Bail Out


飛行機から空中で逃げることです
昔は飛行機の性能が低かったので
自分でキャノピーを開けて
自分でコックピットから這い出して
自分で飛び降りました
尾翼に当たらないように、気を付けながら
当然パラシュート背負ってです

しかし今はEjectionといいます
それは火薬によって強制的に
射出されるからです

ちなみに私はまだ経験がありません
また練習したこともありません
多分いつかぶっつけ本番になるでしょう

戦闘機からのBail Outは、思っているより
安全ではありません
もちろん、楽な物でもありません
統計的に見ると
射出した人で成功したのは80%
その中でまた飛べる人は50%
通常は、生きて帰ってきて良かったね程度です

だいたいは生きていても
脊髄をつぶしたり
手足を骨折したり
ひどい時には、風圧で飛んじゃいます

ベトナム戦争では、多くのパイロットが
射出失敗で、帰らぬ人となっています

では実際の射出はどのように行われるのでしょう
前にも述べたように
私は経験がないので
TO−1と、実用試験の経験からの話です
想像の領域が多いので
嘘かも知れません
今までもかなり嘘が有るかも知れないので
いいかな

戦闘機は高速で飛行します
巡航でもIAS350〜400ktsが普通です
TASで500ktsぐらい
Machで.8程度
EASだと450kts
だから地上の自動車で考えると
時速800km/h程度でしょうか
良く分かんないけど

100km/hの車かで箱乗りしようとしたら
かなりの体力がいります
体にかかる空気力は
速度の2乗に比例します
だから800Km/hでの
箱乗りは不可能です

昔、単発プロペラ機で
何となくキャノピー開いて
興味本位で、ちょっと指先を出したことがあります
多分80kts程度だと思いますが
その時は
指を出した瞬間に
飛ばされて
キャノピーフレームに指がたたきつけられました
想像以上でした

戦闘機ではいくら減速しても180kts
時速300kmです
F−1(自動車)並みの速度です
新幹線よりも速い
だから自力で出るのは不可能です

そのため、戦闘機は
パイロットが飛行機を捨てると決心したなら
火薬の力で
機外に打ち出されるのです
また戦闘を想定してますので
被撃墜・墜落は、前提です
ここは、絶対落ちない民間機との差です
民間機は絶対落ちないからパラシュート積んでないのです
まあ積んでいても素人の方には
飛んでる飛行機から飛び降りるなんて事は
出来ないでしょうし・・・・・・

さて、戦闘機のお話です
射出座席は通常0−0です
これは速度0kts
高度0feetでも、動きますよと言う表示です
0−0座席で
制限体重内で
かつ重心位置が設計点にあって
運や良ければ
助かるかも知れませんと言う表示です

通常は100kts以上
高度1000feet以上
上昇姿勢が必要最低条件となります

ちなみに600kts以上では
射出された瞬間に、手足はばらばらになりますので
ご注意下さい

高度50000feet以上では
急減圧と酸欠と寒さのために
地上に着いたときには、息はしてません

だからご機嫌なのは
10000feet
250ktsぐらいが、おすすめです
これなら射出次の風圧も大したことないし
降下に要する時間も10分程度で
景色が楽しめます

射出を決心したら
先ず同乗者に伝えます
2人乗りの場合には、通常後席から射出されます
前席から先に射出されると
ロケットの炎が後席に当たって
後席パイロットが、燃えちゃいます

通常は、前席が射出ハンドルを先に引いても
後席から出るようになっていますが
一部の飛行機は、全くシークエンスが無い物がありますので
ご搭乗の際にはご確認下さい

Ejectionは、ハンドルを引けば実施されます
ハンドルの形状や場所は、機種によって様々で
十分その飛行機で訓練する必要が有りますが
少なくとも直ぐ手の届くところにあります
逆に間違って引かないように注意しなくてはいけません

いったんハンドルを引いてしまえば
あとは全自動
何もする事はありません
強いて言えば、神様に祈るぐらいでしょうか

射出には20〜30Gぐらいかかります
背骨がつぶされます
姿勢よく打ち出されなくてはいけません
顎をひいて、背筋を伸ばして
頭をしっかり固定して・・・・・

打ち出されると、運が良ければ
座席は安定して飛行しますが
パイロットの体型が、設計点と違った場合は
座席は回転します
普通は回転しちゃいます
だってそんなに設計者の言うとおりの
体型のパイロットはいませんから

パラシュートは、直ぐには開きません
射出直後は、飛行機と同じ速度で座席も飛行しているので
直ぐにパラシュートを開くと
急減速のため
パイロットがちぎれちゃいます
そのために、しばらく自由飛行します

地上が近い場合には
直ぐに開きますが
その際には、速度を無視します

自由飛行で減速すると
自動的にパラシュートが開傘します
普通はこのショックで
射出時に気を失っていても
意識が戻ると言われてます

先ず誘導傘が引き出され
安定したところで
主傘が開きます

主傘が開けば、あとは降りるだけ
飛行機に搭載されているパラシュートは
スポーツパラシュートではなく
まん丸いものです
そのため飛行方向を制御するのは簡単ではありません
もし興味が有れば
肩の所にあるナイフを取り出し
パラシュートの紐の何本かを切ります
切る場所と本数は、赤いテープで示してあるそうです

