なんだかちょっと、面倒なことになってきたぞ(^^;)
サムのチームが、「シギィ」という男によって全滅に追い込まれて、そのシギィって男は、実は生け贄用の人間を卸す結社の黒幕。
それでその結社は、アルハンテリの黄金とよばれる「シェリン」という最新の麻薬も製造しているわけだ。
俺は、休息場所に行って暇を潰すことにした。そこには非番の兵士がけっこういて、カードゲームに興じている。
「おう、コージ。入れよ♪」
「遠慮しとくよ。お前ら強いんだもん。希少な稼ぎをぼったくられるのはごめんだぜ」
俺は、声をかけてくれたグループの奴等のゲームを見ていた。大金賭けてるんだ。本当は、いけないんだけど…と、その時だった。
ドンッと大きな音とともに建物が揺れた。一瞬暗くなったが、すぐに非常灯がともって空気が緊迫する。
“A State of Emergency.補給庫が爆破された模様”
女性の声が、サイレンと同時に緊急事態を知らせている。
“戦闘配置E−A2レベル。A State of Emergency.E−A2配置による対象者は、大至急、補給庫へ急げ。繰り返す。補給庫が爆破された模様…”
俺達は、何もかも放り出して飛び出したのだった。非番でも、腰に銃くらいはぶら提げてるし、俺だって一応持っていた。それに、所定の場所まで行けば武器は配られる。俺達みたいな部外者は、取りあえず最前線に行くことになっている。それで俺は、補給庫に突っ走っていった。
補給庫は、独立した場所にあるわけじゃない。一階の、滑走路の飛行機から直接荷物が搬入出来るような位置にあるんだ。もちろん、そこから地下3階位までが倉庫になっているんだけど。そしてそこから黒煙が吹き上がり、スプリンクラーが作動していた。銃撃よりも、消火が仕事だった。武器弾薬の類はないからいいけれど、それでも補給物資のある場所だからな。みんな必死だ。
“補給庫前、総員待避! 消火部隊が入る。総員待避せよ!”
消化器を手にした兵士たちが下がると同時に、長いホースを引っ張った消防専門の部隊が突っ込んでくる。奴等は勇敢にも黒煙の吹きすさぶ倉庫に突入し、あっという間に3人ほどの補給部員を担いで出てきた。
俺の居る位置からじゃ、彼ら3人の中にウェリーがいるかどうかも分からない。とはいえ、補給部のメンバーは、みんなよく知ってるからな。誰であってもいいから、とにかくみんな、助かってて欲しいとは思うけど、これじゃあ…
とにかくその場は、消防部隊と医療班、そのたもろもろで混雑を極めた。外では銃撃もあるらしく、兵士たちがどんどん出て行く。が、俺はそんな気分じゃなかった。ウェリーの姿が、確認できない。まさかあいつ、本当に、ちょうど倉庫にいたんじゃないだろうな?いつもは、ワゴン押してうろついてるはずなんだけど…
俺は、消化器の搬入を手伝いながら、その場の後方にとどまる事にした。
鎮火後10分ほどして俺は、人込みの中でファーダを見かけた。
「ファーダ!」
ほんの近くまで駆け寄った瞬間、俺はセレブ少佐に強く腕を掴まえられた。
「コージ…」
少佐は微かに首を振り、俺の腕を強く引っ張る。ファーダは俺のほうをちらっと見て、そしてまだほんの少し黒煙を噴いている補給庫の方に向き直った。サムも、俺のところに来る。
ここまでくりゃ、何があったかは想像つくぜ。補給庫の中から、シーツを被せた担架が運び出される度、担架はファーダの前でちょっと止まった。そしてファーダのお祈りに見送られ、搬送車両に積み込まれる。
その担架の一つに、ウェリーの識別プレートがのっていた。シーツからはみ出した栗色の毛が、煤けている。
「あ〜あ…運の悪い奴だぜ。休暇目前ってのに…」
サムと視線の合った俺は、そう言って肩を竦めた。
一通りの死体を見送り、ファーダが俺のいるところにやってきた。
「死者、15人だってさ。補給部で生き残ってたのは、最初に担ぎ出された3人だけらしい。部員全員、倉庫にいたようだし…仕事していた場所が、明暗を分けた」
ファーダの言葉に、俺はもう一度両肩を大袈裟に竦めて見せた。
「運不運ってのは、単純なモンだ。ウェリーの奴、物資の整理が滞っていたって言ってた。整理なんか、明日にしときゃよかったのに」
言ってるうちに、俺はちょっとむきになってしまった。
「運も実力のうちだしな。不運を避けられないのは、死んだそいつのせいだ。ウェリーに、生き残るだけの力がなかったんだ」
「コージ。死者の前で強がったら、駄目だよ」
ファーダはそう言って俺の肩を叩き、俺とサムの腕を掴んで歩き出したんだ。
「お…おい、ファーダ?」
セレブ少佐が、慌てたように追ってくる。
「どうしたんだい?ファーダ、一体…」
「いいから、ついてきて」
ファーダは、現場から一番近いテレホンルームに入り、電話にカードを差し込む。
「……ああ、ランディ?ちょうどよかった。仕事をすることにした」
え?
