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ジョウダンからクマ

                                          1997/09/24 19:15 

 1997年9月17日,夕方からのテレビジョン放送・ローカルニュースは「いわきでクマが出没」のタイトルで,「いわき市でクマが目撃されたのは初めて,これまで記録がなく,ツキノワグマのようです」という報道でした。

 初めて熊が目撃されたいわき市,ということの意外さに神妙になるとともに,勿来の関下トンネルひとつ抜けるごとに東北一円をやはりとおもいました。

 東北のある県では,都市化対策工事で,熊との遭遇があった一件をおもいだしました。

 いわきでは,何年か前に,サーカスのライオンがオリから勝手に出て散歩をしてしまい,崖から落ちたシーンを見て以来のアニマル・ニュースでした。

 熊の出没ニュースの少し前の9月1日,その当地から東へ1里の四倉町白岩へ行ってきたところでした。

 常磐自動車道の北への延伸工事に伴う,移設工事の検査のために行ったのです。

 午前11時頃,北の方向へ向かう,送電線路を遠望していると,太平洋を背景にした鉄塔の頂部に,何か黒くて行動する像を見つけました。

 (約1里先のことですが,最近は誰よりも遠くがみえます)

 同行の方に「人がのぼっているように見えるがどう」,「見えます」というやりとりがありました。

 もしかして,社会一般の人がのぼっていたとしたら大変ですが4尺位です。

 「猿か,猿まねというから人間が鉄塔にのぼっているのを真似ているのか」また「海の方をみたり,原子力発電所のある大熊の方をみたりしているから,子熊が産みの親でも探しているのかな」などと冗談を言っておりました。

 勿論,ちょうどヘリコプターによる送電線パトロールがあって,空から確認しているようでですが,異変はないようです。

 テレビジョン・アナウンサーが「あぶくま山系を越えたクマなのかと調査中です」とすましてのアナウンスにはひょうしぬけしました。

 椎名誠の本に,「鉄塔のひと」というのがあったが,鉄塔の頂部に見えた像は,やっぱり「鉄塔のクマ」で「チエノワグマ」が方向をみていたことにしました。

 因みに,いわき市には,関東と東北の境界から約1里の所に,くまんどうと読む「熊道」,そして小名浜と平の中間には「走熊(はしりぐま)」と地名があるので,出没記録はなくとも,熊が歩いたり走ったりはしていたようです。

 

                                 マク

 


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