15章 幸福


「ほら、このTシャツかわいいでしょ?」
旅支度の途中で、ミクはあタロウにTシャツを広げて見せた。
「へー。どこで手に入れたの?」
あタロウはTシャツに見ながら言った。Tシャツには、1匹の子フェレの顔がプリントされていた。
「どこで手に入れたんだ!!」
Cooがすごい剣幕でTシャツをミクから奪った。
「何するのよ!!」
CooはTシャツにプリントされた子フェレを見つめていた。
「今日行ったレストランでもらったのよ。ダイキチ君Tシャツ だって。この子がダイキチ君。」
ミクはプリントされた子フェレの顔を指差した。
「そのレストランの料理はサイコーだったわよ。Cooもお腹すいたの?」
「案内してくれ!」Cooは言った。
「わかった!」ぷりんが言った。
「おまえじゃダメだ。ミク、たのむ。」
「わかったわ。でも、もうこんな時間よ。今すぐ?」
「今すぐだ。」

アマリカンハウスの店内からは、楽しそうな話し声が暖かい光と共にもれていた。
Cooは店に入ろうとしたミクを止めた。
「今年もサンタさん、ちゃんとくるかな?」ダイキチの声だった。
「もちろん来るさ。だだし、いい子にしてないとな。」JOYの声。
Cooは窓から店内を覗き込んだ。JOYとダイキチがクリスマスツリーを飾っているところだった。
「ボクね、ちゃんと靴下を用意したよ。ちゃんとかぐわしいヤツ 。」
ダイキチが弾んだ声で言った。
「かぐわしすぎる靴下だと、サンタさん驚くわよ。」
シナモンが笑顔を浮かべながら、SHOKOから教わった特製スープ をのせたトレイを持っ
て入ってきた。
後は雪を乗せるだけのツリーを眺めながら、3匹は特製スープを飲み始めた。
「いいクリスマスにしましょうね。」シナモンはJOYの肩に頭をも
たれた。
「いいクリスマスになるさ、きっと。」JOYが言った。

「戻ろう。」Cooは窓辺から離れながらミクに言った。
「え? 何か食べないの?」
「もう、いいんだ。」
Cooとミクは宿への道を帰りはじめた。
「クリスマスまでに、」Cooは言った。
「クリスマスまでに、ジステンバ魔王を倒そう。」
ミクは足をとめ、Cooの顔を見た。
「みんなが、心からメリークリスマスが言えるように。。。」
Cooは心のなかでつぶやいた。
「そして、シナモンの笑顔を消さないために。。。」

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解説

ダイキチ君Tシャツ 高倉さんがダイキチ君を迎えたときに、名付け親募集を行った。その結果、バッシーこと石橋さん(ぜんぞう君とぶんた君のオーナー)が提案した「ダイキチ」が採用された。タイキキ君Tシャツとは、この時の賞品であり高倉氏より石橋嬢に贈られた。実は、私達もこのダイキチ君Tシャツを高倉氏のご厚意により持っている。
かぐわしいヤツ フェレさんは、脱ぎたての靴や靴下、パンツなどの”かぐわしい”臭いが好きらしい。
特製スープ SHOKOさんがアメリカのフェレのシェルターを見学したときに、そこのフェレの巨大さに驚いた。どうやらそこの特製スープが秘密らしい、というわけでSHOKOさんはスープのレシピを入手した。しかし、どうも怪しい材料が含まれているようなので、SHOKOさんははそのレシピをFMLに公開しない方がよいと判断した。