ミクは膨らんだ尻尾を隠そうとしたが、無駄だった。もはや尻尾はミクの熱い血をほとばしらせるように、細かく力強く震えていた。
「なにかきっかけが必要なようじゃの。」
ミクが南のほこらで見つけたものは、紅茶の匂いのする布の像だった。
「こんなものが勇気を与えるの?」そう思った瞬間にミクの心に直接語りかけるような声が聞こえた。
「我は<にし>なり。フェレの守護神なり。」
「誰!? 誰なの?」
ミクの他には布の像しかそこにはなかった。
「おまえは選ばれし戦士なり。頭の稲妻はその証なり。」
声は続いた。「伝説のキルトの鎧をおまえたちに授ける。」
気がつくとミクはキルトの鎧を身につけていた。そして、2組のキルトの鎧が目の前にあった。
ミクの頭の稲妻模様が眩い光で輝き始めた。
ミクは、その2組のキルトの鎧をくわえると、力強く走り始めた。
湖のほとりへ。マロンとあタロウのいるあの場所へ。
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