11章 ハチ王子


キルトの鎧に身を包んだおかげと、ぷりんの道案内をCooが無視したおかげで、一行は無事にクラフフォレットの国にたどりついた。
「あれがダンボール城 。ハチ王子の城よ。」
ぷりんが指差した方向に、茶色の城壁の立派な城が見えた。
「王子は会ってくれるかしら?」ミクはずっとそれが心配だった。
「大丈夫よ。クラフフォレットのモットーは、<みんな気軽に遊びに来て楽しんで!> だから。」ぷりんは言った。

ダンボール城に着いた一行は、門番のぜんじぶんたに声をかけられた。
「クラフフォレットへようこそ!」外ズラのいいぜんじが笑顔で言った。
「ダンボール城へようこそ!」内弁慶なぶんたは小さな声だった。
「ボクたち、ハチ王子に会いたいんだけど。会えるかな?」あタロウが言った。
「もちろんですとも。」ぜんじは言った。「ぶんた、お客さんをハチ王子のところへお連れして。」
しかし、ぶんたは小さく震えてじっとしたままだった。
「ありゃりゃ。ぶんたの人見知りがはじまった。」ぜんじはぶんたの頭を軽く叩いた。
家に帰ったらみてろよ、とぶんたは心に刻んだ。

「して、用件はなんじゃ?」
ハチ王子は、人懐っこい優しい瞳であタロウ達を見た。
ミクはハチ王子がロンゲ なのを珍しそうに見ていた。ミクにとってアンゴラフェレット に会うのは初めてだった。
あタロウは今までの出来事を話した。
「そして、これにキルトの鎧の作り方が書いてあります。」
ぷりんは大事に持っていた袋を差し出した。
ハチ王子は書類を受け取ると、奥の部屋にいる子供達に向かって叫んだ。
「みいー! まあー! ちょっと来なさい!」

みいは、ラグビーボール を抱えて後ろ向きに勢いよく入ってきた。
その後をまあがやっと獲得したスリッパを大事そうにくわえて入ってきた。
「この袋を持って、鎧工場に行きなさい。」
ハチ王子はみいに袋を手渡した。みいは袋を開けた。まあが横取りして中を見た。
「さあ、遊んでないで早く行きなさい。そして、工場長のテツにこの書類を渡して、この通りのもの大量生産するように言いなさい。」
「はい。」
「それから、テツに言っておくように。一番腕のいい現場監督をつけるようにとな。そうだな、源さんがいいかな。」
みいとまあは出ていこうとした。しかし、ハチ王子は2匹を呼び止めた。
「それから、ボールとスリッパは置いていきなさい 。」

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解説

ダンボール城 1996年9月末に山中湖で行われたClubFerretのミーティング(BBQ大会)にて、ハチ王子こと丸岡氏はダンボール箱10箱位でフェレのプレイルームを作り上げた。その手際のよさとアイデアに私達はすっかり感動してしまった。現在我が家でのフェレのプレイルームは、この時の丸岡氏のダンボール城をマネして作成してある。
ぜんじ 本名「ぜんぞう」。現在、石橋宅で生活している。♂。外づらがいいらしい(石橋さん談)。
ぶんた ぜんじ君と同様に、石橋宅で生活している。こちらの方は、内弁慶で人見知りをする性格らしい(石橋さん談)。
ところで、ぜんじ君とぶんた君は、ドアに対して並みならぬ執着を持っている。どうも閉まっている扉が気になる性格のようで、閉まった扉を見つけるとカリカリカリカリといつまでも引っ掻き続ける。石橋さんは、部屋の扉(押し入れも含めて)を全て少しずつ開けているそうな。
ロンゲ 初めて丸岡氏に会った時に、氏はロンゲだった。それだけのこと。
アンゴラフェレット FMLでアンゴラフェレットが話題になったことがあった。私が初めてアンゴラフェレットを見たのは、銀座でのフェレットフェスティバルの時だった。国際フェレット協会の方々が、お披露目として連れてきていた。思ったよりも毛が短かったが(子供だから?)、見慣れたフェレットとはまた別の魅力を持っていた。
みい 現在、丸岡宅で生活している。♀。
ラグビーボール この様子は、丸岡氏のHPである「ClubFerret」の「Ferret Watching!」で見ることができる。
まあ みいちゃんと同様に、丸岡宅で生活している。♂。
スリッパ この様子は、丸岡氏のHPである「ClubFerret」の「Ferret Watching!」で見ることができる。
まあが横取り この様子は、丸岡氏のHPである「ClubFerret」の「Ferret Watching!」で見ることができる。
テツ 現在、村上宅で生活している。♂。毛の模様の感じが我が家のミクに似ている。
村上氏は、「ゴッドハンド」の異名がある。村上氏に優しく愛撫されたフェレは、体の力が抜け恍惚の表情で「もう好きにして。。。」状態となる。私もコツを教えてもらったが、まだまだ修行不足である。早く村上氏のようなフェレ使いになりたいものである。
源さん テツ君同様に、現在、村上宅で生活している。♂。
置いていきなさい フェレには、お気に入りのおもちゃがあるようだ。我が家のミクの場合は、硬質プラスチックでできた「お肉」である。これを取り上げると、ミクは必死に奪い返そうとする。部屋のあちこちに楽しそうに運ぶので、時々行方不明になる。そんな時、ミクは「どこにやっちゃったのかしら。。。」なんて素振りで部屋中を探し回る。その姿はなんとも可愛らしい。餌の皿に「お肉」を置いていたこともあった。まさか、「お肉」に餌を与えようとしたわけではないだろうが。。。