運動測定システムの製作

 
 すでに学習した8255Aと8253(8254)をうまく連動させて、「運動測定システム」を作ることにします。このシステムは直線上の運動にはほぼ対応できるようになっており、「時間・速度・加速度」を瞬時に測定・表示できます。これにより「運動の法則」「運動量保存の法則」などのように速度・加速度測定が必要な場合、面倒な計算はパソコン(ポケコン)におまかせして、目的をより明確にした実験を行うことができます。
 このシステムの製作には第7,9,21,22回と4回の企画を経てバージョンアップされました。そのため、当初教室の明るさや発光・受光部間の距離によって生じていた測定誤差もほぼ解消し、満足のいく計測データが得られるようになりました。
 なおこの企画は、第21回「s=(1/2)gt^2 検証装置の製作」(1997.7.26)へと発展してゆきました。


1.運動体の検出

 運動体の瞬間に近い速度を検出するには、できるだけ短い時間での運動をとらえる必要があります。そこで検出部(受光部)にはシャープのGPIU521Yを0.05m間隔で3個使用し、その前を運動体が通過すると赤外線が遮られるようにします。この時の信号の変化を8255AのAポート(入力用)でモニタし、その結果をBポート(出力用)で8253(8254)をコントロールします。

2.送信部

 455kHZセラミック振動子で振動させ、4018を2個使用して2分周,6分周し、38kHZを作ります。これらの信号はトランジスタ2SC1815で2段増幅し、赤外線LED(TLN101)を発光させます。

3.受信部

 テレビなどのリモコンセンサーとして汎用的に使用されている受光素子GPIU521は、中心周波数38kHZのバンドパスフィルタを内部に持っており、受光するとL信号を出力します。これらの信号はインバータ(74HC4049)で2回逆転して8255AのPA0からPA5に入力され、8253(8254)のスタートおよびラッチ信号として読み取るようにます。

4.PIF95接続ユニット部

 ここは受信部で得られた信号を8255AのAポートに伝え、8253(8254)のカウンタ#1,#2の各GATEをON(Hレベル)する部分です。受信部AはPA0,PA1,PA2と、受信部BはPA3,PA4,PC5と接続します。Aポートは前述のようにプルアップされているため、通常の入力信号は11111111(FFH)になっています。ここで受信部Aの最初のGPIU521が遮られると、入力信号は11111110(FEH)に変化します。 第2,第3のGPIU521、受信部Bの第4,第5,第6のGPIU521も同様に遮られると、接続された各ビット部がLレベルに変化するので、Aポートを通して運動体の通過状況を8ビットデータとしてモニタすることができます。
 Bポートは出力に設定されたPB0,PB1,は8253(8254)のGATE0,1と接続し、カウンタ#1,#2のGATEをコントロールします。
 ここで、8253(8254)のカウンタ#0は2MHZのクロックを10kHZにする分周用(モード3)として使用します。次にカウンタ#1にはFFFFH(65535)をセットし、PA0にL信号が入力された瞬間にGATE#1をHレベルにしてダウンカウントを開始するカウント用(モード0)として使用します。カウンタ#1がカウントを開始した様子は赤LEDで確認します。


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