Vertical Velocity Indicator


垂直速度指示計とでも 訳しましょうか
ふつうは 昇降計と呼んでいます
パイロットは V/V(ブイブイ)と 呼びます

飛行機の 上下の変化を 気圧の変化を 関知して 
コックピットに 表示します

表示単位は 通常 feet/minで 1分間に何feet 上昇降下しているのかを 表します
計器のスケールは 飛行機の種類によって 異なりますが
通常戦闘機に 搭載されている物は ー6000feet/min〜+6000feet/min までを 表示します
6000feet/minは ktsに 直すと
約 1分間に1マイル
約60ktsとなります


それでは この使い方を ご説明いたしましょう
飛行機の高度変化は 高度計よりも先に この昇降計が 関知します
ですから 昇降計が 動いて 数秒たつと 高度計が動き始めます

パイロットは この昇降計を 見て 飛行機の動きを 素早く関知して
飛行機の高度を 修正します

まあ かなり飛行経験のある パイロットの場合は
昇降計よりも先に 自分が感じている Gの変化で 高度変化に 気がつきますが

しかし その高度の修正には 昇降計を使っては いけないのです
これを 追うと 修正に 遅れが生じて オーバーコントロールになります

修正は あくまでも 姿勢指示器を 基本に実施して
その状況を 昇降計を 見て判断します

では 実際の 操作要領です

  1. 先ず 高度計が 所望の高度と ずれているのに 気が付きます
  2. そこで 昇降計を 見て その 変化率を 確認します
  3. 次に 姿勢指示器で もし 降下しているならば ちょっと上昇姿勢にします
  4. この修正は ほんのわずかです 姿勢指示器で たぶん数ミリの 動きです
  5. そこで 姿勢を保持して 待ちます
  6. すると 昇降計が 変化し始めます
  7. 昇降計が 安定したところで 昇降計の指示を確認します
  8. もし まだ 降下を 示すならば さらに 姿勢指示器で 上昇姿勢にします これも 数ミリ
  9. ここで また5からを 実施します
  10. これで もし 昇降計が 0表示無いなれば 高度降下は 収まります
  11. 次に 所望の高度間での 上昇です
  12. 本当は これまでの修正で どのぐらいピッチを変えれば どのぐらいの 昇降率の変化が 出るか分かります
  13. 今度は 止まっているはずの 高度計を 見ます
  14. どのぐらい 修正しなくては いけないかを 見ます
  15. 仮に 300feetの 上昇が必要ならば
  16. 300feet/minの 上昇率を 発生させるだけの 姿勢変化を させます これも 数ミリ
  17. これで 1分間待てば 所望の高度に 到達できるはずです
  18. でも 到達した時に 止める動作をすると すでに 飛行機は 数10feet 上なので 結果は+100feetとなります
  19. そこで 所望高度に達する 数秒前に 飛行姿勢を 10番のところで 確認した 姿勢にします
  20. こうすれば やっと 所望の高度になります

300feetの 高度修正をするのに 項目で分けて 20項目・・・
ちょっと 多いかな・・・
しかし これが操縦の基本です
どんな 修正でも このようにします
実際は 飛行機に慣れれば 上の 手順は 無意識のうちに 実施しています


戦闘機の昇降計は これほど上品に 動きません
上昇時には 上昇振り切れ
降下時には 降下振り切れです

だから 戦闘機の昇降計は 上昇降下を 示しているだけで
そのレートは 分からないのが 現状です


それでは もう一つの 昇降計の使い方です
飛行場が 前方 30マイルにあります
そして 自分の高度が 20000feet あります
その 飛行場に ちょうど 降りたい場合に
どうやって 高度処理をすれば 良いのでしょうか

この場合 先ず自分の グランドスピードを 見ます
もし 360kts だったら
1分間に 6マイル 進みます
と 言うことは
30マイル 進むのに 5分です
だから 5分間で 20000feet 降りるには
4000feet/minで 降りれば 良いのです

この場合には グランドスピードを守りながら
昇降計の針を 4000にすれば 
計算上は ちょうど飛行場で 高度0となって 苦労なく 着陸できます

GCAやILSで 着陸する場合も 3度のパスに 乗るために
同じ様な 計算をして 昇降率を 合わせて アプローチします
そうすると 安定した 着陸が 簡単にできるようになります
だいたい 600〜800feet/minの 降下率でしょうか
風や 機体の重さや パイロットの技量によって 少しは変化しますが
だいたい こんな物でしょう

しかし 戦闘機は あまり このような降下はしません
飛行場の 上空で 20000feet あっても
急降下や スプリットSで 降下すれば
問題なく その飛行場に 簡単に 着陸できますから


戦闘機で 昇降計の お世話に なるのは
エンジンが止まった 時です

特に 単発の 戦闘機は エンジンが止まると
グライダーです
それも 沈下率の巨大な グライダーです

エンジンが止まったら 先ず 推奨される 滑空速度にします
通常 150〜250kts ぐらいです 飛行機によって 違います
物によっては 滑空迎え角が 示されている 場合もあります

どちらにしても 使用説明書に 書いてある 速度にします
そこで 降下率と 高度計を 見ます
仮に 3000feet/min で 高度が 30000feetあれば
10分間は 飛べることになります
そこで 今度は 速度を見ます
この場合も できれば グランドスピードを 見ます
もし グランドスピードが 死んでいる場合は
(エンジンが止まると 通常 停電となるので グランドスピード出ない場合があります)
マッハ計を 見ます (これは 速度計が生きていれば 表示されます)
仮に mach.4ならば 1分間に 4マイル 
だから 10分飛べるので 40マイルは 行ける計算です

この 10分 40マイルの間に やることが たくさんあります
先ずエンジンの リスタート
先ず かかりませんけど・・・・・

その次は 飛行機を 捨てる場所を 探します
海ならば 良いのですが
まあ この辺の 事は 別項目として
V/Vの お話 お話

本当に 運良く 着陸できそうな 飛行場を見つけたら
そこに アプローチします
SFOの 項目を 参考にして下さい

SFOは 1発勝負です
やり直しは ありません
ですから 決められた場所に 決められた高度で 到達する必要があります

先ず 今いる 場所と高度と降下率から
飛行場上空で どのぐらいの 高度が確保できるかどうか 計算します
計算方法は 上記の 降下要領と 同じです
まあ 気が動転しているので 厳密な計算は 不可能ですので
大まかに 余裕が ある方に 計算します

十分な 高度が とれそうならば 飛行場の真上の ハイキーに 行きます
足りないようならば ローキー
それでも だめなようなら ハイベースに 飛行します

通常は ハイキーに 行けないようならば
飛行機を 安全な場所に 捨てた方が 助かる確率は 高いでしょ

たぶん 余裕を持って 計算するので
思ってたよりも 高い高度で ハイキーに 到着します

今度は この処理方法です
このときも 昇降計が 役立ちます・・・・・
まあ この話は 別の機会にしましょう
もう お話が 長くなりすぎたようなので


蛇足

HUDの フライトパスマーカーも V/Vって 言います
ベロシティーベクターの 略です

だから 相手が F−15の パイロットの場合は
V/Vといえば フライトパスマーカーの場合が 多いかも知れません

でも どちらにしても
飛行機の 動きの話ですので

分かってるような 顔をしていても 問題ないです