チャイムの音がした。ぷりんは、洗い物をしていた手を拭きながら玄関に出た。ドアを開けると、上品な感じの1匹の女性が立っていた。
「こんにちは。私はアルテーシアと言います。ぷりんさんですか?」
「ええ。」
「あなたにお願いがあって、宮殿から来ました。」
「宮殿?」
「ええ、そうです。あなたに宮殿に来ていただきたいのです。」
「どうしてかしら? 理由が分からないわ?」
「申し訳ありません。マユという方があなたに助けを求めてるとしか、ここでは言えません。」
「マユが!? 1チュッパチャプスの時間を下さい。用意します。」
「外に停めてある車で待っています。」
ぷりんは洗面所に行き、オレンジほっぺを手際よく洗った。
「どうした? 急にお出かけか?」Cooが言った。
「そう。宮殿に呼ばれたの。」
「宮殿! それはまた。。。なぜおまえが?」
「さあ、詳しくはわからない。」
「オレもついて行こうか?」
「大丈夫よ。ところでお兄ちゃん。」
「なんだい?」
「トイレの中から話しかけるの、やめてくれる?」
宮殿では、ぷりんが来るまで会議は休会となっていた。ミク達は、宮殿のゲストルームに案内され、そこでくつろいでいた。
「ぷりんっていうヤツが、どんな助けになるんだろう?」虎がムウに言った。
「さあな。でも、きっとスゲー女なんだろうな。見上げるような大女で、足なんかこーんなに太くて、筋肉がぷりんぷりんして。」
「だから、ぷりんか! そいつはスゲーや。」
ノックの音がした。
「ぷりんが来たのか?」虎が言った。ミクはドアを開けた。
ドアの向こうに、ルビィが立っていた。
「みなさんに会っていただきたい方々をお連れしました。」
ルビィの後ろに、3匹のオドオドしたフェレがいた。
「マユさんのご家族の方々です。入ってもいいかしら?」
「ええどうぞ。」ミクは、中に招き入れた。
ミクとムウは、マユと出会った時の様子を話した。
「そうですか。マユがそんなことを。」ぱぱんぃは言った。
「あの娘らしいわ。昔から間違ったことが嫌いだったわ。」ころが笑顔を見せた。
「そんな事して、マユ大丈夫かなぁ。」ゆうんぃが心配した。
「大丈夫よ。マユは可愛いから。」ころが言った。
ミクは、かろうじて怒りを抑えた。
「ムウさん、と言ったかな?」ぱぱんぃはムウに言った。
「ええ。」
「時期がきたら、マユを助け出してくれないか?」
「お父さん、なんてことお願いするのよ。」ころが言った。
「親バカってやつさ。子供を守るためなら、親はどんな厚かましいことでも言えるもんだ。」
ムウは、ぱぱんぃの顔をじっと見た。そしてふっと笑って言った。
「お父さん。」
ぱぱんぃの顔が輝いた。「おお!! やってくれるか。」
「お父さん。カツラがずれてますよ。」
「オレがマユを助け出すよ。」虎が言った。「ただし、条件がある。」
「何でも聞くよ。」ぱぱんぃはカツラを直しながら言った。
「この星に、オレ達の家を用意してくれ。」
「家?」
「そうさ、ここでウランは子供を産む。子供をここで育てる。」
「ウランとは、君の奥さんかね?」
「そうだ。この星なら腹一杯メシが食えそうだ。」
「わかった。すぐに用意しよう。」
「取り引き成立ってわけだな。」
ノックの音とともにドアが開いた。ラーサだった。
「ぷりんさんが到着しました。会議を再開します。」
「よし行こう。」
ゲストルームのみんなは、ぞろぞろと会議室に向かった。
部屋には、マユの家族が残された。
「虎はマユを救ってくれるだろうか?」ぱぱんぃは言った。
「大丈夫だよ。」ゆうんぃは、笑顔を見せた。「お母さんはどう思う?」
ころは、ぽつりと言った。
「ああ、虎を抱っこしたかったぁ。。。」
それから会議は再開されなかった。
ぷりんが宮殿で迷子になったのが、その理由だった。