１０章　奇襲

燃料貯蔵庫が爆音をあげて炎上した。
「ビンゴ！！」あタロウは、そのままの速度を維持して基地上空を通過し、急速反転の後に脅威となる守備部隊への攻撃に移った。
「相変らずのええ腕や。ベベ、続くぞ！」
マロンとべべの２機は、滑走路に強行着陸を敢行した。滑走路に着陸したマロンとベベは、ヘルメットをかなぐり捨て、管制塔に向かって駆け出した。その上空をアカメが援護した。

「なんだ！？　今の爆発音は？」排気ダクトを駆け抜けていたミク達は立ち止まると、耳をすました。その耳に警報のブザー音がすぐに聞こえてきた。
「非常警戒体制レベル１。敵機侵入。機数不明。燃料貯蔵庫がやられた。」

総司令部室では、男爵がモニタに映ったヤクト小佐に向かって叫んでいた。
「直ちに迎撃しろ！」
「全機マロンの秘密基地への攻撃のため出撃しています。」
「全部か？」
「そうです。徹底的に叩けとの命令でしたので。」
「何か使えるものはないのか？」
「固定式レーザ銃座から攻撃をしていますが、その大部分が敵機により破壊されました。」
男爵は机を叩いた。

「ムウ、急いだ方がいいみたいね。」ミクは言った。
「そうだな。どうやら我々にとってチャンスのようだ。」
ミク、ムウ、ゼンジは、全力で排気ダストの中を再び走り始めた。

「両手を上げてや。」管制塔に突入したマロンとベベは、管制官達に向かってレーザライフルを向けた。
虚をつかれた彼らはバラバラと手を上げた。
「壁に一列に並ぶんや。さあ、早く。グズズグするな！ ほらそこ！　うんこは後回しや。」
彼らはしぶしぶ指示に従った。
「ベベ！」
ベベは素早くリブラットを基地のホストコンピュータに接続した。ベベの爪がキーボードを引っ掻く音が、異様に大きく管制室に響いた。
「見つけたわ。監獄よ。番号はYS512。マップを表示するわ。」
ディスプレイに基地のマップが表示され、管制塔から監獄までの最短ルートが赤い線で表示された。
「排気ダクトを通るんやな。わかった。」
マロンは素早く位置関係を把握した。そして、管制官達に向かって言った。
「こいつが見張っている。おかしなマネをせん方がええな。彼女は、見た目より気が短いで。」
管制官達は、コクコクとうなずいた。
「じゃあ、行ってくる。１時間以内に戻らへんかったら、みんなと一緒に撤収してくれ。」
ベベは心配そうな瞳でマロンを見つめた。
「なんや」
「ううん。」ベベは首を振り笑顔を見せた。
マロンもニッコリ笑うと出て行こうとした。
「マロン」
「なんや？　心配せんでええ。」
「そっちは女子更衣室よ。」

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