40章 救援


マロンのハンディトーキーにあタロウの声が飛び込んできた。
「グリーンチームだ。まずいことになった。激しい攻撃を受けている。」
マロンが応じた。「すまん。ジョセフィーヌとかいうヤツが通報したんや。」
「誤!! 我 叫 小野英里。」
「今の状況はどないや?」
「オレ達は、議事堂の芝生に近づけないでいる。囲まれている。芝生に面した建物からの集中的な攻撃を受けている。」
「被害は?」
「今のところ、アカメがうんこ漏らしたぐらいだ。このままだと、全滅するぞ!」
「それは、全員うんこ漏らすという意味か?」
「ちがうわい!!」
「すぐに救援を出す。持ちこたえられそうか?」
「ああ。頭を低くしてとぐろを巻いているよ。」
マロンはチャンネルを変えた。「テツ、大変なことになった。」

ジパン連邦空軍基地の上空を威嚇飛行をしているテツは、マロンからの交信を受信した。
「どうしたんだ? まだ指令室が占拠できないのか?」
「指令室は占拠した。あタロウ達が危ない。」
マロンは状況をかいつまんで話した。
「了解した。半分を残して至急議事堂に向かう。グリーンチームを援護する。」
「頼むで! 特殊部隊のケンネルキャブは、議事堂に向かったのか?」
「いや、ここを撤収中だ。もう少しで離陸する。」
「急がせてくれ。」
「急いでいるよ。」
テツはチャンネルを変え編隊メンバーに向かってコールした。
「奇数の番号の機を残して議事堂に向かう。説明は後回しだ。源さん!」
「ほい」源さんが答えた。
「源さんはここに残り、指揮をとってくれ。」
「ほいな。」
「グー女王、あなたも残って下さい。激しい戦闘が予想されます。」
「わかりました」
「ここでも反撃があるかもしれません。十分に気をつけて下さい。」
「大丈夫です。」
テツを先頭に10機のムラザックが議事堂に向かった。

滑走路の脇に、ゼンジ救出作戦の時にエンジントラブルで飛び立てなかったマロンのブラックバナナが、まだ残されていた。
そのコクピットに飛び乗ろうとして失敗して落ちた黒い影があった。
ムウだった。
ムウは、再び苦労してコクピットに坐ると、エンジンを起動した。エンジンは何事もなかったように生き返った。
「ありがてぇ。」
ムウは乱暴にスロットルを開いた。ブラックバナナは暴れ馬のように激しくもがきながら上昇した。ムウは苦労して機首を議事堂の方向に向けた。
「ムウちゃん、いっきまぁ〜す!!」ムウは、一人で叫ぶとスロットルを全開位置まで開いた。
ブラックバナナは放たれた矢のようだった。
「ミク、頭を低くしていろよ! 立ちうんこのポーズはダメだぞ!」


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