目次
[MUSICA MUNDANA No.69] 2006年10月30日 発行

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 「MUSICA MUNDANA No.69」をお届けします。

 [MUSICA MUNDANA]の情報は惣田正明のホームページに載せてあります。
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           MUSICA MUNDANA NO.69
             Oct.30.2006
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             ◆ 目次 ◆

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 ◎ 音楽史
    ◆オルガヌム大曲集◆
 ◎ 数学史
    ◆メソポタミアのキリスト教学者 - セボフト◆
 ◎ Homepage Updated (Oct.25.2006)
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 ◎ 随想
 ◎ あとがき
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━━[音楽史] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆オルガヌム大曲集◆

 ところで、私たちは、「オルガヌム大曲集(the Magnus liber organi)」
そのものを4部持っています。残念なことですが、オリジナルと言えるも
のは、一つもありませんが。

   Wolfenbuettel,Herzogl.Bibl.677, 一般に W1として知られる。
   Florence,Bibl.Laur.,plut.xxix,I, 一般に Fとして知られる。
   Madrid,Bibl.Nac.20486.
   Wolfenbuettel,Herzogl.Bibl.1206, すなわち W2.

 最も重要なものは、W1と Fです。最も古い写本ではないのですが W1は、
1163-82年のもとの形に最も近いレオニヌスの「大曲集(Magnus liber)」
を私たちに見せてくれるように思えます。それには、聖務日課とミサのた
めのアンティフォナリー(交唱聖歌集)とグラドゥアーレのためのニ声の
オルガヌムの唱和句(responds)、それに、恐らく Anonymous IV がペロテ
ィヌスのものといった「Alleluia:Nativitas」を含むいくつかの三声のオ
ルガヌム、そして、疑いなく彼のもので、それぞれ 1198年と1199年に確
実に年代付けられる四声の「Viderunt」と「Sederunt」が含まれています。
W1は、イギリスで、恐らく、ウィンチェスターかイーリー(Ely)で編纂さ
れたことは、ほぼ確実でしょう。

恐らくイギリス起源でしょうが、500枚にも及ぶすばらしいフィレンツェ
の写本(F)の中で、「大曲集(Magnus liber)」(かなり増えてはいますが)
は82枚を占めているに過ぎません。スペインの写本は誤り伝えられてい
ますし、W2は、Fと共通している曲があまりに多くあります。これら4つ
の写本が、「大曲集(Magnus liber)」の一部を伝える唯一の写本ではあり
ませんし、それらが12世紀後半から保存されているポリフォニーのすべ
てを含んでいるわけでもありません。いくつかは、ボヴェ(Beauvais)やサ
ンス(Sens)に起源のあるものもあります。しかし、その重要性は、他のす
べてのものが周縁的なものに過ぎないとみなさなければならないほど、パ
リでは中心的地位を確立しているのです。

 モーダル・リズムの例のほとんどは、実際にどんなリズムであったのか
それほど明瞭ではありません。書かれている記譜は、いろいろな別の読み
方が可能なのです。実際のところ、モーダル・リズムの解釈は、現代では、
針の先端の角度の計算と同じ位異論の多いことであること(非常に議論の
余地があること)が証明されています。しかし、中世の間だけでなく、そ
の後何世紀もの間、唯一の「正しい」演奏方法といった概念は、まだ存在
しませんでした。絶対に認められないという方法ではなく、認められうる
いくつかの方法の一つの選択であったのです。ガルダンディアは、そのよ
うに、ペロティヌスのクァドルプルムでの楽器の使用についてさりげなく
言及しています。--時折、各パートが人間の声では高すぎたり低すぎたり
することがある。--しかし、それがどのようなことであったのか、ヒント
は与えられていません。

━━[数学史] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆メソポタミアのキリスト教学者 - セボフト◆

