4日目 知床半島 
5日目 野付半島・阿寒湖・屈斜路湖
6日目 摩周湖・網走




4日目   9月4日

6時30分 突然の踏切の音で叩き起こされる。待合室へ移動。蚊取り線香は寒 いところでは、長くついていることが判明。太陽が当たっているプラットホーム でひなたぼっこし、やがて来た列車で斜里駅へ。

トヨタレンタカーで2日間、車を借りることにする。一目で気に入った青い軽 バン、ダイハツ・ハイジェット4WD・マニュアル車。室内が広く、後部シート を収納すると十分に眠れるスペースができる。嬉しくて二人で大騒ぎ。この車を 「 ジャーニー 」と名付ける。知床半島へ向けて出発。オホーツクの青い海が広がる。まず、豪快に流れ落ちるオシン コシンの滝へ。駐車場で ジャーニーとともに

12時 知床五湖に到着。一番長い90分コースを歩く。植物密集帯、クマ笹、原生林、朽ちた木 、といった手つかずの自然の中に5つの湖が次々と姿を現す。この地を「 最後 の楽園 天使が落とした5つぶの涙 」と名付ける。途中から「ヒグマが出るか ら注意、音を出して歩くように」という看板が。二人で布袋の歌を大声で歌いな がら歩き、3qを踏破。再びジャーニーで原野へ出発。まっすぐに続く一本道。


ドライブの途中に現れる、フレペウの滝、知床峠、羅臼岳、間欠泉などを見な がら山道を行く。遠くに国後島が見えたりもする。北海道は一つ一つの風景のス ケールがでかい。

←途中で 野生のエゾシカ がいる。人間がいてもゆうゆうと草を食べている。

ヘビもいた。
羅臼町へ。洞窟で天然記念物のひかりごけを見る。角度を変えるとコケが光っ て見える。ここは武田泰淳の小説「ひかりごけ」の舞台になった地。

ジャーニーはマニュアル車なので、山道でのクラッチの使い方が難しく、ヒヤ ヒヤしながら運転する。北海道の他の車は走るのが速く、次々と追い抜かれてい くが、気にしない。バンなのでカーブでスピードを出すと倒れそうに感じる。
羅臼峠、海岸を経て18時45分、野付温泉へ。アルカリ性の温泉があり、すごい 軟水で、入っていると体じゅうがぬるぬるしてくる。ごきげん。爽快になって野 付半島に向かう。

野付半島は砂州であり、両側は海。民家はなく、当然、街灯などなく、車のライトを消 すと真っ暗である。いるのはキツネだけ。外からは波と風の音だけが不気味に響 いてくる。この半島を勝手に「 世紀末半島 」と名付ける。今日はここの駐車 場で寝ることにする。車の中を寝れるように整え、とても 快適な空間 ができあがった。幸せな気分で眠りにつく。
今日は、ジャーニーと知床半島の一日であった。




5日目   9月5日

寒くなくて、よく眠れる。4時40分起床。朝の野付半島。どんよりとした天気。
ネズミが道で何匹か死んでいる。トドワラへ。トドワラとは、昔はトド松林だ ったものが、海水の浸入や潮風によって枯れ、白骨化したもの。つまり松の墓場 である。荒涼たる果ての地に枯死し、骨をさらす松。周囲は湿地帯で足が埋まる 。軽い頭痛がする。ジャーニー(車)で野付半島を後にする。不思議な陰のある 場所だった。

中標津を走る。この辺りはパイロットファームがあると小学校の頃習った。
牛や馬、サイロなどを見ることができる。

←牛のボビー

8時 開陽台へ。ここは北海道をバイクでまわるライダーの聖地であり、多く のライダーたちがテントを張っている。北海道はこの時期から結構寒い。バイク で走れば、とても寒いはずだ。あまり考えたくないけど。
やがて雨が降り出す。摩周駅を通り、双湖台で北海道の形に見える湖、ペンケ トウを見て、阿寒湖へ。

10時20分 阿寒湖
ボッコッボッコと泥を跳ね上げるボッケを見る。この辺りの地面は活動してお り、熱を帯びている。
阿寒湖は、遊覧船が通ると波立つが、それ以外はとても静か。水が温かいとこ ろ、熱いところがあり、それぞれに生息している藻の色が違う。湖畔の石は軽石 。
遊歩道を歩く。倒れて朽ちた木、葉の大きなシダの群生、大きなキノコ、シカ が食べて皮がなくなっている木など。
商店街を通り、ぎんぎつねが飼われている店で、マリモとキャラメルを買う。 阿寒湖は天然記念物のマリモが有名。北海道では特製キャラメルが売っていて、 これがおいしい。カボチャ、じゃがバター、ハスカップ、牛乳味などを買って食 べた。

来た道を戻り、屈斜路湖へ。
和琴温泉に行くが、この温泉が露天風呂で超メガヒット。屈斜路湖から注ぐ冷水と熱い湯が混じり合ってできている。 湯の底は砂利、湯の中にはたくさんの藻が生息している。湯の温度はちょうど良 く、小雨の降る外のひんやりした空気と相成って絶妙のバランス。屈斜路湖の景 色を眺めながらつかる。今まで入った温泉の中でも最高級品。道行く人たちに見 られながら、 暴れるぼくたち 。この温泉に「 特称 」の称号を与える。
ジャーニーで屈斜路湖の周囲を回り、川湯温泉街へ。大衆食堂でラーメンを食 べ、アイヌの子孫のおじさんの土産店で雑談した後、川湯温泉駅の方へ向かう。

