39章 空軍基地占拠


ジパン連邦空軍にパニックが起きた。テツの指揮する21機の戦闘機ムラザックが、ジパン連邦空軍基地に突入したのだ。
ムラザックの基地上空の威嚇飛行のもとで、4機の兵員輸送機ケンネルキャブが着陸した。ケンネルキャブは着陸と同時に後部ハッチを開き、中からCoo中佐達の特殊部隊が飛び出し速やかに展開した。

マロンの率いるレッドチームは、この混乱に乗じて総指令室に突入した。
マロンは、天井に向けて長く銃を連射した。その出来事に驚いた総指令室のオペレータ達はあわてて床に伏せた。
「基地はワシらが占拠した。みんな手を上げて壁に並んでや。」マロンが大声を張り上げた。
オペレータ達は、その言葉に従った。1匹を除いては。
オノエリは、マロン達から死角になる位置にいたのだった。彼女は素早くコンソールの下に隠れると、モバイルギアにメッセージをタイプし、統合本部に向けて送信した。

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電文:統合本部宛

磨亜厘具利酢瑠空軍 急的襲来
我 隠身 電気卓上板下 故 自禁 微動
観測的希望希薄 要注意 議事堂周辺
我切望 救援的手段   再見!!
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ムウが送信を終えたオノエリの肩を叩いた。
「我超驚貴殿行為!」オノエリは驚きの声をあげた。
その声にマロンが振り返った。
「中国語か。なつかしいな。」ムウはオノエリに話しかけた。
「入浴前脱衣時 我脱衣靴下 一番最後」
「貴殿其姿 大陸的 珍奇也」オノエリは怯えながらも小さく笑った。
「ムウやないか! どこに行ってたんや!」マロンがムウの姿を見つけて駆け寄ってきた。そして、コンソールの下に隠れているオノエリに気がついた。
「なんやこいつは?」
「ジョセフィーヌだ。」
「誤!! 我 叫 小野英里。」
「手に持っているのは、モバイルギヤやないか! まさか何かを送信したのか!?」マロンは、モバイルギヤを奪い取り送信ログフォルダーを開いた。
「あかん! 暗号で書いてあるわ!」
「どれどれ?」ムウは液晶ディスプレイに表示されたメッセージを眼鏡をかけながらのぞき込んだ。
「要するにな、ここを襲撃したことが統合本部に連絡された、っちゅうことですな。」
「ですな、って。あタロウ達が危ないやないか!」
マロンは慌てて時計を見た。

議事堂の隣の森に潜んでいるあタロウは時計を見た。
「時間だ。議事堂に突入するぞ!」
小走りに駆け出したグリーンチームは、議事堂にレベル1の警戒態勢が発令されたことを知るよしもなかった。


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