デング熱


 ベトナムは病気-感染症の巣窟です。旅行、仕事、定住するのはいいですが、覚悟して来て下さい。
特に小さいお子さんは注意が必要です。変な熱が出たら血液検査をしましょう。


1.デング熱
(2004/4、2012/12追記、2015/10追記、2017/7追記、2017/10追記、2022/6追記)

○デング熱、患者の早期診断が間に合わず重篤化:医師−VNEXPRESS(英語) 2022/06/27
多くのデング熱患者が初期症状の診断に間に合わず、より深刻な状態に陥っていると、医師が語った。
ホーチミン市第一小児病院の集中治療室(ICU)の責任者であるPham Van Quang氏は、ほとんどの場合、デング熱患者とその家族は病気に感染した際の警告サインを無視しており、深刻化する機会を作ってしまったと述べた。
デング熱の最も典型的な初期症状である高熱が出たとき、ほとんどの患者は自宅療養を選択していたとクアンは言います。
高熱が下がった後、その人たちはもう回復したと思っていたのです。
しかし、デング熱は高熱が出た後が最も重要であり、患者を一歩一歩注意深く観察する必要があるのだという。
これまでのところ、デング熱の患者は、嗜眠、歯ぐきの出血、鼻血、激しい腹痛などのひどい症状がすでに出てから病院に運ばれてきた。
それまでいくと、敗血症性ショックに陥りやすく、死亡する危険性も高いのです、と医師は付け加えた。

ワクチン
武田、デング熱ワクチンをEUで承認申請−日本経済新聞 2021/3/24
武田薬品工業はデング熱ワクチンを近く欧州連合(EU)で承認申請する。2022年度に発売し、26年度までにアジアや南米など世界30カ国以上での供給を目指す。

(2017/10)
 the Ministry of Health’s General Department of Preventive Medicineによると、デング熱ワクチンの研究が2017年11月終わりに終了し、来年にはベトナムでリリースされると期待されています。ワクチンの第3実験フェーズはほぼ完了しており、過去10年以上のテストで安全性は確認されているそうです。そして値段もリーズナブルなものになるはず。
子供に3回接種したテストでは感染リスクが65%低くなり、入院リスクは80%低下、酷い合併症は93%減ったそうです。
今ではブラジル、フィリピンなど17カ国でワクチンが使われており、ベトナムは、アジアではワクチンの第3実験フェーズを行っているアジア5カ国の一つです。
 ワクチンはベトナムで試験終了後2018年から使用されると期待されています。但し今年は年末までに患者が増えると予想されています。

 血液検査:ホーチミン市10区の第一小児科病院(Children's Hospital 1)では、2017年現在、血液検査をすると1時間半後には結果(デング熱かどうか)が分かります。

(2017/7/19)
 今年もデング熱が流行しています。2017年前半6ヶ月は45,000件(うち15人死亡)が報告され、2016年の同じ時期よりも0.3%多く報告されています(11.3%アップというニュースも)。ホーチミン市では2017年前半で9,100件(うち4件で死亡)、ハノイでは3,200件(去年の5倍)です。ハノイでは過去2週間は毎日200人が入院しており、これは去年の4倍です。デング熱にかかると高熱のほかに、かかってから3日で脳内出血により死亡することもあります(今年はこれで5人亡くなっています)。
 熱が出た場合は早目に病院に行くように薦められています。しかし現在のところ有効なワクチンはありません。 デング熱のページ
 デング熱も怖いですが、今年は蚊がやたら多いような気がします。毎日、どこに座っていてもちくちくと刺されています。

(2015/10)
 2015年はデング熱の患者が例年より多いようです。サイゴンでは2015年に入って10600人の感染が報告されています。これは去年の同時期より80%増です。市の小児科病院では週当たり400ケースとなっています。特に感染の多い地区はBinh Tan, Thu Duc, Binh Chanh, Tan Binh, Tan Phu 区 そして8区です。 全国では今年45000人の感染、28の死亡例となっています。保険当局は11月末まで流行は続くと予想しています。

 フランスの製薬会社サノフィは去年「デング熱に対する世界初のワクチンの効果が臨床試験で確認されたと発表した。来年後半にも実用化するとしている。臨床試験は感染が広がっているアジアと中南米の10カ国で、約3万1千人を対象に実施。重症化して入院するリスクが80.3%減少したという。」デング熱ワクチンが効果 仏、来年にも実用化:日本経済新聞(2014/11/04)
 このワクチンがベトナムで2015年中にも販売されると報道されています。期待したいところですが、マレーシアは認可を見送ってます。

デングワクチン開発の現状と課題−国立感染症研究所 (2015/3)

デング熱ワクチンが効果 仏、来年にも実用化  :日本経済新聞(2014/11/04)

世界初のデング熱ワクチン 認可見送り マレーシアニュース(2015/6/01)
「このワクチンがデングウイルス1型、3型、4型には高い有効性を示したが、アジアで最も認められる2型に対しての有効性が34.7%と低い結果であったためとみられる。」