これを切れば、飛行方向の制御も可能になり
また、振り子運動も止められるそうです

パラシュートにぶら下がっていると
多分自分の飛行機が落ちていくのが見えます
側には、もう一人のパイロットが
自分と同じように、浮かんでいるのが見えるでしょう

自分の下を見ると
たくさんの物が紐でぶら下がっています
無線機・ゴムボート・食料・救急用品・etc
これらは、着水してからのお楽しみです

出来れば着水が良いです
陸上は、多くの危険が有ります
我が国は山が多く、その上険しく
救難活動を阻害します
特に高圧線は、一撃でパイロットを殺します
理想的には
海岸近くの海が良いです
湖はある理由で避けた方がいいようです
それは、多くの物品の作動が
塩水に反応して動く様になっているからです

広い海での高度判定は、不可能に近い物があります
いつ海につかるかは
十分注意していなければ分かりません

ちなみに私は着水訓練だけはやりました
これは自主的に、やったのです
それもハワイで
モーターボートで引かれて
パラシュート落下です

パラセールです
あな気持ちの良いことは、初めてでした
今まで経験した中で2番目に気持ちいい物でした
あれが経験できるなら
ベイルアウトも良いかも知れません

さて、高度判定です
高度判定を間違えると、ひどい目に遭います
理由は、出来るだけ着水時には
パラシュートを切り離して置かなくてはいけないからです
ついたまま着水すると
風にながされて
水上をすごい速度で引かれて
溺れてしまうからです
もし風がない場合には
パラシュートが自分の上に落ちてきて
これまた、溺れてしまいます

だから着水と同時に
パラシュートをはずさなくてはいけません

高度判定は
自分の下に下がった
多くの物で判断します

多くの物品は自分から数メータ下にあります
それらが着水したら
直ぐ自分です
その時にパラシュートをはずすのです
だから出来れば2mぐらいの所から
水に落ちる程度が理想的です

ただしその前に自分で
浮き袋を膨らませて置いた方が安全です
浮き袋は、機種によって違いますが
どれも自分で膨らますことが出来ます
民間機に乗って
スッチーが説明してくれるのと同じ様な物です
失礼、今はCAでした

自動膨張装置は有りますが
これは海水に着いてから動きますので
溺れたくない人は、事前に膨らまして置いた方がいいです

何とか着水したら
あとは自分の努力次第で決まります
先ずは、ゴムボートに乗ることです
海につかったままだと、以外に早く死んじゃいます
体温を急速に奪われるためです

ボートに乗るのもかなり大変です
何とか乗ったら
ボート内の水を掻き出します
出来るだけ、出します
濡れていると、これだけで体力が消耗します

アンカーを出します
簡単な物ですが
アンカーを出してないと
風でどんどん流され、救助機の発見が遅れます
救難は、海流で流されるのを計算して捜索開始しますので
風で流されているとかなり遠くまで流されてしまい
救難機が見つけにくくなります

ボートに乗って水を出したら
休憩
体力の温存を考える
ここで日頃の体力錬成が物を言います

しかし現代は、無線機が発達しています
ベールアウトした瞬間に
自分から77を飛行機が出していますので
救難機は、自分が着水する以前に離陸しているでしょう

またゴムボートの横には
アンテナだけが突き出て浮かんでいて
救難信号を自動的に発信しています
だから着水後1時間たっても救難機が来ない場合は
あきらめた方がいいかも知れません

救難機が来るまでは、暇なので
その辺に浮かんでいる物を
集めます
紐で全てつながっているので
ボートからたぐり寄せれば手に入ります

先ずは、発煙筒 夜間用と昼間用があります
これは直ぐ使えるようにしておきます
ペンシルガンは打ち上げ花火のような物です
シーマーカはでかいバスクリンで海を緑色にします
その他、色んな物があります
緊急糧食もあります
今は、カロリーメートみたいなやつです
まあまあおいしい物です
脱塩キットなる物もあり、海水を真水に変えてくれます
コパトーンは入っていないので
日焼けには注意しましょう
あとは、色んな物の説明書を良く読んで暇をつぶしましょう

そんな事をしていると
救難機のお出ましです
救難機は救難信号を頼りに飛んできます
今の救難信号発信器は
通常の無線機にもなり、会話も可能です
救難機が見えたら、お話も良いでしょう
パイロットの名前を聞いておけば
後でお礼状を出すときに便利です

発煙筒を炊きます
これによって風向きを
救難ヘリに教えます
ヘリは風下からアプローチします
ダウンウオッシュはかなりきついので
覚悟が必要です

ヘリから下がっている
わっかが近づきます
直ぐ取ると、静電気で感電しますので
一度水に着いたのを確認してから、しがみつきます
わっかを背中に通して
つり上げてもらいます

これで無事救出
あとは飛行隊に帰って
ウェルカムパーティーです


私の知人の中に4名ベイルアウト経験者がいますが
今まだ飛んでいるのは1人だけです
あとの2人はそれ以来地上にいます
残りの一人は、救難機が行ったときには、すでに冷たくなっていました