ようになり
ます。それは、典礼の中で、特定の儀式への、あるいは、礼拝の終わりに
先立つ変わり目(transition)として利用されました。

 「ノートル・ダム」の時代までには、それは世俗の曲でも用いられるよ
うになっていました。詩も音楽もともに、自由に作られストロフィックで
ありました。コンドゥクトゥスは、初め、1100年頃の「聖マルティアリス
(マルシャル)」の写本群に現れ、すぐにポリフォニー的になります。

 ペロティヌスは、明らかに「Dum sigillum」の二つのパートを同時に作
曲したのですが、下のパートは--あるいは、むしろ最も下に「書かれた」
パート--は、全体的に、最初に構想を得たでしょう。構想を得たか借用し
たでしょう。というのは、多くの場合、基本的なパート、すなわち、モノ
ディ的なコンドゥクトゥスの唯一のパートは、フランスやプロヴァンスの
宮廷歌や民衆の歌のラテン語のコントラファクタ(翻案)であり、ラテン
語の詩の多く(ペロティヌスの「単声のコンドゥクトゥス」「Beata
viscera」を含む)は、すでに言及したパリの大法官(Chancellor)、フィ
リップ(Philippe)の作品であったからです。

 加えられたパートは、本質的に、一音対一音のものです。しばしば、若
干装飾が施されたり、音節的なパッセージ - その時代の伝統として、ま
た恐らくモーダル・リズムで歌われたことを意味するのでしょうが、主と
してロンガで記譜されていますが - は、時折、メリスマ的なパッセージと
交互になっていることもあります。そのメリスマ的なパッセージというの
は、引き延ばされたり、テキストがない場合は Anonymous IVがカウダ
(caudae)と呼んでいるものです。

━━[数学史] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆バグダード◆

 イスラムの隆盛の下、数学が最も奨励されたのは、チグリス川のほとり
にあるバグダードでした。古代都市の廃墟の上に、アッバース朝のカリフ、
アッバスの子孫の一人、アル・マンスール(al-Mansur)(712-744/5)によっ
て建てられたバグダードは、イスラム世界の知的中心となり、学問の繁栄
において、第二のアレクサンドリアとなります。

 アル・マンスールの統治下(766年頃)、シンドヒント (Sindhint)という
名の著作が、カンカ(Kankah)(マンカ?(Mankah?)というヒンドゥーの天
文学者で数学者であるインドの学者によって、彼の宮廷にもたらされたと
言われています。その著作は、こうしてバグダードの学者たちに知られる
ようになりました。この著作は、スーリヤ・シッダーンタであったかも知
れませんし、シッダーンタという題名の何か別の書物であったかも知れま
せん。シッダーンタという言葉は、それが意味すると思われる他のどの言
葉よりもシンドヒントに近いからです。一般には、それはブラフマグプタ
のブラフマシッダーンタ(Brahmasiddanta)であったと信じられています。
というのも、彼の著作が当時のバグダードにもたらされたことがわかって
いるからです。

 カリフの宮廷に、そのように物語の中に書かれているのですが、ヤクブ
・イブン・タリク(Yaqub ibn Tariq)(796年没)という名のペルシア人も来
ていました。彼は、天球(数学的天文学)と暦について著作し(775年)、
校訂し、恐らく上述のブラフマグプタの著作を翻訳するのを手伝っただろ
うと言われています。

 同じ宮廷に、(この事実の記録は、幾分より信頼できるのですが)天文
学者アブ・ヤフヤ(Abu Yahya)が来て、そこで、彼はプトレマイオスのテ
トラビブロス(Tetrabibilos)を翻訳し、こうしてギリシア哲学の古典をカ
リフの宮廷に伝えることになる大きな運動を起こす手助けをしました。

 同じ頃、アル・ファザリ(al-Fazari)(777年没)は、バグダードで仕事を
し、占星術と暦について著述しています。彼は、知られる限り、アストロ
ラーベを制作し、数学的器具について著述した最初のムスリムでした。彼
の有名な同時代人、イェーベル(Jeber)は、アラビア人最大の錬金術師で
あり、アストロラーベについて、また、恐らく数学についても著述したで
しょう。

 すでに述べたアル・ファザリの息子である、もう一人のアル・ファザリ
は、特に天文学の分野で非凡な学識ある人物ですが、カリフによって、カ
ンカ(Kankah)によってバグダードにもたらされたシッダーンタを翻訳する
ように求められました。モハメド・イブン・ムーサ・アル・コワリズミ
(フワリズミ)(825年頃)が彼の天文学の基盤にしたのは、この翻訳でし
た。

━━[随想]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆零の歴史(その3)◆
http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/history/HistTopics/Zero.html