「そうだ。アルハンテリの黄金さ。準備してくれ。待ちあわせは4日後。………いや、場所はベトナムじゃない」
ええ?俺とサム、そして少佐は顔を見合わせた。ファーダは、俺達を振り返った。
「落ち合う場所は、香港。情報収集から、徹底的にやる。ジェシーも誘っておいてくれ」
俺達は、唖然としたまま立ちすくんでいた。
「引き受けた理由?ああ、ウェリーが殺られた。補給部の…ああ。3人しか生き残ってない。弔い合戦といこうぜ。それに、めちゃくちゃいいゲスト、見つけたんだ。お前と気が合いそうだ」
ファーダはそう言って、サムにウインクしたのだった。
進展としては、望んだとおりだ。ファーダが進んでやる気になってくれたわけだし…。だけど、俺はかなり多くのことを黙ったままだ。何だか、言い出すチャンスを失いかけている。これは、マジでやばいぞ!
何かを打ち明けるっていうのは、あまり得意じゃないんだよ(^^;)。隠し事も苦手だし。嘘をつくのは、自慢できるほど上手いんだけどさ。
こういう時は、ヨハンに電話するに限るぜ。俺は深夜、時差も気にせず奴に直接電話を入れたのだった。
“コージ…。こっちは出発準備で忙しいんだ。だいたいそっちは深夜だろう。何をしている?休める時に休んでおかないと、後が辛いぞ”
「分かってるけど、ヨハンの声が聞きたかったんだよ(^^;)」
“まったく君は、いつもそうだ。隠し事ができると、わたしの声を聞きたがるな”
す、鋭い奴…というより、俺の行動が単純なのかな?
「まあ、それはその…」
“隠し事と嘘の手伝いは出来ないぞ。苦しいのならファーダに言えばいい。4日後、会ってからで間に合うなら、懺悔に付き合うが?”
ヨハンの言葉に、俺はほっとしたよ。ウェリーの事、聞いているはずなのに、ヨハンがそれに触れなかったことが、本当にほっとした。俺は、大袈裟にため息をつく。
「…間に合いそうも無い。ゲストへの隠し事は、香港に行く前に打ち明けるべきだし、ファーダへの隠し事は、多分明日の…って、もう今日のことだけど、昼の打ち合わせで、ばれると思う。どうしたらいい?」
“正直に、ばれる前に自分から言うんだな。それが一番正しく早い解決法だ”
「タイミングを逃しかけてる(^^;)」
“タイミングなら、自分でつくればいい。朝のコーヒーを飲んでいる最中に、「ちょっと話があるんだが」と切り出せば、それで充分じゃないか”
「…ヨハンは、強いよなぁ(^^;)打ち明けられるし、隠せるし。俺はどっちも苦手だよ」
“コージは、嘘をつくのだけが上手だからな。事後処理が下手すぎる”
見破られている…(笑)ああ、これだから付き合いの長い相棒って…(^^;;;
“まあコージ、わたしも君に、いい加減会いたいと思っていたところだ。国際赤十字から、コージに危ない仕事を頼んだから、護衛をしてやって欲しいと依頼されたし”
「ほんとか?」
俺は思わず聞き返した。赤十字ってば、気が利くじゃん…
“本当だ。チームで仕事を受けたから大丈夫だとは言っておいた。余分な依頼料を払わずに済んで、あちらはさぞ、安心しただろうよ”
ヨハンの言葉に、俺はようやく笑う気になった。
「朝になったら、頑張ってみるよ。結果が悪かったら、慰めて」
“正直に打ち明けて、悪い結果が出るはずなかろう。それでも悪い結果なら、君の普段の行いも悪いんだ”
「そんな救いようの無い事言わなくたって…(^^;)」
“真実として言っているんだ。とにかくコージ。余分な事は考えず、とっとと寝るんだな。4日後に会った時、私が改めて聞いてあげるから”
「…そうしてもらうよ。とりあえず、吉と出るように祈っててくれ。それじゃあ…」
“ああ、コージ?”
