48章 2匹の男


ぷりん、あづき、マユの3匹は、脱出用ポートに向かって走っていた。
「待って!」マユが立ち止まった。「ねぇ、何か聞こえる。歌声よ!たくさんのフェレが歌ってる。」
ぷりんとあずきも耳を澄ませた。
「ホントだ。大きな大きな屁を出そう、って歌ってる。」あずきが言った。
「屁じゃなくて木。大きな木を植えよう、っていう歌詞なの。惑星ジパンの開拓者達が歌っていたと言われる、とっても古い歌なの。」マユは顔を輝かせた。「新しい時代が始まったんだわ。クーデターが 成功したのよ!!」
「じゃあ、後はダークマスクを倒すだけね。急ぎましょう。」ぷりんは走り始めた。
「ぷりん! 今来た道を戻ってどうするの!?」マユがぷりんの背中に向かって叫んだ。

脱出用ポートの脱出用シャトルのコクピットでは、ダークマスクことココロナキ星人が、Cooとムウに挟まれて立っていた。
ココロナキ星人は、Cooの顔に見覚えがあることに気がついた。
「Cooとか言ったな。オレはおまえを知っている。」
「オレもあんたを知っている。」Cooはニヤリと笑った。
「オレもCooを知っている。」ムウもニヤリと笑った。「ヤツはモンキーダンスの使い手だ。」
「おまえは、捕虜救出作戦を指揮していた忌ま忌ましいヤロウだったな。」ココロナキ星人は顔をゆがめた。
「ああ。そしてあんたは、その作戦でオレが捕まっちまってぶちこまれた別の捕虜収容所の所長だった。」Cooも顔をゆがめた。
「あんたのダンスの時の腰の動きは、フラダンスをアレンジしたものだったな。」Cooに向かってムウはそう言うと顔をゆがめた。
「ムウちゃん。」Cooが静かに言った。
「なんだい? Cooちゃん。」
「話を混乱させないでくれ。」
「了解だ。あんたの好きにやるといい。」

「とにかくだ。ここで旧友が再会したわけだ。」ココロナキ星人は、両手を広げて肩をすくめた。
「あんたのような下劣なヤロウを友だちに持った覚えはない。」 Cooは、ペッと唾をココロナキ星人の足にかけようとして外した。
Cooはムキになって再度チャレンジしたが、今度もココロナキ星人が足を引っ込めたので外した。
後ろから、ムウが唾をココロナキ星人の足に命中させた。
「あんたのカタキはとったよ。」ムウは言った。
「ムウちゃんは手出しをするな。ヤツはオレが仕留める。」
「了解だ。オレは外に居る。用があったら呼んでくれ。」 ムウは、コクピットから出ていこうとして、ふと立ち止まった。
「Cooちゃん、ヤツに目の物もらいを見せてやれ。」ムウはパンチのポーズをとった。
「ムウちゃん、目に物をみせてやれ、じゃないのか?」
「どっちでも結果は変わりはしない。」ムウはフッと笑うと、コクピットからモケモケと後ずさりをしながら出ていった。

ムウが機外に出ると、ぷりん達がちょうど走ってきたところだった。
「アイツは?」あづきはムウに気がつくと息を弾ませながら言った。
「このシャトルのコクピットさ。」
「大変! 逃げちゃう!!」マユが叫んだ。
「大丈夫さ。中で真の勇気を持った男がヤツをブチのめしている。」
「誰なの?」ぷりんが言った。
「君たちのよく知ってる男さ。」
その時、コクピットへのタラップをココロナキ星人が転がり落ちてきた。その後を拳を撫でながらゆっくりとした足取りで降りてくるフェレの姿を見たぷりんとあづきは思わず叫んだ。
「お兄ちゃん!!」
Cooはその声に驚いて階段を踏み外して転がり落ち、ぷりんとあづきの前で情けない姿で転がった。


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