5章 痕跡


オサカの森の木々に隠れて、草原の脱出用ポットに双眼鏡を向けるフェレ達の姿があった。
「なんや、やけに静かやな。」双眼鏡から目を離してマロンが言った。
「それにゼンジの姿も見えないわ。」
マロンの隣の鈴は、双眼鏡の倍率を変化させながらゼンジの姿を探していた。
「確かに、兄ちゃんは見張ってるって言ったんだ。本当だよ、リーダー。」ブンタは泣きそうな声だった。
「わかってるって、ブンタ。」マロンはブンタの頭をポンと軽く叩いた。

「これは絶対変よ。」琴は青ざめていた。「何とかしなきゃ。」
「よし、踏み込もう。鈴、琴、このまま見張りを続けてくれ。何かあったら、戻って救援を呼ぶ、わかったな。ブンタは、鈴と琴の側にいて、一緒に行動しろ。」
鈴、琴、ブンタはうなずいた。
「ニマメ、メグ、自分らは右から回れ! ベベとアカメは左からや。それから健太、自分はでけぇからワシの前に立って盾となれ!」
健太は、信じられない顔でマロンを見つめた。
「ウソや、ジョークやて。健太はワシの援護や。それじゃあ行くで。。。。GO!!」
その声で、フェレ達は一斉に行動をおこしかけた。
「チッチは?」
チッチの声にみんなずっこけた。
「ドリフみたい。」チッチは、無邪気に喜んだ。
「なんや、おまえもいたんか。」
「うん。」
「おまえはチッチ要塞に帰れ。全くいつ間についてきたんたや。」
「チッチも行くぅ〜」
「そうや、チッチは奥本さんちの美梨ちゃんに給水器の取り付け方の相談にのってあげ。」
「うん。」チッチは嬉しそうに帰っていった。
「全くもう。。。気を取り直してみんな行くで。」
マロンはみんなを見渡した。どの顔も真剣だった。
「よし、GOや!!」

脱出用ポットに踏み込んだマロン達は、唖然としていた。
「もぬけのカラや。どないなってん?」
「リーダ、ちょとこっちに来て下さい。」
外から、ニマメの声がした。
マロンが行くと、ニマメとメグが地面の窪みを調べていた。
ベベとアカメも駆け寄ってきた。
「ちょっと、ココを見て下さい。」メグが言った。
「大きなうんこだ。」
「どこ見てるんです!! この窪みの跡は、ジパン連邦空軍のハーネスの着陸の跡に間違いありません。」メグが言った。
「と、言う事は、」マロンは考え込んだ。
「ハーネスはうんこを踏んだ。」アカメが言った。
マロンは、オチをアカメに言われてしまって悔しかった。


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