16章 妖精


クラフフォレットの国を後にしたあタロウ達は、いつまで歩けば辿り着くかもわからないロームの神殿を目指して西に向かっての旅を続けた。
目の前に立ち塞がる山も、目も眩むような絶壁も、寒風の吹き荒ぶ荒野も、あらゆる困難もものとせず、フェレの持ち前のしつこさと一直線な思考で克服していった。
やがてあタロウ達は、深い森に辿り着いた。

「ずいぶん深い森ね。」
ミクは巨木を見上げながら言った。
「ああ。」あタロウが言った。
「もうすぐ眠くなるから、今日はこのあたりにしよう。あそこにちょうどいい枯れ葉のベットがある。」Cooは言った。

みんな寝る準備を始めた。突然、すっとんきょうな声が聞こえてきた。
「お湯の中で目を開けたら、目玉が煮えませんか?」
「だ、誰だ!?」みんなは、辺りを見回した。しかし、その声の主の姿は見えなかった。
「ぷりん、おまえか?」Cooは言った。
ぷりんはフルフルと首を振った。
「ここよ。」またその声が聞こえた。
「木の上だ!」
あタロウが指さした木の枝に、白いタイツに緑のレオタード姿の女が座っていた。

その女は、あタロウ達の前にふわりと降りてきた。
私はAko。森の妖精よ。ちょっと年いってるけど。」
「信じられない。」Cooはあんぐり口をあけた。
「ああ、レオタードはやりすぎだ。。。」あタロウは同意した。
「あなた達、そのバンダナをどこで手に入れたの?」Akoは言った。
「え? ああ、このバンダナ?。マーリングリスルに村を出る時に、いにしえの占い師のAkokoにもらったのよ。」ミクが言った。
「やっぱりね。」Akoは言った。
「知ってるの?」
「もちろんよ。Akokoは双子の妹。あの子はうんこが好きだった。」
「そう言い切ったら、なんだか可哀相ね。」ミクは言った。

「あなた達は、ここで何をしてるの?」Akoが言った。
「ロームの神殿を探している。」Cooは言った。
「あなたには見えないわよ。」
「わかってる。でも、そこにいるミクなら見えるかもしれない。」
Akoはミクを見つめた。

「なるほど。。。」
しばらくミクを見つめた後でAkoはうなずき、ゆっくりと人さし指を立てると自分の顔の横にもっていった。そして、その指で小さな円を何回も描きながら言った。
Akoのルルルルル〜!
すると、2匹のプレーリードックが足元の穴から同時に顔を出した。
「さあプヨヨAちゃん、それにプヨヨBちゃん 、この人達をロームの神殿に案内しなさい。」

Cooは突然Bちゃんをゴンした。
「なにするの!」ミクは叫んだ。
「いや、すまんすまん。なんだか体が勝手に。。。本当にすまん。」
「まだ根に持ってたのね。お兄ちゃん、プレーリードックには嫌な思い出 があってね。」
ぷりんは、尻尾をすっかりピンポン玉のようになったBちゃんの頭を撫でた。
「その嫌な思い出も、Aちゃんかもしれないのに。。。」
Bちゃんは怒っていた。

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解説

私はAko。森の妖精よ ダッチ君のオーナーであるAkoさん。実は、「いにしえの占い師」の役で3章でAkokoとして登場した後で、Akoさんが「妖精の役が良かった!!」と苦情が入ったため、妖精役で再登場することとなった。
「お湯の中で目を開けたら、目玉が煮えませんか?」というセリフは、実際にAkoさんがFMLに投稿した文章からの抜粋である。私は、このようなAkoさんのミステリアスなセリフの大ファンである。ANESの以降の章でも、Akoさんのミステリアスなセリフを引用している。
<注意>Akoさんの白いタイツにレオタード姿を私が見たいわけではない。(^_^;)
Akoのルルルルル〜! 銀座のフェレットフェスティバルが終わった後、新橋のファーストフードで小さな集会を行った。参加者は、藤井さん、Andyさん、小島さん、Takaさん、白川さん、SHOKOさん、スティーヴさん、そして私達夫婦と息子の友樹だった。3時間位にわたり、フェレの話ばかりで盛り上がった。その会の終わり近くで、私がふざけて「Akoのルルルルル〜!」とフリをつけてやったところ、異常にウケてしまった。それだけのこと。
プヨヨAちゃん、それにプヨヨBちゃん Akoさんが一緒に暮していたプレリードック。詳しくは、AkoさんのHPを見ていただきたい。プヨヨの物語(漫画)は最高におかしくて私は大ファンである。「おねえちゃんがゴンしたのだ」とか「Aちゃんかもしれないのに」などのセリフは、私の大のお気に入りで、今でも意味もなくこのセリフをつぶやいては一人でニヤニヤしている。
嫌な思い出 AndyさんちのCooちゃんは、プレリードックと交換されて返品されたという経験を持つ。まあそのおかげで、Andyさんという優しく勉強家のオーナーに出会えたので結果的には良かったと私は思っている。