切ろうとした電話を引き止めるように呼びかけられ、俺は返事をした。ヨハンは、暫く沈黙した後、咳払いをする。
“その、何だ。国際赤十字の気の回しかたに、感謝するんだな。もっとも私は、頼まれなくたって、いつも君の護衛をするつもりでいるんだが”
……………呆れた奴(^^;)。俺は、壁に寄りかかった。告白されてるみたいで、ちょっと嬉しかったりもするんだけどさ♪
「…そうしてくれ。じゃないと、命がいくつあっても足りないよ。じゃあお休み、ヨハン。4日後に会おうぜ」
“ああ。香港でな、相棒。お休み”
俺は受話器を置いてため息をついた。
ファーダには、赤十字から危ない仕事を受けた事と、アルハンテリの黄金が何なのかとということを知らせなきゃいけない。だいたい、黒魔術を信仰しているような宗教なんて言ったら、奴はきっと張り切っちゃうだろうな。
そしてサムには、シギィが一度香港に戻って計寸婆婆を騙そうとした事を打ち明けなくちゃいけない。そして、どうして計寸婆婆が、あんなにも必死に、「俺」にサムたちの消息を調べるように依頼したのか…。それは、既に調べてあった。これは絶対、俺の口から言える事じゃなかった。
だけどとりあえず、シギィが香港に戻ったという事だけは、伝えなきゃな。シギィが危険を冒してまで香港に戻ったその理由は、サムに想像してもらおう。
亜莱(アライ)…、サムの女が殺されたと、言わなくても察して欲しいぞ。
朝食は結局、何も言い出せないまま終わったのだった(苦笑)
ああ、俺ってどうしてこうなんだろう(涙)。ヨハンの呆れ顔が目に浮かぶよ。結局ファーダに打ち明けとくべき事も、セレブ少佐を交えたミーティングでばれ、ファーダに後頭部を 叩かれた。
俺は自ら、最悪の結果を招いているらしい(^^;)ヨハンに電話した効果が、全然ないじゃないか!あ〜っっっ、もう、樹 神氏の馬鹿っっっ!
こりゃ参ったね。俺は仕方なく、沈黙を決め込んだ。取りあえず沖縄行きの便に乗り込み、半日のバカンスを楽しむぞ!
