43章 作戦再開


マロン達が股間を押さえて見守る中、去勢ミサイルが発射された。
「あかん!」マロンは、慌てて源さんを無線で呼び出した。「源さん、たった今発射された物騒な物が見えるか?」
すぐに源さんの声が返ってきた。
「ああ。なんだいありゃ?」
「なんでも、男の証が落ちてしまうようなミサイルらしい。」
「男の証って、なんだい?」
マロンはオノエリに無線機を渡して言った。「こいつにハッキリとした発音で言ってやってくれ。」
「嫌」
「何を恥ずかしがってるんや、大事なことやで!」
「リーダー」うにが、リーダーの肩をつついた。「なんか楽しんでません?」
「あ、あほ!」マロンは狼狽してオノエリから無線機を取った。「とにかくヤバイ物のようやで。弾頭を破壊しないように撃墜できるか?」
「撃墜したら何かうまい物を食わせてくれる?」
「ええで。」
「よっしゃ!!」
源さんはムラザック編隊に向かって指示を出した。「発射されたミサイルを撃墜する。以降の指揮はうに吉に任せる。」
「了解。」うに吉が応じた。
「ミクレの3匹はオレのサポートに来てくれ。」
源さん、ミー、クー、レイの4機のムラザックは、既に宇宙空間に飛び出した去勢ミサイルを追って急上昇していった。

議事堂上空では、テツの指揮する10機のムラザックが地上攻撃を開始していた。
あタロウ達を足止めしていた銃撃は次第に弱まっていった。
Coo中佐の率いる特殊部隊を乗せた4機のケンネルキャブが、議事堂上空に到着した。
ケンエルキャブの到着を見たあタロウは命令を出した。
「よおし! 芝生を確保するぞ! 前進!! 前進!!」
その声に反応してグリーンチームは、背中を丸めて芝生に向かって全速力で走った。
「ケンネルキャブを無傷で着陸させるんだ!!」先頭を走るあタロウが叫んだ。
グリーンチームのメンバーは、それぞれに奇声を上げた。

議事堂の最上階のペントハウスの窓からケンネルキャブが全機とも無事に着陸したことを確認したぷりんとあづきは、逃げたダークマスクを追うことにした。
部屋を飛び出した2匹は、すぐに迷子になった。
「こっちよ!」マユの声がした。マユは2匹の後を追ってきたのだった。「こっちに行くと、緊急脱出ポートがあるの。ヤツはきっとそっちに向かったわ。」
走り出したマユの後を、ぷりんとあづきは続いた。

ブルーチームを乗せた3機の垂直離着機8in1は、既に予定地点に到達していた。ここで、ゼンジのチームが乗る1番機はテレビ局、ニマメのチームの2番機はラジオ局、健太のチームの3番機は新聞社のそれぞれの建物の屋上に向かって急速垂直降下を始めた。
3つに分かれて屋上に着陸したブルーチームは、着陸後に速やかに機外に飛び出し、それぞれのマスメディアの制圧を開始した。
ゼンジとニマメと健太の手には、新政府樹立宣言のメッセージディスクがしっかりと握られていた。

ジパン連邦国際空港の端では、ポッチョ全権大使一行を乗せてきた特別機スッキッパーが静かに羽を休めていた。
そのコクピットでは、すっかり存在を忘れられていた機長のルンタと副機長のツムジがいじけていた。
「ふん! どうせオレはうなじだい!!」ツムジは、そう言い捨てると、床に転がっていたキャットボールを蹴った。
「まあそう腐るな。」ルンタは、ツムジの肩を叩いた。「ところで、そのボール、気に入らないならオレにくれる?」


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