小児へのデング熱ワクチン、効果あるも年齢差/NEJM|医師・医療従事者向け医学情報・医療ニュースならケアネット(2015/8/15)

(2007/3)
 ネッタイシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症で、ウイルスは日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属します。重症化するとデング出血熱となり適切な治療が行われないと死に至ります。2006年は日本人男性一名がデング熱で亡くなり、また他の日本人でも入院した方がいました。2007年に入ってからも、日本人のお子さんが二人重症となっています(下記参照)。

(2007/3)
 次女に嘔吐・下痢・高熱が続き、近所の医者に通ったのですが10日以上熱が下がらず、Children's Hospital 1で血液検査をした結果デング熱と判明。血液中にあるウイルスを除去するために、Benh vien Cho Ray(チョウライ病院)に移転して血液を10時間かけて交換(Children's Hospital 1には血液がない)。その処置により回復し、血液交換による後遺症もなく無事に直りました。チョウライ病院の透析室は血液交換する子供達でいっぱいでした。
 しかしその数日後、長女も同様の症状で入院したところ、ウィルスが体全体へ回り脱水症状で重症だと判断され、次女と同様に血液交換を行ないました。因みに血液交換にかかった費用は次女のとき3000万ドン(長女のとき3500万ドン)/回でした。今回、血液交換で直りましたが、ほっておいたら死亡していたと思われます。但し、日本では考えられない治療法だそうです。

中学生(8年生)の娘がデング熱
(2012/12)
 朝からイマイチ元気のなかった娘が土曜日の午後学校でダウンしました。日曜日に1区の第二小児科病院に行って検査をし、月曜日にデング熱にかかっていることが判りました。家で月曜日の夜には熱が39度くらいになり、数回吐いていました。火曜日からは10区の第一小児科病院に病院を変わり、朝から血液検査をしてこの日は様子見。夜になると熱が40度近くになり顔が赤くなっています。水曜日にまた第一小児科病院で血液検査して今日が山場ということで、そのまま入院することに。医師が常駐している集中治療室?で幸運なことにベットひとつ占有できました。他のベットは子供が2、3人で共有しています。デング熱だからといって点滴以外はすることは無さそうで安静にするのみ。母親が付き添いで病院に泊まりました。夕食は病院のなかの売店で弁当を買って来て食べられます。病院食というのはありません。夜、鼻血が出て1時間半止まらなかったので鼻の穴の奥の方まで詰め物をして物理的に出血を止めたそうです。次の日(木曜日)は普通の病室に移り、もう一泊して金曜日の昼に退院できました。治ってしまうと大した出来事ではなかったような気がしますが、入院中は症状が急変しないか気がきではありませんでした。
 実は私も今年の10月半ばに3日ほど高熱を出して寝込んだことがあります。たぶんデング熱だったんでしょう。ひたすら寝て治してしまいましたが、ほとんど食べられなかったので3キロぐらい痩せました。

FUJINET ベトナムニュースより (2012/11)
デング熱はまだ複雑に変化している:
 計画投資省統計総局のデータによると、 11 月に全国で 1 万 1300 人がデング熱にかかり、そのうち 12 人が死亡した。これにより、 年初 11 ヶ月で全国のデング熱患者数は 7 万 1500 人に上り、そのうち 61 人が死亡した。 現時点でドンナイ省は最もデング熱患者数の多い地域で、同省の患者数は 5500 人に上 り、そのうち 8 人が死亡している。(2012 年 11 月 28 日、Vietnam+)

新聞ニュース
デング熱患者・死者が増加
1月31日に開催された国家デング熱防止活動総括会議によれば、昨年国内でデング熱に罹患(りかん)した患者は7万7808人で、このうち68人が死亡した。前年に比べて、患者は27・6%、死亡者は28・3%それぞれ増加した。(1日付グオイラオドン)   2007/2/02


新聞ニュース
 今年になってからベトナムで5371人がデング熱にかかり、10人が死んでいます。1年前と比べて倍になっています。保健省の数字では93%が南部の省で発生しておりホーチミン市では1447件(注)です。政府は、デング熱が広く拡大するかもしれないと警告しています。インドネシアでは今年になって今(3月)までで530人以上がデング熱で死亡しています。デング熱にはワクチンがなく、Aedes aegypti mosquito(蚊の一種)によってうつされ、ベトナムでは雨季の始まる4月から毎年熱帯のベトナムを襲います。   27/Mar/2004 ABC

注)ホーチミン市の第一四半期合計では1,704件(死亡者は1人)。去年より35.5%増加してます。  9/Apr/2004 Tuoi Tre

 デング熱の詳細の説明は下記サイトで、

国際感染症臨床情報
http://www.sapmed.ac.jp/~isogaih/infect/shikkan/1905deng_f.html
 
感染症発生動向調査週報
http://idsc.nih.go.jp/kansen/k01_g3/k01_42/k01_42.html
 
海外渡航者のための感染症情報
http://www.forth.go.jp/tourist/kansen/09_dengu.html

DENGUE.INFO