「ちくしょう。何が歓迎会だ。」ムウは監獄の壁を叩いた。「何が何だか、さっぱりわかりゃしない。」
ミク、ムウ、ゼンジは、総指令官の部屋から引きずられるように連れ出され、この監獄に投げ込まれたのだった。
「ゼンジ、説明してもらえるわよね。」ミクは俯いているゼンジの肩を叩いた。
「・・・・」
「怒ってなんかないわよ。ただ、理由が知りたいだけ。」
ゼンジはしばらく悩んだ末に話し始めた。
「この星は、食料が不足している。それなのに、美味いものはみんな金持ちや政治家なんかの一部の人間が抱え込んで、オレ達にはろくに食い物がねえんだ。」
ミクは、ゼンジの腰のあたりが痩せていることに気がついた。
「みんなイラついていた。些細なことで仲間内でもいがみ合いも始まった。喧嘩、強盗、陰うんこ、もう無茶苦茶になっていったんだ。」
ここまで話して、ゼンジは急に顔を輝かせた。
「そこにマロンが現れたんだ。彼はマーリングリスルという惑星から来たんだ。マロンは、ただイラつくだけのオレ達に言った。どうして悪と戦わないのか! って。その言葉を聞いて、体に震えが走ったね。みんなの尻尾は見たこともない位のブラシ状態さ。」
「怖かったの?」
「馬鹿言え! 感動しちまったのさ。こうして反乱軍が結成された。リーダーはもちろんマロンさ。」
「その大切なマロンの居場所を喋ったわけだ。」ムウは皮肉な口調で言った。
「大変だわ!」ミクが慌てた。
「クククククッ」ゼンジは笑い出した。
反乱軍のベース基地は、息詰まるような緊張に包まれていた。
「ジパン空軍戦闘機、H型ハーネスと断定。急速に接近中。」レーダーを操作するベベは告げた。
「数は?」マロンは聞いた。
「30機です。やつらは今回は本気だわ。」
「どうするリーダー。ウチの貧弱な装備じゃ勝ち目ないぜ。」
アカメは不安な表情をマロンに見せた。
「タランチュラを出せ。サソリもだ。」マロンはアカメに命じた。
「へ!?」アカメとベベは顔を見合わせた。
「ジョークやて。」マロンは笑った。「距離は?」
「1350ペットボトルです。」
「まだ、距離があるな。もう少し様子を見よう。とりあえず、リップルレーザの準備をしておけ。」
「ハーネス更に接近。距離710ペットボトル。加速したわ。」
「リップルレーザ、照準を先頭の2機と後尾の2機に合わせろ。合図をしたら同時に撃て。」
「距離200。射程内に入ったわ。」
「みんな、今までよく戦ってくれたな。最後に大きな花火を上げようや。」マロンは、司令室のみんなの顔を見た。
みんな充実した顔をしていた。
「よし、行くで。」
「ちょっと待って。」レーダーを操作しながらベベが叫んだ。
「ハーネスの進路がズレてる。。。やっぱりよ。ヤツらは北に向かっている。オサカの森の北に向かってるわ。」
「どういうことや?」
「ハーネス、基地の西を通過。全機とも通り過ぎたわ。」
「ゼンジや! そうかゼンジや! アイツやりおった。ウソの場所を教えてん。」
「センジ、ウソがバレて殺されるわ。」ベベが言った。
「時間がない。すぐに救出に行くで。ハーネスは北に向かって飛んでったから、ジパン連邦の基地は手薄になってるはずや。今を逃したらチャンスはない。」マロンは机を叩いた。
「鈴。今使える戦闘機は何機や?」
「ブラックバナナが4機です。すぐに飛べます。」
「オレも行くよ。」
その声にマロンは振り向くと、1匹のフェレが立っていた。
「あタロウやないか!」
あタロウとマロンは抱き合い、背中を叩き合った。
「戻ってきたんか、あタロウ。ケガはもういいんか?」
「ああ。看護婦を2匹誘惑する位に元気さ。」
「おまえ、変わったな。。。」
要塞3の格納庫の可倒式滑走路が左右に2本ずつ倒れ、鈍いグリーンの誘導レーザが離陸準備完了であることを示した。
マロン、あタロウ、アカメ、ベベの操縦する4機のブラックバナナが滑らかに離陸した。
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