3章 目覚め


村に帰ったミクは、最初は自分を呼び止められたことに気がつかなかった。
「お若いの。・・・・そこの白いエプロンのお若いの。」
ミクは驚いて辺りを見渡すと、いにしえの占い師Akokoがそこにいた。
「全部わかっている。自分をごまかしてはいけない。」
「私は何も」
ミクの言葉はAkokoに遮られた。
「だまらっしゃい。その尻尾を見るがよい。」

ミクは膨らんだ尻尾を隠そうとしたが、無駄だった。もはや尻尾はミクの熱い血をほとばしらせるように、細かく力強く震えていた。

「なにかきっかけが必要なようじゃの。」
Akokoは、古い袋からウンコをとりだして占いを始めた。やがてAkokoはニヤリと笑うと静かに話し始めた。
「この村の南のほこらに行くがよい。そこでお前は勇気を与えられる。」
「私は勇気なんていらない。」
ミクの声は悲痛なものであった。
「行くのじゃ。南のほこらじゃ。」
Akokoはカッと見開いた目で強くそう言うと、ウンコを袋に戻して深く目を閉じたまま動かなくなった。

ミクが南のほこらで見つけたものは、紅茶の匂いのする布の像だった。
「こんなものが勇気を与えるの?」そう思った瞬間にミクの心に直接語りかけるような声が聞こえた。
「我は<にし>なり。フェレの守護神なり。」
「誰!? 誰なの?」
ミクの他には布の像しかそこにはなかった。
「おまえは選ばれし戦士なり。頭の稲妻はその証なり。」
声は続いた。「伝説のキルトの鎧をおまえたちに授ける。」
気がつくとミクはキルトの鎧を身につけていた。そして、2組のキルトの鎧が目の前にあった。
ミクの頭の稲妻模様が眩い光で輝き始めた。
ミクは、その2組のキルトの鎧をくわえると、力強く走り始めた。
湖のほとりへ。マロンとあタロウのいるあの場所へ。


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解説

Akoko 本名「Ako」。フェレのウンコの形を愛し、芸術の域にまで高めた伝説の女性。
ウンコ 健康チェックのために、ウンコは必ずチェックしよう。フェレは完全な肉食であり、野菜や果物を消化することがほとんどできない。しかし、野菜や果物が好きなフェレもいる。野菜や果物を与える場合はほんの少しだけおやつ程度に与える。与えすぎると下痢をすることもある。また、フェレは乳糖に耐性がないので、ミルクを与える場合は乳糖の低いネコ用ミルクを少量だけ与える。牛乳は避けた方がよい。ウンコチェックで忘れてはならない事は、フェレが異物を飲み込んでいないか? というチェックである。誤飲は時には命取りとなるので、誤飲を発見したらその原因を取り除くようにしなければならない。
にし Kyonさんが作ったフェレットのぬいぐるみ。紅茶染めをした真心こもった名作の1つ。このぬいぐるのは、丸岡氏のホームページである「Club Ferret」の1万人アクセス記念キャンペーンの賞品となった。私も応募したが、残念ながら当選しなかった。
キルト Kyonさんは、キルトを素材にした手芸を得意としている。キルトで作ったハンモックである「にしモック」も丸岡氏のホームページである「Club Ferret」の1万人アクセス記念キャンペーンの賞品となった。
稲妻模様 我が家のミクの頭には稲妻の形に白い毛がある。この模様をblaze(炎)と呼ぶ。ミクには他に色々な模様がある。white toes(白いつま先)、bibs(白い胸当て)などである。