10章 失望


ミュウという名の伝説のフェレが生まれた話は、クレイシーファージィの村中に広まった。
村フェレ達は、熱のこもった口調でミュウがどのようにジステンバ魔王を倒すのかについて議論した。そして、ウラン乳を吸うミュウの姿を一目見ようと、診療所には長い列ができた。

しかし、2週間を過ぎても他のフェレと違った様子はミュウには表れなかった。
村フェレ達の間では、次第に「伝説はしょせん伝説さ」といったあきらめの空気が流れ始めた。そして、キルトの鎧を求めてキョーンの工房に列が出来はじめた。
やがてその列は長くなり、いたるところで喧嘩やいがみ合いが始まった。
早く鎧をよこせとキョーンの工房のドアを乱暴に叩くフェレも現われ、その声は次第に高まっていった。

キョーンは昼夜を問わずキルトの鎧を一生懸命に作っていたが、1人の力で出来る鎧の数は限られていた。
「誰か助っ人が必要よ。」キョーンは疲れていた。
「でも、鎧は誰にでも作れるわけではないんでしょ。。」
ぷりんはキョーンの疲れが目にみえて分かっているだけに、この言葉を言うのが辛かった。
2匹は長い時間視線を合わせないようして黙りこんだ。

突然、キョーンの顔が明るくほころんだ。
クラフフォレットの国って知ってる?」キョーンは目を輝かせて言った。
ハチ王子が治めているあの国のこと?」
「そう。そこには大きな鎧工場があるの。そこで大量生産ができるかもしれないわ。」
「名案よ! 早速作り方を書いて!」

「クラフフォレット? 」ミクは言った。
「そう。そこにこの袋を届けたいの。」ぷりんは言った。
「なんなの? その袋。」あタロウは袋を持ち上げた。
「キルトの鎧の作り方を書いた書類が入っているの。鎧工場で大量生産してもらうのよ。そしたらみんなが助かるわ。こんな殺伐としたクレイシーファージィの村は、もうたくさん!」
「行こう!!」
ミク、あタロウ、そしてマロンが声をそろえて言った。
「マロンはお留守番。」
ミクとあタロウが声をそろえて言った。
「なんでやねん。」
「今は、傷を癒すのに専念して。」ミクはマロンの手をとって静かに言った。
「いやや! ワイも行くで!」
「お願い。」ミクはつぶらな瞳でマロンを見つめた。
「はい。」マロンはコックリうなずいた。

あタロウとミクが旅支度をしていると、キョーンの作ったキルトの鎧を着たぷりんが部屋に入ってきた。
「さあ、もうこっちの準備はできてるわよ。」
ぷりんはクリクリした目で言った。
「ぷりんも行くのか?」あタロウは驚いた。
「当たり前じゃない。」
ぷりんは、キルトの鎧のストラップの絞め具合を確かめながら当然のことのように言った。
「オレも行くぞ。」ぷりんの背後にCooがいた。
「ぷりんだけを行かせるわけにはいかない。」
「お兄ちゃん!」ぷりんが一番驚いた。
おまえの道案内は世界一不安だからな。」Cooはキッパリと言った。

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解説

クラフフォレットの国 丸岡氏のホームページである「ClubFerret」のこと。隅から隅までフェレづくしの楽しいページ。ここで「うちの宝物」のページに入ると、このANESの登場フェレの顔と自己紹介を見ることができる。
ハチ王子 「ClubFerret」の発信人である丸岡氏は、東京都八王子市に住んでいる。
つぶらな瞳 フェレの瞳は魔物である。あの瞳でじっと見つめられたら、全身の力が抜けて思わず抱きしめたくなる。
フェレは、視力はあまり良い方ではない。高い所に登るのが好きだが、高さや下にある危険におかまいなしにダイビングをすることもある。部屋で遊ばせる場合は、フェレが高い場所に行かないように目を配る必要がある。また、高い場所に行けないような工夫も必要である。
高さのあるケージ(3階建てなど)を使用する場合は、フェレが落下しないような工夫をすべきである。
ついでに、フェレの目について。フェレの目の瞳孔は横に長く紡錘形をしている。ちょうど、猫の瞳孔を小さくして横にしたような形状である。人間や猫のように虹彩の色と瞳孔の色が異なるようなことはないので、フェレの瞳孔は見分けにくい。フェレの目は興奮すると赤い色を帯びてくるようだ。興奮すると瞳孔が開いてくるのだろうか?
おまえの道案内は世界一不安 ぷりんちゃんのオーナーであるAndyさんは、まれにみる方向音痴であることはFMLでは有名な話。