 イスラムの勢力の勃興の時代、やがてはアラビア人によって支配される
地域には、キリスト教の学問の中心がありました。こうしたものは、近東
全体に散在していた修道院に見いだせるでしょう。こうした隠遁所で教え
た学者の中で、7世紀最も学識ある人は、セウェルス・セボフト(Severus
Sebokht)です。彼は、司教アタナシウス・ガンマラ(Athanasius Gammala)
(631年没)と彼の後継者ヨハネ(John)の時代、ユーフラテス川のほとりに
あるケンネシュレ(Kenneshre)の修道院に住んでいた名義司教(titular
bishop)でした。

彼は、哲学、数学、神学の研究で秀でていて、彼の時代、ケンネシュレの
修道院は、ギリシア学について西シリアで主要な地位を占めるようになっ
ていました。彼は、天文学、アストロラーベ、そして地理学について著作
しています。662年に年代付けられる、私たちに(現代に)まで伝わって
いる彼の著作の断片の一つで、彼はヒンドゥーの数詞に直接触れています。
彼は、シリア人を見下すあるギリシア人学者たちの横柄さに傷付けられた
ように思えます。そして、シリア人を擁護して、彼らのために天文学の発
明を(自分たちのものだと)主張します。

彼は、ギリシア人はバビロンのカルデア人の単なる弟子にすぎない事実を
述べ、この同じカルデア人が、敵対者(ギリシア人)の非難するまさにそ
のシリア人であったと主張するのです。彼は、学問は普遍的なものであり、
それを探究する努(労)力を惜しまないいかなる国、いかなる個人にも得
られるものであるといって議論を終えます。つまり、彼にとっては、学問
は、ギリシア人の独占物ではなく、国際的なものなのです。

彼(セボフト)が、次のような言葉でヒンドゥーについて説明をしながら
語っているのはこうした関連からです。

「シリア人とは同じでない民族のヒンドゥーの学問について、どんな議論
ももう止めることにしよう。彼らの天文学というこの学問における難解な
発見、ギリシア人やバビロニア人の発見よりも独創的な発見、彼らの価値
ある計算法などのことは。彼らの計算は言語を絶する。この計算は、9つ
の記号だけでなされるとだけ言っておこう。ギリシア語を話すだけで、彼
らが学問の極致に達したと信じている人が、万一これらのことを知ったな
ら、彼らは相当の学問を知っている人たちが他にもいることを確信するだ
ろう。」

━━[随想]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆零の歴史(その2)◆
http://www-history.mcs.st-andrews.ac.uk/history/HistTopics/Zero.html

 人は、位取り記数法がかつて存在するようになったとき、空(数のない)
の場所を示す記号として0はなくてはならない必要な考えであったと思う
かもしれません。しかし、バビロニア人たちは、この数字を用いずに位取
り記数法を1000年以上にわたって用いてきました。さらに、バビロニア人
が何か曖昧さで問題があったと感じた証拠も絶対的に何一つありません。
驚くべきことに、オリジナルの数学のテキストが、バビロニアの時代から
残っています。バビロニア人は、焼いていない粘土板にクサビ形文字を用
いて書きました。文字は軟らかな粘土板に木筆の先を斜めにして押し付け
て書かれたので、くさび形をしていました(それでクサビ形文字という名
がついたのです)。紀元前1700年頃の多くの粘土板が現存しており、私た
ちはオリジナルのテキストを読むことができます。もちろん、彼らの記数
法は、私たちのものとはまったく異なっていて(10に基づくのではなく
60に基づいています)、現代の我々の記数法に書き換えると、2106と
216の区別がつかないでしょう(文脈でどちらを意図しているのか示さなけ
ればならないのですが)。バビロニア人が二つのクサビ形文字を、 216あ
るいは 21''6のように、私たちが零を置いてどちらのことなのか示すよう
に、クサビ形文字を置くようになるのは、紀元前400年頃になってから
のことです。

