S.F.O

(Simurated Flameout Landing)

本来は エンジンが止まってしまったときの 着陸方法ですが
いろいろな 場合に このパターンで 着陸します

たとえば エンジンはなんとか 動いているけど
いつ止まるか 分からなかったり
OILが おかしかったり
燃料が 心配な場合など
いつエンジンが 止まっても 
エンジン推力に依存しないで 着陸できるように 飛ぶのが SFOパターンです


単発機には 必ず SFOパターンが 示されますが
双発機には 通常 示されません
また 示されていても 禁止事項です
なぜならば 双発機の両エンジンが停止する事は 設計上考えられてないからです
また 双発機は 通常緊急動力を 持ちません
そのため 両エンジンが止まると コントロールが利かなくなって
SFOパターンも 飛べないのです


ここで F−2を例に SFOパターンを ご紹介いたします

基本的には 飛行場の真上で くるっと 360度回ります
飛行場上空に 7000〜6000feetで 入ってきます
この高度を 切っていると もう降りられません
ですから エンジンが止まった時に 
その位置と 飛行場との位置関係を 正確に知っておく必要があります

もし エンジンが止まったら 何が何でも 高度を取ります
通常 350〜400kts程度で 飛んでいますので
滑空速度の200ktsぐらいまで 
速度エネルギーを高度に変えます

しかし ここで エンジン再スタートを 実施する場合は
早急に 減速すると
エアースタートエンベロープを はみ出てしまいますので
注意が必要です

実際は エンジン再スタートを しながら 高度を 取ります
高度の取り方は 3gプルアップ 30度 UP リード50ktsです

仮に 400ktsあったら
3gで 30度UPの姿勢にします
徐々に減速しますので その間に エンジン リスタート
250ktsになったら 200ktsのグライドの姿勢に入れます
これで 多分 3000feetは稼げます

高度を 稼ぐことは
滑空距離を稼ぐばかりではなく
時間も稼ぎ さらには Ejectionの成功確率も上げます

ちなみに F−2の滑空比は
5000feetの高度差で 約7nmです

エンジンも再始動失敗
そして 運良く 飛行場の直上 6000feetに 達することが出来たら
SFOです この場合は S無しの FOです
アクチュアル フォース ランディング です

ここを ハイキーと呼びます
ハイキーから 50度バンクに入れて 旋回を始めます
飛行機によって バンク角は異なりますが
F−2の場合は 50度バンクが 推奨されています

ハイキーから 180度回ったところが ローキーと呼ばれる地点です
ローキーは 3000〜5000feetあれば 良いでしょう

さらに90度
ハイベースです
ここで 2000feetあれば もう 降りれます
脚を下ろして 着陸態勢にします

また 2000feetを切ったなら
ベイルアウトはの成功確率は 低くなるので
もし 着陸に不安を感じたら ハイベース前に 決心する必要があります

接地は 滑走路の1/3をねらいます
手前にエイミングすると
もし 高度が足りない場合には 滑走路手前に着いてしまいますので
滑走路の 奥の方に エイミングします

接地は 通常接地速度よりも多く
かつ 使用可能滑走路長も短く
また ブレーキも 不確実ですので
ヒットバリヤーが 良いでしょう

これで エンジンが死んでも 降りることができます


しかし 世の中は うまくいかないのが 常です

もし ハイキー高度が足りそうも無かったら 
最初から ローキーに向かいましょう

それでも だめなようなら ハイベースでも 良いでしょう

しかし これらは 1発勝負ですから
何らかの 変更が発生した場合には もう 取り返しがつきません

もし ハイキーが10000feetになってしまったら どうしましょう
3000feetも 多いのです

この場合は 3000feetを ローキーまでに 消化します
ハイキーで 旋回せずに 直進します
そこで 3000feetの半分の1500feet 降下するまで 旋回を遅らせます
すると 決められた ローキーまでに 3000feet 消化できます

また 脚を下ろす時期も 高度余裕で違ってきます
高度が ぎりぎりなのに 早期に脚を下ろすと
滑走路まで 到達できないかもしれません

F−2の場合は 特に脚downと同時に FLAPが降りますので
急激な 抵抗増になります

また 必ず風は吹いています
そのため 風を考慮した パターンの飛行が要求されます
特に SFOの旋回方向は 風上側が 良いでしょう
風下側に 旋回して もし 高度が足りない場合には 確実に 滑走路には 到達できません


SFOの決心

エンジンが止まってしまって
かつ 再スタートが出来ない場合は

SFOかEJECTしか 道はありません
その場合 次のことを考えましょう

  1. 飛行機の状況
  2. 天候
  3. 飛行場の状況
  4. 自分の技量

これら 全てに疑問が無ければ SFOを決心しましょう
少しでも 疑問があれば 飛行機を安全な方向に向けて Ejectすべきです
また 夜間のSFOの成功確率は 極端に低いので 止めた方が 無難です


現在では 車でも エンジンが止まると
ステアリングが 極端に重くなり
ブレーキも利きが 悪くなります

飛行機の場合は それだけではすみません
全ての システムが 停止 もしくは 能力低下します

エンジンが ウインドミル状態で 回っている場合は まだ油圧が少しはありますが
油圧0では 何も動きません

たとえば F−4は 両エンジン停止した場合
EJECTが 正式手順ですが
なんらかの理由で EJECT出来ない場合には
SFOが許されます
しかし 接地近くで フレアーした 瞬間に
油圧が0psiとなって 全ての舵が ロックします
あとは 物理的に落ちるだけです
運が良ければ 何とかなるかもしれません

単発機では 何らかの補助動力が付いていて
主エンジンが停止しても コントロールだけは 出来るようになっていますが
グライダーと違って 滑空するために設計されていませので
ジェットコースター並の降下率で 落ちていきます

その間に 常に状況を正確に判断して
飛行機を操らなくては いけません
まあ 2分程度で全ては終了しますので 
どちらにしても ドキドキしてるのは
短時間ですが・・・・・