聞楽繕修(200X)                                                                                                             トップページへ戻る  

寝たふり録      浜 耕

比類のない異人「佐渡の浜ちゃん≠ノついては,もっと特異な話がありますよ。」
比類なき異人と同勤務先の物持氏からふられたネタ=C寝て忘れる前に収載した。

 

オウムの変の編

 頃は,平成七年(1995),阪神・淡路大震災,オウム事件,ウィンドウズ95の話題でもちきりの年,佐渡の浜ちゃん≠ヘ,単身赴任先の賃貸貸室の中に,パソコンを買うならばともかくも,パロットを飼っていたという。

白いオウムである。

その白いオウム,佐渡へ郷帰りのために,かごにいれたオウムを手にぶらさげて,いわきからバスに乗ったという。(小動物を同伴し,バスに乗車させてもらえたから不思議だが・・・)

  

その日「佐渡に帰るのでは,もう出発したら,何時に出発なの?」といわき人≠フ物持氏が聞いたそうだ。

すると,佐渡の浜ちゃん=C「○時の高速バスだ。それでないと,新潟からの佐渡へ最終連絡船に乗船できないからな。」と言ったそうだ。

「えっ! それじゃ もう直ぐ出かけなくては。」と物持氏が言った。  

出発場所は,いわき市好間バスターミナルなのに,今いる所は,そこから結構の距離のある小名浜,既に出発が迫っていた。
 どう見込んでも,小名浜から好間バスターミナルのある,いわき中央インターチェンジまでは,普通自動車では,所要時間が約30分だ。

「間に合うよ。」と佐渡の浜ちゃん≠ヘ,悠然として物持氏に答えたそうだ。

案の定,佐渡の浜ちゃん≠ヘ,郷里の佐渡行きに繋がる「いわき〜会津行き」の高速バスに乗車は間に合なかった。

それどころか,佐渡の浜ちゃん≠ェ,「いわき〜福島行き」高速バスに乗車し,着いた所は福島駅であった。

でも,佐渡の浜ちゃん≠ヘ,高速バス「福島〜郡山」で郡山に戻り,「郡山〜会津」に乗り換え,「会津〜新潟」の高速バスで新潟市へ,そして新潟港佐渡汽船フェリーターミナルまでついた。

既に日が暮れて,最終の佐渡連絡船には,間に合わなかった。それでナイト・・・。

マニアックな,佐渡の浜ちゃん=C「いわき〜会津行き」に間にあわなかったのに,福島経由では当然の成り行きだった。

バスの乗車間違いは,普通人からも,しばしば聞くことがあるが,その場合の成り行きには違う方法をとる。

佐渡の浜ちゃん=C佐渡の両津行き,最終の連絡船も佐渡汽船フェリーボートも,夜間運行がないのに,新潟港の佐渡汽船フェリーターミナル待合室のベンチに,白いオウムを入れたかごを,ぽつんと置いて,誰もいない海を眺めていたそうである。

とき,あたかも,オウム事件のころである。ザワワ,ザワワ,ザワワ・・・・≠フ歌は,佐渡の歌だったのかも。

そして,佐渡の浜ちゃん=C新潟港の佐渡フェリーターミナル待合室のベンチで,オウムとともに夜を明かしたそうである。  

佐渡の浜ちゃん≠ヘ,「鳥が大好きらしく,佐渡の家には,鳥を飼っていて,それも尋常でなく,庭と居間の間がバードゲージ≠ノなっていて,居間の戸を開けると,居間にも鳥が入ってこられるというような間取りになっていて,驚きました。」と物持氏は言った。  

「カナダのロッキー山脈サンライズスキー場に,バードゲージ≠ニいう名のレストランがあって,室内を網で囲ってあって,鳥ではなく,人がその中で食事をしたが,あのようなのかい?」と聞くと,「まあ,そうです。」と物持氏は言った。  

佐渡独立国家大統領候補佐渡の浜ちゃん≠ヘ,間違いなく,比類なき異人と確信,対抗馬はいないだろう。  

 

「こういう人にあいたいとおもいますか」 (特別枠設定理由)