しかし、2つのクサビ形文字が使われた唯一の記数法ではなく、今日イ
ラク南中部にあたるバビロンの東に位置する古代メソポタミアの都市キシ
ュで発見された粘土板には、異なる記数法が使われています。この粘土板
は、日付から紀元前700年頃と考えられているのですが、3つの鈎を使
って位取り記数法の空の場所を示しています。同じ頃の年代の他の粘土板
は、空の場所に鈎は1つだけしか使っていません。空の位置を示す異なる
この印の用い方には、共通の1つの特徴があります。それは、数字の最後
には決してこなくて、常に2つの数字の間あるという事実です。つまり、
21''6というのは見つかっていますが、216''というのは決して見つからな
いということです。これらの場合には、まだいずれを意図するのか示すの
に、文脈で十分であったというより古い感覚を確認しなければならないで
しょう。

この文脈への言及がばかげているように思えるなら、私たちは、今日で
もまだ、数を理解するのに文脈を使っていることに気づく必要(価値)があ
るでしょう。もし、私が 近くの町までバスに乗っていくことになり、運
賃がいくらか尋ねるとするなら、「スリー・フィフティ」という答えは、
3ポンド50ペンスであることが分かります。さらに、その同じ答えが、
エジンバラからニューヨークへの航空運賃についての問いに対してなされ
たのなら、それが350ポンドであることを知っているでしょう。

━━[催し物情報]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ●犬飼農村舞台 阿波人形浄瑠璃公演 
  日時:11月3日(金)11時〜
  場所:徳島市八多町 五王神社  料金:無料
  問い合わせ先: 徳島市教育委員会 088−621−5419

   毎年文化の日に開催されている伝統芸能・農村舞台公演。当日は勝浦座
 による人形浄瑠璃の上演が行われるほか、132枚の襖(ふすま)を使
 って42景を表現するカラクリも観覧することができます。国指定文化
 財となっている農村舞台、市指定文化財の襖カラクリを、この機会にぜ
 ひご覧ください。

 徳島県立博物館の催し物情報は、以下のサイトをご覧ください。
      http://www.museum.comet.go.jp/

━━[メルマガ紹介]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 知人が発行しているメルマガです。興味関心のある方はどうぞ。

  「知」とIT/ビジネスへのTIPS
  金融と経済/「人生」のボスに、 自分がなる為のAtoZ
 URL http://kinyuu-literacy.hp.infoseek.co.jp/

━━[Homepage Updated]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ホームページ update情報

 落書き帖第185号
 Plato "The Republic" を読もう
   http://www2m.biglobe.ne.jp/~m-souda/cgi-bin/plato/wforum.cgi
 各国語で聖書を読む
       http://hpcgi1.nifty.com/m-souda/bbs6/wforum.cgi
 ロシア語初級コースのテキストを読む
       http://hpcgi1.nifty.com/m-souda/bbs4/wforum.cgi

 MySouda--惣田正明のホームページ
        http://www2m.biglobe.ne.jp/~m-souda/mysouda/
 TeleScope WebPage--MySouda Information Page
   http://www2m.biglobe.ne.jp/~m-souda/index.html (English)
   http://homepage1.nifty.com/m-souda/ (Japanese)
   http://www004.upp.so-net.ne.jp/mysouda/ (Japanese)
 AIHARA Hiroaki's Page (English)
  http://www2m.biglobe.ne.jp/~m-souda/mysouda/aihara/index.html

 [MUSICA MUNDANA]Doblog版 
        http://www.doblog.com/weblog/myblog/3403

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重くて仕方のない方は、[SIMPLE版]をご覧ください。

━━[あとがき]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 10月もあと1日になりました。皆さんいかがお過ごしですか。

 朝晩は随分と寒くなったように思いますが、日中は20度を超える日々
がまだ続いています。平年よりは少し暖かいというか暑い感じでしょうか。

 ところで、つい最近 Mixiの招待状を頂きまして、やっと、私も、噂(話
題)の Mixiに登録参加することができました。随分遅いですが。音楽史や
数学史のコミュニティに早速参加してみました。

 数学史のコミュニティでは、MySoudaの数学史のページが紹介されてい
たのには少々驚きました。私のホームページも多少はお役に立てているみ
たいで正直嬉しかったですね。発言は、まだ遠慮申し上げてはおりますが、
ニックネームは、MySoudaですのでよろしく。

 ではでは。

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