イギリス刺繍旅行その5

イギリス刺繍旅行その5〜コッツウォルド2


バーフォードに泊まった翌日は、日曜日だったので、朝ご飯を食べたあと、まあ教会でもいってみようかと、セント・ジョン教会にゆきました。
ちなみに、この教会、『マリ・クレール』の95年12月号の142ページに写真がでています。ヨハネ教会と書いてありますが、イギリスでは、セント・ジョンと呼びます。
雑誌によると、あのニードルポイント作家のベス・ラッセルも大好きな、美術工芸作家ウィリアム・モリスと揉めた教会だそうで、その辺の詳しい話は、雑誌を読んでください。(といっても、今となっては、難しいかな?)
とにかく、出かけて見ると、なぜか礼拝はなく、パイプオルガンの練習をしているおじさんがいるだけ。フラワーショーということで、礼拝堂は生け花の会場のようになっていました。
でも、私がびっくりしたのは、その客席におかれたニードルポイントのクッションでした。なんとおびただしい数のサブトンが、ひとつひとつ椅子に並べられているんですね。ブルーをバックに、学校の校章のようなデザインが描かれていたり、いろいろあるんです。
またひざまずくためののクッションも、やっぱりニードルポイント。
礼拝堂の後ろには、15センチ四方のニードルポイントのモチーフを集めて縫ったガラス張りの衝立もあって、ボーゼンとしてしまいました。
どうも学校の生徒たちが作っているようで、学校の名前を刺したものや、校章や、犬や猫の顔や、いろいろあって、なかなかなごめる雰囲気。どうもクッションも生徒たちの作品のようでした。それにしても、これだけいろいろあると、嬉しくてたまりません。
写真をとらなかったので、とても残念です。 ということで、この教会は、とてもおすすめだったのでした。

そのあと、例の刺繍屋さんへ。ここはクロスステッチとニードルポイントのみといったかんじで、ぎっしりと材料がそろっています。図案が少ないのが、やはりイギリスだなあと思わせます。アメリカの店は、メインが図案というところが多いだけに、それなりに楽しめるんですが、材料だけだと、そう長居もしにくいというか...。
それにしても作品もたくさん飾られていて、とくに月と日が2重になっているカレンダー状態のベルプルは、すっごくよかったです。いろんなステッチで刺すキャンバスワークも飾られていて、イギリスでは、初めてみました。ニードルポイントの作品も多く、有名ステッチャーによる講習会のお知らせもありました。
それはともかく、カウンターには、昨日B&Bのフロントにいた、あのおじさん。せっせとニードルポイントを刺しているんですが、真っ白のキャンバスに線も引かず、刺しているんですね。きけば、うまい人は絵も線も描かずに、自分の好きな色で刺していくのだとか。
お手本の絵もないとは...。馬の絵を見ながら白いキャンバスに直に刺す人は、ニューヨークでも見たのですが(これも男の人だった)、絵や写真なしで、どうやって刺せるのだろう。絵を描くのだって、描く対象がないと難しいのに...。

ところで、このおじさんのフレームが、またユニーク。なんと周りの枠がクッション状態になっているんです。それに60本くらいのマチ針で、キャンバスを止めつけているんですね。
「珍しいですね。そんなフレームって売ってるんですか」と聞くと、
「こんなの、どこにでもあるよ」との答え。でもおいてある店は、ついぞみかけませんでした。きっとお手製だったのでしょう。触らせてもらったのですが、クッションの感じがとてもよかったです。
「スクロール・フレームの方が便利じゃありませんか」と聞くと、
「動かしてマチ針を刺し直せばいいんだから、これで十分だし、簡単だよ」だって。
この愛想のなさといい、自信たっぷりなステッチングといい、さすがイギリスのオヤジ。今回は、いろんなタイプのイギリス人と話をしましたが、けっこうこの人も硬派でした。

これで、旅行記は、おしまいです!