19章 飛翔


「さあ、ミクよ。伝説のフェレを目覚めさせる時が来た。」
グー神王は厳かに告げた。
「はい。私がその呪文を唱えればいいんですね。」
「その通り。さあ、行くがよい。」
ミクは決意に満ちた顔で立ち上がった。
これで、フェレがみんな助かる。ミュウがきっと私達を救ってくれる。長く辛い旅だったけど、うまくいって本当によかった。ミクはそんな思いで歩き出した。

マロンはもう元気になったかしら? ちゃんと傷を癒しているかしら?
突然ミクはマロンの事が気になり始めた。
ジステンバ魔王を倒したら、マロンはどうするんだろう?  またどこかへ旅に出るのかしら? そういえば、マロン帝国を作りたいなんて夢を、旅の途中で話していたわ。
ミクは、熱っぽくマロン帝国の夢を語るマロンの横顔を思い出した。あんな真剣な顔して、アイツ。。。
私はそんなマロンを見送るのかしら?
手を振りながら小さく消えゆくマロンの姿を想像したミクは、胸が張り裂ける思いにとらわれた。
なに? この感じ。。。もしかして、私はマロンのことが。。
でも、きっとマロンは私のことなんか。。。。
「忘れているよ。」グー神王は静かに言った。
ミクは驚いて振り向いた。神王だから全てを見透かせるの?
「忘れているよ。」グー神王はおみやげの赤福の包みをプラプラさせながら言った。

「あっ! ミクが出てきた!」あタロウは叫んだ。
プヨヨAちゃんとBちゃんとのしりとりにいいかげんうんざりしていたCooも振り向いた。
ミクは、入り口まで送ってくれたアルテーシアとルビィに手を振ると、あタロウ達の所まで走ってきた。
「ミク、どうだった? わかったか?」Cooは聞いた。
「その包みは赤福だね。」あタロウは聞いた。
ミクは、ロームの神殿での出来事を話した。

「呪文を唱えると蘇るのね。伝説のフェレが。。。」ぷりんはうれしそうだった。
「そうみたい。呪文の言葉はア・ネ・ス」
突然、ミクとあタロウが首に巻いていたバンダナがスルスルと解け、グングンと広がっていった。
「んぐ! 」あタロウが驚いてあんこを喉に詰まらせた。
「な、なにが起きたんだ!?」Cooは思わず飛びのいた。
「あ、こんなの見たことがある。」ぷりんは目をクリクリさ
せた。「空を飛べる乗り物よ。」
「何でも知ってるんだね。ぷりんは。」あタロウは感心した。
ぷりんは、あタロウにほめられると無性に嬉しくなる自分にまだ気付いてはいなかった。

滝の上の絶壁から、ハンモックをぶら下げた2つのハンググライダーが飛び立った。
1つのハンモックにはミクとCooが、そしてもう1つにはあタロウとぷりんが乗っていた。
ミクは、足元の森で手を振るAちゃんとBちゃんに手を振り返した。ふと離れた場所を見ると、そこに薄茶色のネコが見上げている姿が見えた気がした。
「空を飛ぶのって、気持ちいい。。」ミクは風を髭に感じながら深く目を閉じた。
「まったくだ。」Cooも目を細めた。
FMLの文字の書かれた2つのハンググライダーは、クレイシーファージィの村に向かって滑らかに飛翔していった。

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