6日目   3月15日

砂辺海岸へ。ここは、嘉手納基地に近く、米軍機が降りていくのを間近に見ることがで きる。
ウエットスーツを着込み、まずは、シュノーケリング。(フィンの履き方、起き方、シュノーケルの水抜き、マスクの水抜き、立ち 泳ぎなど。)何事も基本が大切である。  昼飯。 

B.C.(器具がセットされるベスト、空気を出し入れできる。)、ボンベ、レギ ュレター(空気を吸うチューブ)、ウエイトベルトといった器材をセットし、扱 い方を復習し、いよいよ、初めてのスキューバダイビングだ。空気を抜き、潜る。耳抜き。4メートル潜り、海底着。シーンと静まった 中、自分の息づかいだけが聞こえてくる。下から水面を見上げると、光ってゆら ゆら揺れている。

レギュレターの水抜き、器材の探し方などの練習。ここで、マスクを1度外し て、再びつけ直す練習をするが、これがきつかった。マスクを外すとほとんど何 も見えなくなるし、鼻から水が入ってくる。 海底を移動する。水の中で、ゲッ プできることに気づく。餌を持つと、黒い魚、青い魚、きらきら光る魚がたくさ ん寄ってきて、ぼくの手から餌を食べていく。かわいさと凄さでぼくは唖然とし ていた。

陸へ。水の中では時間の経つのが早い。今まで自分の見たことがない光景ばか りで、新鮮な世界だった。
器材の片づけ方、洗い方などを学び、今日の実習終わり。


国際通りで買い物を楽しむ。
ビアドームへ。セルフサービスで飲み放題、食べ放題。広くて、安くてうまい。沖縄特産 オリオンビール、泡盛を手に西村と語りモード突入。
時間の短い1日だった。




7日目   3月16日

60.5mmの大雨。下地さんの荒い運転で真栄田岬へ。ここ真栄田岬は、陸地からそのままエントリーできる絶好のダイビングポ イントとして、人気が高い所だ。雨が降っているが、海の中は雨も、晴れも関係 なし。水深15メートルまで潜る。中性浮力を使い移動。向こうにきらきら光るひ し形のものが、たくさん見えてくる。徐々に近寄っていくと、魚の大群だった。息を呑む世界。自然の力のようなものを感じる。ぼくはこれを見に沖 縄に来たんだと思えた。今でもこの時の光景は、最も感動した自然のひとつとし て、しっかりぼくの心に刻まれている。
陸に上がったあとも、何度もあの光景をリフレインする。魚の名前はツバメウ オと言うそうだ。

昼飯の後、今日の2本め。陸から海に入るとき、水が冷たくて寒いが、1度入 ってしまうと慣れてくる。水深10メートル。相手のボンベの空気を吸う練習。不 慮の事故のときパニックにならないような練習を積む。
明日はダイブ最終日。

国際通りでタコスを食べる。西村はホテルに帰る。
一人で買い物し、映画館で前から見たかった映画「ナチュナル・ボーン・キラーズ」を観る。客はみんな「フォレスト・ガンプ 」の方に流れていて、客席はがらがら。タランティーノが脚本を書いているので 期待していたが、タランティーノの毒が抜けてしまっていて、観るのが疲れる映 画だった。監督のオリバー・ストーンとタランティーノではやりたいことが違う のだから仕方ないと思うけど。でも、まあ旅先の地で映画を観るというのはいい もんだ。




8日目   3月17日

寝坊してしまい今日は朝飯抜き。
大渡海岸へ。天気の関係でぼくたちは、運良く毎日違うポイントで潜ることが出来た。
すごい大雨が降り始める。寒い。海岸が滑りやすく、ボンベをしょって歩くの がきつい。アシスタントのみきお君もハーハー言っている。しかし、下地さんは 普通の道を歩くかのように平然と歩いて行ってしまう。さすが、海の男だ。
水深4メートル。水中でのB.C.の取り外し、装着。潜行していたら、右手人差 し指に激痛が走る。電気ショックのような痛み。ウニに刺されたのだ。水中サインを使う良い機会だったけど、びっくりした。指は 少し腫れたけれど、大丈夫だった。