 このことから、私たちは、空の場所を示す零の初期の用法は、本当は数
としての零の用法ではまったくなく、単なる数字を正しく解釈するための
あるタイプの句読点記号の用法に過ぎないことが分かります。

 ところで、古代ギリシア人たちは、バビロニア数学で、空の場所を示す
記号として零を使用していた時代の頃、数学に貢献を始めました。しかし、
ギリシア人は、位取り記数法の体系を採用しませんでした。この事実がい
かに深い意味を持つものか考えてみるだけの価値はあるでしょう。ギリシ
ア人の輝かしい数学の発展の中で、どうしてバビロニアの位取り記数法が
持つあらゆる有利さにもかかわらずその数体系を採用することができなか
ったのか。この問いへの本当の答えは、私たちがまさにこれから与えよう
とする単純な答えより微妙ですが、基本的には、ギリシア数学の達成は、
幾何学に基づいていたということです。ユークリッドの幾何学原論には、
数の理論についての巻も含まれていますが、それは幾何学に基づくもので
す。言い換えるなら、ギリシアの数学者たちは、直線の長さとして数を用
いていたので、数を名付ける必要はなかったのです。記録のために数字の
名前が要求されたのは、数学者ではなく、商人で、彼らによって用いられ
ました。それで、それ以上優れた記数法は必要とされなかったのです。

 さて、今、私たちが言ったばかりのことに例外があります。その例外と
は、天文学のデータを記録していた数学者たちです。ここでは、今日、零
の記数法として認められる象徴記号の最初の用法を見出します。というの
は、ギリシアの天文学者たちが、記号0を用い始めたのです。なぜこの特
別な記数法が用いられたのか多くの理論(説明)がありました。それは何
もないことを表すギリシア語の単語 "ouden"の最初の文字オミクロン(Ο)
であるという説明を好む歴史家がいます。しかし、ノイゲバウアーは、ギ
リシア人は、すでにオミクロンを数字として使っていたことから - それ
は70を表します(ギリシアの数体系はアルファベットに基づいています)
- この説明を退けます。それは "obol" - ほとんど価値のないコイン -
の意味で、砂の計算板(盤)で数えるのにカウンターを使ったときに生じた
事実によるとする別の説明もあります。ここで示しているのは、カウンタ
ーが空の空間(位)になるよう取り除けられると、砂に0のように見える
窪みが残るということです。

━━[催し物情報]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 第5回天狗久まつり
  日時:12月3日(日)13時〜
  場所:徳島市 国府コミュニティセンター
  料金:無料
  問い合わせ先: 徳島市教育委員会社会教育課 
  088−621−5419 
 幕末から明治にかけて活躍した阿波木偶(でこ)人形師・初代天狗久
(てんぐひさ)(天狗屋久吉)を偲ぶ祭り。まず人形師人形恒(つね)
(田村恒夫氏)による講演「人形師天狗久とその後継者たち」が行われま
す。続く阿波人形浄瑠璃公演(寄井座)では『傾城(けいせい)阿波の鳴
門』など有名な外題が演じられ、天狗久入魂の木偶が舞います。この機会
に、阿波の伝統芸能を堪能してはいかがでしょうか。

 徳島県立博物館の催し物情報は、以下のサイトをご覧ください。
      http://www.museum.comet.go.jp/

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 知人が発行しているメルマガです。興味関心のある方はどうぞ。
  「知」とIT/ビジネスへのTIPS
  金融と経済/「人生」のボスに、 自分がなる為のAtoZ
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━━[Homepage Updated]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ホームページ update情報

 落書き帖第186号
 Plato "The Republic" を読もう
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 各国語で聖書を読む
       http://hpcgi1.nifty.com/m-souda/bbs6/wforum.cgi
 ロシア語初級コースのテキストを読む
       http://hpcgi1.nifty.com/m-souda/bbs4/wforum.cgi

 MySouda--惣田正明のホームページ
        http://www2m.biglobe.ne.jp/~m-souda/mysouda/
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   http://homepage1.nifty.com/m-souda/ (Japanese)
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  http://www2m.biglobe.ne.jp/~m-souda/mysouda/aihara/index.html

 [MUSICA MUNDANA]Doblog版 
        http://www.doblog.com/weblog/myblog/3403

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重くて仕方のない方は、[SIMPLE版]をご覧ください。

━━[あとがき]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 早いもので、明日から12月ですね。まだ、こちらでは、寒さはそれほ
どでもありませんが、すでに寒くなっているところもあるのでしょうか。

 今日、田んぼでレンゲが花を咲かせているのに気がつきました。このと
ころの暖かさで、少々時期を間違えたのでしょうか。ほんのわずかに2つ
ほど咲いていただけですが、奇妙な感覚にとらわれたことでした。

 ではでは。

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