こうなりゃ自棄だ。どうにでもなってまえっっっ。
そして俺は16時間後、沖縄で11月の夕日を楽しんでいたのだった…
どういうわけか確かにまだ泳げるけど、ちょっと寒い(^^;)。兵士たちに人気なのは、屋内プールだった。
「コージ。元気が無いね」
サムが、缶ジュースを持って砂浜でぼーっっとしている俺のところに来る。
「よう…(^^;)香港に連絡、ついたのか?」
「ああ。計寸婆婆が、コージに感謝していた」
彼は、ちょっと口を噤む。
「…飲茶じゃなくて、満漢全席奢るってさ。それに限らず、なんでもいい、これから先の情報料も、みんなタダにするって言ってるよ」
うう、なんだか隠し事していることに、良心が痛む(^^;)
ただ、香港に連絡した以上、ちゃんと分かっているのではないかと思うけど…
「…そりゃ、有り難いぜ。婆婆の情報は、質が良いだけに高いから」
「そうだな。うちのチームも、婆婆の取り分が一番多かった」
と、サムは苦笑いして俺に缶コーヒーを渡す。短くした金色の髪がきらきら光って、すっごく綺麗だった。
「仕事するのは俺達なのに、仕事持ってくるだけの婆婆が半分取っちゃうんだ」
「そんなもんだよな。俺達のチームだって、アジトの家主(ずばりヨハンの事)がたいてい多く取るけど」
「ハンティング…だったね。噂は香港でも聞いてたよ。結成半年だけど欧州でも凄腕の奴ばかりが集まっている最上のチームって。それから、コージ・イツキ。どうしてアジアでフリーの活動をしてくれないんだろうって、どこのチームも言ってた」
と、サムは俺を見た。
「ここ、日本の出身だろ。コージは」
「まあな。でも、あっちのが体質に合ってるよ(^^;)。皇(=すめらぎ。日本の代表的な傭兵チーム。というより、外務省所属の裏組織)なんかからは、よく声がかかるんだけどさ。今のところ断わってるよ。日本に家族いるし、こんなことしてるの、内緒だし(^^;)」
「……」
サムは、物珍しそうに俺を眺めた。
「家族のほうは、まっとうな生活してるんだ?皇なんかは、家族にもその実体が知られてないって話だけど、俺の知ってる傭兵は、家族ぐるみとか天涯孤独ってのが多いよ」
「俺の知ってる奴等だって、そんなのばっかりさ。まあ、もう少ししたら自立するよ。俺はどこに行ったって、1人でも生きていけるし…」
「随分、親不孝だな」
と、彼は顔をしかめた。
「まともな家族がいるのに、どうしてこんな仕事してるんだ?」
「それはよく聞かれることだけど…」
この質問に対しては、俺は、笑うしかない。
「こんな仕事でも、趣味で始めたわけじゃないのは確かだな。こうしなきゃならないだけの理由があったんだ」
「………」
サムは俺と視線を合わせ、金髪をかきあげた。
「この金髪、やっぱり目に付く?」
「え?ああ。綺麗だな〜と思って(^^;)さらさらしててさ。親父さんがオル人って、婆婆がいってたっけ?」
「そう。香港のオル領事館の、外交官だったんだ。地下の新九龍を嫌って、地上でウエイトレスしてたお袋と出会って、俺が生まれた」
ってことは…。俺は、サムを見つめかえした。
「オル国籍を、持ってるのか?」
「持ってるよ。オルダール名は、サディル・アリシエ・クローデル。両親がテロで死んだ後、計寸婆婆の血を引くのは俺だけになってしまったからね。姓も変えられて、新九龍で兵士として育ったんだ。だけど結局、俺は異人さ。この金髪のおかげで、婆婆に引き取られてからは随分いじめられたけど、傭兵として各地を転戦するようになって、ほっとしたよ。世の中って、生き残れるだけの力がある奴が勝ちなんだな〜って、分かったから」
と、彼は肩を竦めて笑った。
「傭兵稼業は、嫌いじゃない。龍衆も、俺にとっては居心地の良い場所だった。たまには、コージみたいなのとも出会うし、ファーダみたいのとも知り合えるし(^^)」
「……ま、やめられない商売なのは、確かだよな」
「お〜い、何を話しているんだよ?そろそろ、夕飯食いに行かないか?(^^)/」
振り返ると、ファーダがにこにこしながら駆け寄ってくるところだった。
