32章 軍事作戦開始


マーリングリスルの海兵隊特殊部隊の基地では、最終的な任務の説明が行われていた。
「4機の兵員輸送機ケンネルキャブに分乗する。」Cooが指示した。「1番機の指揮は、草薙中尉がとる。2番機は庵中尉、3番機は銀嶺中尉、そして最後の4番機は銀嶺中尉がそれぞれ指揮官だ。私は1番機に乗る。」
Cooはみんなの顔を見た。みんな早く戦いたくてうずうずした表情をしていた。
「君たちに落ち着けというのは無理だと知っている。しかし、この作戦は慎重にやるんだ。目標は、議事堂と首相官邸の制圧だ。1発の弾も撃たずに制圧するにこしたことはない。何か質問は?」
1匹の頭に白い模様のある男が手を上げた。
「なんだ? 久間吉。」
「ラッコのヌイグルミを持っていってもいいですか?」
「構わない。ただし、もっちゃんは1つまでに限定される。他に質問は?」
質問はなかった。
「よろしい。」Cooはニヤリと笑うと声をあげた。「いくぜ、野郎ども! 海兵隊の力をやつらに見せつけてやるんだ!!」
ミーティングルームは歓声に包まれた。

マーリングリスルの海兵隊特殊部隊の基地から、Coo達を乗せた4機の兵員輸送機ケンネルキャブが離陸した。その後を、21機の戦闘機ムラザックが続いて離陸した。
「ムラザック編隊長のテツだ。」テツは全機に無線で呼びかけた。「任務を繰り返す。任務はケンネルキャブの護衛、ジパンでの脅威の排除および制空権の獲得だ。忘れるな、一般市民への攻撃は固く禁止されている。」
「分かってるって。まったく心配性なんだから。」源さんが応じた。
「あれ? ちょっと待ってくれ!」テツが叫んだ。「どうして21機いるんだ。1機多いぞ。」
「ハロー! テツ」無線が割り込んだ。
「グー女王!! どうして!?」
「私も行きます。平和的交渉が決裂した時に、私が現地で武力行使のGoサインを出します。」
「しかし。。。」
「それに、マーリングリスルを植民地にしようなど考える連中の尻を蹴り上げてやる必要もありますし。」
25機のマーリングリスルの編隊は、宇宙空間に向かって上昇していった。

反乱軍の秘密基地に戻ったミク達は、マーリングリスルとの共同作戦についてマロンに話した。
「交渉は成功するんやろか?」話を聞き終えてマロンが言った。
「失敗するわ。」クッキーが言った。
「なして分かるんや?」
「そんな気がするだけ。だからクーデターの準備を早急にしておくべきよ。」
「グリはどう思う?」
「そ、それは。。。」グリは目を伏せた。
「なんやねん。」
「失敗する。。。気がする。。。」
「なんか変だぞ。」あタロウが言った。「グリ、どうしたんだ?」
「何でもないわよ。ちょっと旅に疲れただけ。そうでしょ?」クッキーがグリに言った。
「そう。」
「そんならええわ。とにかクーデター準備をしておこうか。」
クッキーは、安堵のため息をもらした。そして、ふとゴミ箱に捨てられている写真のパネルに気がついた。
「あのパネルは?」
「あ、あれか。ぱぱんぃとかいうヤツが一方的に送ってきたんや。幸運のお守りやて。悪いこと言わんから見ん方がええで。」

「ところで、その平和的解決とやらの交渉のデットラインはいつや?」マロンが聞いた。
「マーリングリスルの日付で5月15日。その日は創立記念日なんだって。」クッキーが言った。
「こっちの日時ではいつや?」
「3日後。」
「そりゃ準備を急がんといかんな。」
「マロン、気をつけた方がいい。」ムウが言った。「昔からよく言うだろう。吐いては人を驚かす、ってね。」
「急いては事を仕損じる、でしょ。」ミクが訂正した。
「おまえら、相変らずのコンビやな。」


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