リキュールについて
リキュールと「甘い酒」とは同義語に近いと思います。その甘いと言うだけで、はじめから相手にしない男性も多く、当然女性にもリキュールの知識は及んでいません。だだ男性がよく「オレは酒飲みだから甘いのはダメだ」なんて言う人がいますが、それは間違いで、酒飲みには結構甘党がいるのですよ。ただ、甘いものはそんなに飲めないから何倍も飲みたいときは辛口をやるのです。さて、日本では食後に男性はブランデー、女性はリキュールという図式を知る人も少ないのではないでしょうか。現在「ショット・バー」花ざかりとはいえ、時により、人により、ムードに応じて選び分ける洋酒の飲み方に心配りがされているとは決して思えません。
リキュールの分類
リキュールという言葉は、ラテン語のリクファセラまたはリクオルから来ています。溶解する、和らげるという意味だそうです。リキュールの発展は蒸留技術の進歩と歩調を合わせています。特に修道院に負うところが多いのは、修道士達の逸早い蒸留技術の習得があり(その時代の知識人であった)、山間にあって、香草、薬草の入手が容易だったことによるものです。スピリッツ(蒸留酒)に味と香りをつける材料の配合であり融合、これがリキュールの主流になって、ベースのスピリッツも、ブランデー、キルシュ、ラム、ウイスキー、ウオッカ、ジン、ニュートラル・スピリッツ(アルコール)と多様になった。配合材料も拡がり、香草、果実、草根木皮、種子、花、ナッツ、コーヒー、蜂蜜、砂糖、その他と限りがありません。さて、香草類と果実類を整理してみましょう。香草類は蒸留法で、果実類は浸漬(しんし)法です。日本の梅酒などは浸漬法ですね。フランスの香草類は、シャトルーズ、ベネディクティーヌで、最高のリキュールといわれ、エリクシールと言う言葉で呼ばれてます。イタリアではエリクシールより少し落ちるかもしれないが、有名なもので、ガリアーノがあります。ちなみに香草類の蒸留法をホット方式、果実類の浸漬法をコールド方式とも言います。
食後の酒としての出番が多い
すぐれたリキュールは、それ自体の風味や香りの他に、プラス、アルファがある。”心を和らげ、元気づける”のはリキュール本来の性能だから、それは別として、消化促進や整腸の効用を忍ばせたものが最も多い。それでリキュールは食後酒としての出番が多くなる。そういうリキュールを配合したカクテルも同じように食後酒になるのです。
ストレートで飲むのが基本
シャルトルーズ、グランマルニエ、ガリアーノなどは固有名詞または商標名で一社からしか出ていない。類似品はあっても、同名のリキュールは他にはない。香草類や特殊なものは独創的な製品が多いから、だいたいが固有名詞になっている。キュラソー、チェリー・ブランデー、クレムドゥ・カカオなど包括名で各社から、各国から同名で何十、何百と出ている。したがってポピュラーなものが多いのです。また、同類のリキュールでも、いろいろ名前で出ているやっかいなものもあります。アニゼットがその一番で、元祖のフランスでは、アニゼットでも、スペインとイギリスではアニス、イタリアではアニゼッチ、この名で各社から数多く出ているのに、なお、ペルノー、リカール、パスティスとフランスに有名品があり、ギリシアのウゾーとアステカ、トルコのラキ、イタリアのサンブカと呆れるばかり、また中近東ではアラックと呼ばれるものもあります。私もイスラエルのアラックは持っています。アニゼットは水割りで飲むのが普通。水で薄めると乳白色に変化します。だがアニゼットを除いて、リキュールはストレートでゆっくりすするように飲まなくては本当の風味は捉えられないと思います。

上の写真はちょっと写りは悪いが、ロートレックにあこがれていたピカソが、パリのカフェでアプサントを飲む女を描いたものと、フランスで禁止されたあと、まだ禁止されていない国に出荷されたアプサント。
ところで、今でもよく「どこどこの店でアプサントを飲んだ」という人がいますが、実は本物のアプサントはもうこの世の中にはないのです。もし飲んだとすると、日本の某ウイスキー会社のものだと思います。本物のアプサントは、特異な芳香と、かすかな苦みを持ち、暗緑色で、水を加えると白濁する酒であったといわれています。アブシンチュームというラテン名の”にがよもぎ”を主材にして、十数種類に及ぶ香草をブランデーに加え、再蒸留して精製されるもので、酒精分は68%もあったそうである。1730年代にフランスの医師オルディネール博士によってつくられ、1797年にペルノー・フィス社によって製品化されている。1884年にフランス軍はアブサンとを解熱剤として採用したが、服用した者に異常が認められだしたので、その後使用を禁止している。だが、麻薬的な酔い心地の良さから、常用する者も増えていた。中毒になると、幻覚、そううつ、錯乱などが起こり、人間を狂気や自殺に駆り立てると言われ、それゆえ、当時の頽廃的な人々を引きつけ、1890年代のパリでは、アプサントがもてはやされたのである。特に小説家、詩人、画家がアプサントを愛し、頽廃的な生活を好んで題材にした。記憶違いかもしれないが、たしか、ゴッホはアプサン中毒のため自分の耳を引きちぎったときいている(1940〜1960年代のジャズやロックのアーティスト達も麻薬やLSDをやっていた、ジャズではチャーリー・パーカー、バド・パウエルロックでは、ストーンズ(キースはクスリのために体のすべての血を取り替えたとか?)はもちろんジミヘン(帰らぬ人に)、ジョニス(同じく)そして、ビートルズのアルバム、Sgt.P・L・Hearts ・Club・Band 、ジョンの作品でルースィーズ・インザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズの頭文字はLSD?)。それゆえ、アプサントは1915年にフランスで、その後、欧米諸国で全面禁止になった。つづく

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