寒さに震えながら、弁当を食べる。沖縄の3月は寒い。
最終ダイブ。ゆっくり海の中を散策。海蛇がいる。岩をひっくり返し下地さん がタコを捕らえる。後で聞くと、だいたい居場所が分かるらしい。さすが海の男。
これで全課程終了。ショップに戻り少し話す。ぼくらの取得したライセンスは IDEAという団体のもの。お世話になった下地さんと別れる。

前行ったステーキ店にまたステーキを食べに行く。旅に出たからこそ、お金を 使った方がいいというときがあると思う。これは決して、旅に出たからにはお金 を使わなければならない、というのとは違う。
今日は早めの22時に寝る。




9日目   3月18日

そろそろ帰ろうということで、旅行会社で明日の午後の航空券を取る。5日間 お世話になったホテルビクトリーをチェックアウト。重い荷物を持ってレンタカ ー探し。二日間にわたって借りるため、なるべく安い車をぼくが一人で探しに行 く。1,500ccカローラの灰色を選び、ぼくの運転で混雑する58号を北上。ゴッグ シャッ。10時15分、事故は起こった。
左側に寄って走りすぎて、バスと接触事故を起こしてしまう。スローモーショ ンで飛び散る破片、飛び上がる西村。バスのウインカー、バンパーを破壊してし まう。レンタカーの左側も傷ついている。警察が来て事故処理。保険のため、32,000 円の支払いですむが、レンタカー会社の人に申し訳ない。一応、西村にも申し 訳ない。落ち込むぼく。
1,300ccパルサーで15時、再出発。自信を失ったぼくはここからの運転をすべ て西村に任せることにする。

西海岸へ。気分が直ってくる。
名護市で樹齢240年のヒンプンガジュマルを見る。ラジオでは貴乃花が寺尾に敗れる波乱。
本部半島一周へ出発。本部港、今帰仁村、羽地内海を経由。暗くなってきて、車のライ トで遊ぶ西村。「これがロービーム、これがハイビーム。おれ、夜運転したこと 無いんだよな。フッ。」...。この先不安。

沖縄の北端へ向かい、海沿いの道をひた走る。徐々にすれ違う車が少なくなっ ていく。ラジオから日本語が聞こえなくなり、台湾放送が入ってきた。西村がぽ つりと言う。「果てって感じだな。」
途中で車を停め、海を見る。風が強く、荒れている。真っ暗な夜の海はいつ見 ても怖い。
果ての地で電話を見つける。家に電話をかけておこう。受話器の向こうから母 親の声。「事故?それよりあんた、学校の成績悪いからね。早く帰ってきなさい 。」またまた気分は最悪潮に。

沖縄北端の辺戸岬に21時15分、到着。風が強い。真っ暗で誰もいない駐車場に車を停めて寝る。
夜寒くて、エアコンを何度かつける。眠りながら腹が痛い。




10日目   3月19日

♪♪あーたーらしーい朝が来たー。希望の朝ーがー♪♪
朝6時45分に起きて日の出を拝む。昨日は暗くて分からなかった辺戸岬。西海 岸とは違い荒々しい海の姿。
↓辺戸岬にて


7時45分出発。南下。福地ダム。西村の運転が続く。
なぜかぼくが再び運転をしている。一気に那覇まで戻る。車を停めてのんびり 本屋で立ち読み。さてそろそろ行こうかと、車のエンジンをかけるが、かからな い。またアクシデント発生。バッテリーが上がってしまったのだ。原因は夜にエアコンを使いすぎたためだろう。日産 レンタカーに電話して、救援を呼ぶ。那覇市内だから良いようなものの、これが 辺戸岬だったらと考えるとぞっとする。やがて救援部隊到着。

何とか搭乗時間の30分前に空港到着。JAS554便で沖縄から飛び立つ。旅の 最後の方は慌ただしかったなあ。疲れてしまい着陸の時も寝ていた。17時45分羽 田着。浜松町で西村と別れる。
19時50分帰宅。
使ったお金(航空券など全て込み) 244,800円。




     
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