「勤務先に△▽浜≠ニいう年配の人がいて,考えられない件がしばしばあって・・物差しが・・」とスーパーローカルフレンドの物持氏言いだす。
 いろいろな話を聞くと,自分がやっているような気がするし,自分をいわれているような感じがしてくる。
 「拙者も勤め先で,そういう風に見られているかもしれないね。」と言った。
 物持氏が,あわてて「浜耕さんは,△▽浜≠ニは,全然違いますよ。」と言われたが,ますます,そうなのかもと不安になった。
 「それならば,映画「つりばか日誌」の浜ちゃん≠越えているね。」と言ったら,
  「いい例えですね。△▽浜≠焉Cつりが大好きで,車が生臭いほどです。」と物持氏が答えた。
 「それなら,宇宙人だね。」と言った。
 
「そんなに遠くの人ではないです。△▽浜≠ヘ,佐渡出身で,単身赴任です。佐渡の貴族の末裔と本人は言っています。」と物持氏が答えた。
 「それでは佐渡の浜ちゃん≠ニいうことにしよう。」と言った。
 
物持氏は,「佐渡の浜ちゃん≠ノ,一度会ってみますか?」と言った。
 「いいよ。いいよ。」と言ったのだが,いいよ≠ニいうフレーズは,気をつけなければならない。
 物持氏は,「佐渡の浜ちゃん≠ノ,会う機会をつくりました。」と異例のスキー行(栗子国際)をセッテングをした。(接点愚)

 

マゾな佐渡の人の編(再掲)  

「日本海の佐渡人だからか、いわき人≠ヘ、スキーができないと思っているのか、『おれのスキーの腕前は、トニーザイラー級≠セ。』と豪語している人が、今度、いっしょに行って、スキーを教えてくれるそうです。」と話があった。
 幾度か、その類のスキー天狗と同行し、なんのことなく、帰り道には、言葉少なく、静かに分かれたスキーヤーは多い。
 しかし、佐渡の浜ちゃん≠ニは、三度ほどスキーを同行をした。
一度目、二度目、三度目とゲレンデで出会い、衝撃的な場面を目の当りにし、比類のないスキーヤーであることを知った。
 栗子国際スキー場の平均斜度三十三度の斜面をいっきに、裾まで転がるのだ。
 一般のスキーヤーは、速さはそれぞれだが点斜面の雪面を右に左にと曲線を描いて滑降する。
 蔵王の横倉のかべで、滑降に失敗し、途中から空を見て、雪面を背中で滑落するスキーヤーをみることがある、これは同情に値する。
 栗子国際スキー場の平均斜度三十三度斜面での佐渡の浜ちゃん≠ヘ、滑り出すとまもなく、転倒、スキーの板がはずれ、雪面と空中を交互に見るように、体を縦に横にと回転させて、転がり降り、斜面の裾で停まる。
 主のないスキーの板だけが、無人で斜面を滑降する。
 何度も何度も、めげずに、挑戦する。素晴らしいファイトである。
ある時、佐渡の浜ちゃん≠ェ、なかなか転がってこない、リフトに乗り、頂上に向かっていて、斜面を見おろすと、転倒した後の佐渡の浜ちゃん≠ェ、運良く、スタートの頂上付近で、うまい具合に停まったのか、はずれたスキーの板を装着している姿を見た。
 そこは、斜面の幅の中央部、他のスキーヤーが必ず通過するど真ん中である。何度も何度も、ビンディングにブーツを装着しようとするが納まらない。
 スキーの板が、雪面と平行になって、ブーツがビンディングには納まらない状況で、相当なガニマタでなければ、ブーツはビンディングに納まらない。
 アイスバーン傾向の雪面なので、上手くいかないのかなと思い、「大丈夫?」と声をかけると「大丈夫!」というプライド力の強い声が返ってくる。
斜面の幅の中央部で転倒したなら、他のスキーヤーの滑走の支障にならない、斜面の端に避難してからスキーを装着するのが一般のスキーヤーだ。
 スキーヤーが滑走して、通過するど真ん中、それもアイスバーンの状況の場で、はずれたスキーの板を装着する人は稀である。
 そのうち、アイスバーンの中から雪を手で集め始めた、そして、な、なんと、スキーの滑走面と雪面の間に、雪を詰め始め、スキーの板を地球の中心に対して直角になるようにした。
 それから、ビンディングにブーツを装着しようとするが、雪がつぶれたか、雪が逃げるので、スキーの板は、再び雪面と平行になり、脚の方向にそっぽを向いて、ブーツはビンディングに納まらない。
   雪を手で集め、スキーの滑走面と雪面の間に、雪を詰め、スキーの板を水平にする、
ビンディングにブーツを装着しようとする、雪がつぶれるか、雪が逃げ、スキーの板は、斜めになり、脚の方向と角度がつき、ブーツがビン  ディングにハマらない。
 何度も何度も繰り返す。
ハマらない。諦めない。
 こんなスキーヤーは、かつて出会ったことがない。
 佐渡の浜ちゃん≠ヘ、比類のない異人である。
 

