初等数学史42
(これは前号と同じです。)
古代中国でもっとも有名な数学書と言いますと、言うまでもなく『九章算術』です。著者及び成立年代はよくわかっていません。(「中国数学史」みすず書房によりますと、成立年代は、50年から100年の間、編者は馬続である可能性もあるとされています。)ただ、焚書(B.C.213)後すぐに、張蒼という数学者が古代の書き物を集め、『九章算術』を編集したという伝承が伝わっています。
書名から明らかなように、『九章算術』は九つの章から成り立っています。異本があるようですが、だいたい次のようです。
1.方田(農地の面積を求める。)三角形、台形、円などの面積を求める正しい公式が載っています。円周率(π)は3とされています。
2.粟米(穀物の計算)比と割合に関することが載っています。
3.衰分(分け前の計算)比例に関することが載っています。
4.少広(長さを求める。)図形の辺の長さを求めることが載っています。平方根と立方根も含まれています。
5.商功(体積を求める。)体積について。
6.均輸(混合法(alligation)について。)運動(ウサギ、犬など)の問題と混合法に関するものが載っています。
7.盈不足(過不足算)「過剰」と「不足」という二つの概念を用いて方程式を解く仮定法について述べられています。
8.方程(方程式)連立一次方程式に関することが載っています。いくらか行列式の概念も含まれています。
9.句股(直角三角形)ピタゴラスの三角形に関することが載っています。
さらに、中国の数学に興味のある方は、岩波新書「中国の数学」薮内清著を、『九章算術』の内容に興味のある方は、科学の名著「2.中国天文学・数学集」朝日出版社、中国の研究については、銭宝@編・川原秀城訳「中国数学史」みすず
書房をお薦めします。
mailto:m-souda@jsn.justnet.or.jp
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前回の解答からいきましょう。「澎湃(ホウハイ)」「管掌(カンショウ)」「岐かれる(ワカレル)」「貪婪(ドンラン)」です。「澎湃」は「水が逆巻きみなぎるさま、強く広く起こるさま。」「管掌」は「取り扱う、つかさどること。」「貪婪」は「非常に欲が深いこと」です。
さて、尾高朝雄著「法学概論」続けます。
「しかし、明治憲法は、神ながらの洪範とされていた天皇統治の形態を、無窮の将来に伝えるために制定されたところの、「不磨の大典」たるべきものだったのである。」
「しかし、他方では、統治権の発動が、立法に関しては議会の協賛を、司法に関しては天皇の名においてする裁判所の独立の行動を、行政に関しては国務大臣の輔弼を必要とするものとし、それによって権力行使の筋道を明らかにしている。」
「元来、民主主義は平和主義である。すべての人間を個人として尊厳する民主主義が、大量の人命を塵埃のようになげうつ戦争をできるだけ避けようとするのは、当然である。」
「日本の軍国主義は、戦争によって日本国民を塗炭の苦しみに陥れると同時に、諸外国の国民に対しても多大の惨害を与えた。」
から「洪範」「不磨の大典」「輔弼」「塵埃」「塗炭の苦しみ」を取り上げます。これまで通り意味も。
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