「明日朝一番の香港行きミリタリーも、申し込んでおいたよ」
「おう、さんきゅ♪何か、収穫あったか?」
「ないない。ただ、奴等が活発に動き始めているみたいだ」
俺の問いに、ファーダは相変わらずにこにこと答える。
「何か、いいことでも?」
「たいしたことじゃないよ。ランディと、電話でプライベートな話をしただけさ。昨夜の、コージとヨハンみたいにね(^^)」
「え…、あっ、ファーダ!昨夜の俺の電話、聞いてたのかよ!」
この野郎は、俺とヨハンの親密な電話を、立ち聞きしてたのか(^^;)
「聞いてたってほどじゃないけどね。隠し事が何とかって言ってたから、興味があったのは確かなんだ。それが解決したかどうかは分からないけど、うそつきコージと、善良なサムに、神の御加護が同じだけありますように(^^)。さ、ごはんだっ!」
呆れる俺に対して、サムはくすくすと、随分受けて笑い続けたのだった(^^;;;
翌日の朝7時、俺達3人は香港行の軍用機に乗り込んでいた。
軍用機の利点は、時間通りということと、民間機に比べて速いということと、タダであるという3点。そして欠点は、その3つ以外の全てだ(^^;)
ったく、粗末な椅子に頼りないシートベルト。揺れるし寒いし、俺はあんまり好きじゃないんだよ…といいながら、けっこう利用してるんだけどさ。
この機体の揺れ方と大きさと古さは、YS並みと言っていい。もちろん、俺達の乗っているのはプロペラ機じゃないけどさ(^^;)
乗客は、俺達のほか帰省の香港出身兵士や、出張の将校、事務官などなどの合計18人だった。それに乗員が3名。家族とかの民間人は、1人もいない。ま、こんな狭いところに乗ってる以上、階級はあんまり関係ないんだよな。ファーストクラスがないからね。俺達は、全員で適当に雑談して出発までの時間を潰した。
「では、出発します。つかまって下さい(^^)」
大柄なパイロットが、言いながらゴーグルをかけてコクピットに乗り込んでいく。
俺達乗客は、シートにつかまって離陸を待った。
軍用機はゆっくりと走り出し、次第に加速を増していく。
「ああ、この瞬間が嫌なんだ…」
呟いた途端、ふわっっっと機体が浮く。
「うげげげげげ…」
「相変わらず、コージは絶叫系マシンに弱いんだな〜(^^;)空飛ぶ瞬間て、普通は快感なんだぜ」
と、ファーダがからかってくる。
「もしかして、パラシュートとかの降下作業も苦手なのか?」
サムの問いに、俺は目を伏せたまま肯いた。
「俺の専門は、重力のあるところなんだよ。水中までは行くけど、空中は専門外」
「天下無敵の地図読み「コージ・イツキ」が迷うとしたら、空なんだ?」
と、サムとファーダは楽しそうに喋りまくる。同乗の奴等まで同調して、みんな楽しそうだけど、ああ、俺には反論する気力も無い…
「サム、見てみなよ。空港が、そろそろ全部見渡せそうだ」
「ああ、天気いいからね。下界がよく見える。コージも、どう?」
どうって、お前ら…高いところは嫌いじゃないけど、足元が不安定な高さは苦手なんだ。俺に、窓の外の景色を勧めないでくれ(涙)。
機体は、空港を見渡すように大きく旋回する。余計なことはしなくていい。早いとこ、香港まで行ってくれよ…
飛行機、特にミリタリーは嫌いだよう(涙)…………
と、その時だった。コクピットの方から、鋭い声が響いて来たんだ。
「ミサイルだっ!回避するっ!」
ミサイルだぁ? 嘘だろっっっ?!
どよめきと同時に機体は大きく右に傾き、俺達は振りまわされるような格好になった。その次の瞬間、機内は無重力になって体が浮く。
どおおおおん、と激しい爆発音がして機体は大きく震え、気圧の変化に耳が痛む。
「コージ、サム!」
ファーダが俺達を庇うように圧し掛かってきて、俺は思わず奴のシャツを掴んだ。
まるで蓋が閉まったか、モノが詰まったかのような耳に、凄まじい2回目の爆音が飛び込んでくる。
「右エンジンがやられた!爆発するぞっ!総員、待避っ!」
叫んでいるのは、パイロットだ。だけどちょっと待ってくれっ!(^^;;;
高度6000メートルのこの状態で、一体どこに待避しろって言うんだよっっっ!