硫黄山がもうもうと煙を上げているのが見えるので、もちろん行くことにする。
観光客がたくさん来ている。あちこちから硫黄と水蒸気が激しく吹き出してい る。そしてこの山の凄いところは、観光客が限りなく近くまで、吹き出し口に寄 れてしまうこと。ボコボコ音がしている。 ここまで寄れてしまって良いものか と思ってしまう。
硫黄山アイスを食べる。シャーベット状でシャキシャキしていて、とてもおい しい。「 絶品 」の称号を与える。

2日前に野宿した川湯温泉駅に行き、摩周のわき水を水筒に汲んでおく。川湯 温泉街に戻り公衆浴場へ。ここも温泉。北海道の銭湯はたいてい温泉になってい る。ここの公衆浴場は、受付の人とかはいなくて、箱に150円入れるようにな っていた。浴場は壁が崩れていたり、タイルがはがれていたりして汚れているけ ど、温泉には変わりない。硫黄湯につかる。18時30分、摩周湖へ向けて出発。

山道を登るが、もの凄い霧に突入。先が全く見えない。ハザードライト点灯、 クラクション、パッシングをして、最徐行で進む。(こんな時に走っている車な どなかったけれど。)暗闇、小雨、風、霧、世紀末系だ。昨日の野付半島は海だ ったが、今日はそれの山版である。こんな深い霧は初めて。この天候を「 神の怒り カムドゥーガ 」と名付ける。なんとか第一展望台の駐車場へたどり着く。熊が出そうなの で、外には出たくない雰囲気だ。夜の自然には迫力がある。今日はここで寝るこ とにして、車内を整える。弁当をもりもり食べ、(片は菓子を食いまくり)22時20 分、就寝。




6日目   9月6日

4時50分、片の声で目覚める。天気はなんと晴れ。神の怒りがおさまってくれ たみたいだ。
摩周湖
第一展望台より。見える。クリアーに摩周湖が見える。カムイヌプリの山、湖 に浮かぶ小さな島。昇る太陽の光がまぶしい。想像していたより、湖は青く、静 かではないけれど、それでも十分見応えがある。一番晴れてほしい所で、一番い い天気になってくれた。もし神がいるなら、ありがとうと言いたい。風雨の次の 日は晴れ、そういうものだ。昨日はどうなることやらと思った。
第三展望台へ。こちらではカムイヌプリとカムイシュ島が中心に見える。人が 立ち入ることのできない湖畔。ずっとこのまま秘境のままであってほしい。そう いう湖が一つくらいあったっていい。 一人で記念撮影

6時15分出発、斜里駅へ向かう。だんだん曇ってくる。晴れてたのは摩周湖だ けだったんだ。摩周湖の天候を「 神の恵み 」と名付ける。斜里駅到着。総走 行距離530q。よく頑張ってくれたジャーニー(車)の似顔絵を描く。レンタ カー店へジャーニーを返却。10時40分。ありがとうジャーニー。

釧網線で網走へ。網走の名所を効率的に回れるバスツアーに参加。
13時出発。草原の広がる能取岬を見学した後、能取湖へ。ちょうど9月に見頃 となるさんご草(さんごの形をした赤い草)が一面に群生しており、赤いじゅう たんの様に見える。
網走湖、天都山展望台の後、-18℃の流氷館で保存してある流氷を見る。

網走監獄へ。ガイドさんが監獄内を案内してくれる。行刑資料館で、北海道は囚人たち によって開拓された部分が多いことを知る。現在の網走刑務所では終身刑者を収 容しておらず、2年刑が多く、半数は麻薬関係らしい。実際に囚人たちが入れら れていた5翼平屋舎房も見学。脱獄者を発見しやすい造りになっており、壁は監 視員から見えるように工夫され、天井は天井破りがすぐ分かるようになっている 。また、囚人同士を刺激しないように、向かいの囚人が見えないように工夫され ている。 孤独な独房
昭和の脱獄王Y.S.は、毎日の食事のみそ汁を、木と鉄格子の部分にかけ続け、 鉄を錆びさせて外し、できた隙間に頭を突っ込み、肩の骨をはずして独房から廊 下に出、天井に登り、上のガラスを頭突きで突き破り脱獄。2年間逃げるが、札 幌で捕まる。彼は生涯4回脱獄。1回目は合い鍵を作り、2回目は換気扇から、 3回目が網走でのみそ汁戦法、4回目が床を掘って。もの凄いパワーだ。このパ ワーが社会に向けて用いられていたら凄い人物になっていただろうと思う。4度 も脱獄した彼だが、府中刑務所に送られ、所長の温かい態度で更正し、模範囚と して見事出所。
駅に戻りバスツアー終了。

遠ざかっている北海道の幸を味わおうと網走の街に繰り出す。店を厳選し、良 心的そうな白樺に決定。オホーツク丼をたのむ。いくら、うに、はまち、えび、 はまち、ほたて、まぐろ、貝がのったドンブリ、紅さけの入ったみそ汁、漬け物 、熱いお茶。新鮮でうまい。海の幸が総集合。やっとありつけた北海道の味に 大満足

街を散策し、見つけたマンガ喫茶へ。旅行記をつけ、エンディングを知りたかったブラックエンジェルズなどを 読みふける。18時20分〜21時40分。コーヒー代350円で3時間20分居座る。マ ンガは時間を忘れさせる魔力を持っており、やはり優れた文化だと感じる。夜に 網走という街の小さな喫茶店でマンガに没頭する、その雰囲気に酔ったひととき だった。北海道での出来事の中で、最も心地よいときであったと言える。
オホーツク丼を食べて、喫茶店でマンガを読む。昨日の夜と比べてみると面白 い。

22時15分 石北線オホーツク号で上川へ向けて出発。列車内では、旅行記に描 いた絵の色塗り、北海道での道のりなどを描いて過ごし、やがて眠りに入る。




     
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