イギリス刺繍旅行その4

イギリス刺繍旅行その4〜コッツウォルド1


リバプールから、さらに車で南に下ってゆくと、イギリスのいなかの代表、コッツウォルド丘陵地帯へと入っていきます。ここらへんは鉄道が通らなかったため、時代の変化から完全に取り残された地方なんですが、それが幸いして、昔からの風景が今も残ってしまったというところです。
丘には麦畑と菜の花畑とひなげし畑で、パッチワークの様に色分けされていて、それだけで感激!その合間に羊もいます。
谷間には川が流れ、そこにはグレーの傾いたような屋根の家が、よりそうように建っているという具合。そんな村が、あちこちに点在していて、それはそれは美しい!

ロンドンから2時間もかからずに来られるということで、週末は結構込み合うとか。ちょうど土曜日だったのに、まったく宿の予約をしていなかった私は、かなり焦り気味。でもまずどこの村に泊まるかを決めなければならず、どうしたらいいのか迷ってばかり。結局「ええい」というかんじで、夕方5時半も過ぎていたので、ここらで妥協するかと、バーフォードの村の駐車場に車を止めました。

それから村を歩いて宿探し。メイン・ストリートには、坂にそって傾いた家が建っていて、まるでおとぎの国のよう。そのなかに刺繍屋さんがあり、閉店していたものの、ショーウウィンドウにはクロスステッチやニードルポイントの作品が飾られていて、思わず立ち止まって覗き込んでしまいました。するととなりに小さなドアがあります。看板をみると、「Burford Needlecraft & The Highway」の文字。なんとここはB&Bだったんです。
一階は店とフロント、2階3階が部屋なんですね。これはすごい! 刺繍の宿ってのは、ちょっとやるんじゃない?  「ヤッター!」と思って、さっそく入ると、若いイギリス人カップルと、おじさんが、なにやら話をしている最中。
「シングルで泊まりたいんですが」と言うと、おじさんは
「この二人が今最後の部屋を予約したところなんだ」と残念そうに言い、断わられてしまいました。ガックリ。せっかくの刺繍の宿なのにー。バカヤロー、という気分でしたが、すでに6時。宿を探さなくてはなりません。しかたなく、別の宿を探しに行きました。
すぐ近くに「Bay Tree Hotel」という宿があり、入ってみると、かなり立派なカントリー・ホテル。聞くと部屋はあるというので、見せてもらって、結局ここに決定。廊下のあちこちに18、9世紀に作られたクロスステッチのサンプラーが飾られていて、これが実に私の好みなんです。どうだ、こっちだって刺繍の宿だ、とひとりで興奮しておりました。
きけば、昔の有名人の別荘だったとか。どうりで暖炉も年期が入っていて、炭のいい匂いがするし、イングリッシュ・ガーデンはすばらしくきれいだし、それを眺めるレストランも格式があるけど、タペストリーが素敵で、いなか風の居心地の良さがあるんです。「たまには贅沢もいいか」と、ここに泊まることにしたのでした。
さあ明日は刺繍屋さんに行って、かたきをとるぞー! と思いながら、結局夜はひとりで中華を食べに行って、なごんでしまいました。おいしかったよ。

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