この話は聞いたものでなく、実際に見た光景である。

 

追録

このスキー行は、いわき市から早朝出発のために、横浜市から参加のスキィヤーは、客人として、佐渡の浜ちゃん≠フ小名浜賃貸宿舎に客人で宿泊の提供を受けた。

風呂の際に、石鹸が見当たらなくて,洗い場にプラスチックボトルがあった。

トニックシャンプー≠ェあったので,それで体を洗いだした。

それを使用するとスウスウとさわやかな感じがした。

小名浜の人は,石鹸の代用にトニックシャンプーで、スウスウとボディシャンプーするものかとおもいつつ使用したという。

しかし、やがて、スウスウからスースーとなって肌寒くなり、あわてて、洗い落として浴槽に入ったという。

浴槽に入っても、温まることがないので、目に入ったバスクリン≠入れたが、体がスースーして冷える感じがするので、バスクリン≠どんどん追加し、浴槽の湯は、濃い緑になっていた。

それでも体が温まららないので諦めて風呂を終え、即ちに布団に入ったが、体がスースーし、寒くて寒くて、朝まで寝られなかったという。

その後、佐渡の浜ちゃん≠ェ、入浴しようとして浴槽の色を見てびっくり。

横浜の客人に、大切な抹茶≠風呂に使われたと早合点し、「抹茶≠風呂へ入れたのか?」と言われ、客の横浜の人は、呆然としたそうである。

「どうりで! あたたまららかったのは、それでか!」と横浜の人はおもった。

抹茶≠ヘ、飲むもので、抹茶≠フ風呂には石川五右衛門でも入浴したという話は聞いていない。

「抹茶≠浴室におくなんて、考えてもいなかった!」と言った横浜の人。

抹茶≠フ缶が、空っぽになってしまったと思い違いの佐渡の浜ちゃん=B

「あの抹茶は高いんだぞ!、分かりそうなもんだ!」と、外国の歌(のばら等)を原語でも歌う佐渡の浜ちゃん≠ヘ怒った。

抹茶≠フラベルは、日本語で書いてあるだろうが、入浴剤がメイドインニューヨークか、トニックシャンプーがメイドインジャパンか、メイドインアメリカか、メイドインフランスかは知らない。

一宿一飯の恩義とはいうが、横浜の人、小名浜にいる佐渡の浜ちゃん≠ノはかなわない。

佐渡の浜ちゃん≠ヘ、「佐渡を独立させる」のが生涯の目標ということも聞いた。

初代大統領は、佐渡の浜ちゃん≠オかいない。太刀打ちできる候補を探すことは困難である。

 

佐渡の浜ちゃん≠ヘ、比類のない異人である。 

 

この話は、見たものでなく、ホテルでの夕食時にそばにいて、当事者から実際に聞いたものである。

 

酒風呂は体に良いというので、ビール風呂として試しに入浴したことがあるが、寒くなってしまった体験があるので、横浜人の寒さを観じたことは、いくらかを理解ができる。

ビール風呂は、体の汚れが良く落ちて洗剤無用のような気がしたが、トニックシャンプーを石鹸代りボディシャンプーには向かないようである。

しかし、いずれも冬季にトライすることは避けるべきである。

抹茶を風呂に使うなどは勿体ないので絶対におすすめは出来ません。

トニックシャンプーはヘアに、ビールは口から飲んで咽喉から胃へと平常な用途にすべきである。

 

巻尾

ところかわれば。

挿話聞録  2003年10月22日

 記    浜   耕

発行  百 囀 舎

浜耕(はまこう):自称、分楽者。

関心、疑問、探求。砂浜は、掘っても、穿っても、何も実らない。にもかかわらず、分けては楽しんで、分かった事で楽しみ、分からなかった事が分かるまでも楽しみ。


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