13章 糸口


鎧工場では、テツと源さんがキルトの鎧の製造方法について検討していた。
「キョーンってヤツは相当マメなヤツだな。」
源さんは、事細かに書かれた書類を叩きながら言った。
「で、ウチでも作れるのかい?」テツは言った。
「ああ、ここまで丁寧に製造方法を教えてもらったんだ。作れないわけないだろ。」
「じゃあ、すぐにとりかかってくれ。」
「がってん! がってん! しょーち!」手のひらで鼻をすすりながら源さんは言った。
「なに。。。。それ。。。」
「職人っぽくていいでしょ。」
「そ、そうか?」
テツは本当に源さんに任していいものか不安になった。
鎧工場は総力を上げてキルトの鎧の製造を開始した。
源さんは、この日から不眠不休で現場につめることになる。そんな源さんの姿を写した「寝ぼすけ源さん」と題した写真は、後日雑誌に投稿 され多くのフェレに感動を与えた。

Photo Galleryを楽しんだミクとぷりんは、お腹がすいていることに気がついた。そういえば、最後の食事からもう3時間も過ぎていた。
2匹は食事できる店を探して城下町を歩いた。
「あ、この店楽しそう。」
ミクは、アマリカンハウス と書かれたレストランの前で言った。
「ここに決めましょう。」

店内に入ると、床の上で両手で頭を抱えてもんどりうって苦しんでいるフェレの姿が目に飛び込んできた。
ミクとぷりんは、そのフェレに駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「どうしたんですか?」
やっと痛みが和らいできたJOY が言った。
「いや、あの柱の間を通り抜けられるのかなと思ってね。」
JOYが指さす方向を見ると、5cm位のすきまがあった。
「それで全力疾走でチャレンジしてみたわけだよ。」
「目測を誤ったわけね。」ぷりんは言った。
JOYはうなずいた。「よくあることさ。」

「あいにくニンニクを切らしていてね。」
JOYはエプロンをしながら言った。
「この店のフェレだったんですか。」ミクは言った。
「ああ。ところで、アマリカンハウスへようこそ。」
ちょうどその時、シナモンとダイキチがニンニクの入った袋を下げて戻ってきた。
「お、ニンンクが帰ってきたな。これで何でもできる。さて、お客さん何にする?」
ミクとぷりんは料理を楽しんだ。どれも素晴らしかった

ミクとぷりんが宿に帰ると、あタロウとCooが熱心に何やら討論していた。
ミクの姿に気がついたあタロウは、上気した顔で言った。
「どこに行ってたんだよ!!」
「どこって。。。」
ミクはあタロウの勢いにたじろいだ。
「見つけたんだ! 図書館でこれを!」
あタロウは、何枚かのコピーをミクに渡した。ミクはそれを受け取り広げた。ぷりんが後ろから覗き込んだ。
「なに? これ?」
「この国に伝わる伝説が書かれた本だよ。ここを読んで。」

 ・・・μの輝きはロームの神殿により与えられた・・・

「偶然見つけたんだ。」あタロウは興奮していた。

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解説

雑誌に投稿 フロム出版社の「かわいい小動物」創刊号(1月号)の「読者投稿によるペットカレンダー」の1/28の日付欄に、「ねぼすけフェレの源さん」として掲載されている。
アマリカンハウス シナモンちゃん、ダイキチ君、JOY君のオーナーである高倉氏のレストラン。正しくは、「アメリカンハウス」。
JOY シナモンちゃんとダイキチ君同様に、現在、高倉宅で生活している。♂。お笑い系のフェレさんで、時々目測を誤って頭を打つことがあり、もんどりうっている姿を見る事ができるらしい。
どれも素晴らしかった 高倉さんの料理は、山中湖のBBQ大会にてごちそうになった。本当においしくて、幸せな時間を過ごすことができた。私達のoff好きは、このBBQ大会が楽しかったことが原因であることに間違いない。