目次
[MUSICA MUNDANA No.53] 2005年6月30日 発行
 
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 「MUSICA MUNDANA No.53」をお届けします。

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           MUSICA MUNDANA NO.53
             Jun.30.2005
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             ◆ 目次 ◆

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 ◎ 音楽史
    ◆フクバルトの著作◆
 ◎ 数学史
    ◆ヒュパティアとプロクロス◆
 ◎ Homepage Updated (Jun.25.2005)
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 ◎ 随想
 ◎ あとがき
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━━[音楽史] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆フクバルトの著作◆

 さて、今回から、西洋のポリフォニーの発展の歴史に入っていきます。

 ヘテロフォニーより少し複雑な西洋の最も初期のポリフォニーに間違い
なく言及しているのは、トゥルネ(Tournai)の教区にあるサン・タマンの
修道士、フクバルト(c.840-930) による論文「調和の体系について(音楽
教程)(De Institutione Harmonica)」です。カッシオドルスやセヴィリ
アのイシドルス、アウレリアヌス・レオメンシスが、シュンフォニア
(symphonia)について書くときは、同時でない連続する音の一致を意味し
ているのですが、フクバルトは、同時に起こる音を意味していることは確
かなように思えます。

 コンソナンティア(Consonantia)は...二つの音が規定されともに調和的
に混ざり合ったものである。それは、男性と少年の声で、同時に歌うとき
のように、二つの異なった音が、一つのモドゥラチオ(modulatio)で同時
に起こったときだけに生ずるだろう。或いは、人が普通、オルガニザチオ
 (organizatio(sic))と呼んでいるものにおいて起こったときに。

 ここでは、二つの点が重要です。楽器(organa)を含めたポリフォニーの
実践のためのオルガニザチオ(organizatio)という言葉と、もしコンソナ
ンチア(consonantia)--フクバルトは、これを四度、五度とオクターヴと
定義し、それぞれ更に1オクターヴと組み合わされることもありましたが
--が、本当に「規定された (rata)」のなら、ネウマより正確な音高を表
す記譜法が必要になること。そして、彼が、旋律の一部が、ポリフォニー
ではありませんが、正確に平行音程を示すために、記譜するダイアグラム
を与えていることは、十分確かなことです。

しかし、フクバルトのダイアグラムは、一般的な記譜体系の基盤ではあり
ませんでした。それはあまりにも煩わしく、彼自身、論文の他の所では、
ネウマを用いているほどです。ネウマは、遅速や声の震え(tremula)などを
示すことができたからです。そのダイアグラムは、彼の音楽理論を議論す
る上でのテキストの図解に他なりません。彼は、それはボエティウスに起
源があると告白しています。事実、ボエティウスを簡略化し、当代風にし
たものと説明できるかも知れませんが、実は、それはアリストクセノスに
まで遡るものです。

彼の体系は、全音と半音とSTTテトラコードで構成することができる方
法を描いたダイアグラムの助けを借りて説明され、本質的には、二つの同
一の「結合型の」オクターヴでできています。

フクバルトは、非常に実際的な理論家であったばかりでなく、作曲家でも
ありました。彼は聖ペテロ、聖アンドレアス、そして聖テオドリクスの聖
務日課と「Quem vere pia laus」という言葉で始まる讃歌(laudes)を作曲
したことで知られています。それは、レンバート(?)(Rembert Weakland)
が指摘したように、十世紀後半からずっと多くの資料の中で発見されたポ
ピュラーなグロリア・トロープスであるに違いありません。

「調和の体系について」に加えて、多くの論文が、かつてはフクバルトの
ものとされました。しかし、今では、恐らく彼によるものではない、ある
いは確実にそうではないと長らく認められています。編集にはかかわった
かも知れませんが。その一つ「もう一つの音楽(Alia Musica)」は、教会
旋法に関するもので、ギリシアのハルモニアイという名称を誤用すること
になった嘆かわしい内容も含まれています。

フクバルトと同じように、その著者あるいは著者達は、終止音が旋法を決
めるものと考えていますが--旋律は、終止音(finalis)の上5度あるいは
下4度の間のどの音からでも始められる--、一方、より初期のピリュムの
レギーノ(Regino of Prum)のような理論家は、その開始音を旋法を決める
ものと見なしているのです。

━━[数学史] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆ヒュパティアとプロクロス◆

 さて、今回はヒュパティアとプロクロスについてお話しましょう。

 アレクサンドリアのヒュパティアは、数学において、何らかの注目すべ
き地位にいた最初の女性です。数学史上最初の女性ということと、彼女の
殉教(死)のため、歴史上非常に高い地位が与えられています。彼女は、
テオンの娘であり弟子でありました。彼女の学識は、伝承によれば、アレ
クサンドリアの新プラトン学派を統轄するよう求められるほどでした。

しかし、彼女の場合、スイダス(10世紀頃)が、新プラトン主義者のガ
ザのイシドルスと結婚した書いているような歴史にまつわる話の多くは、
フィクションであるように思えます。一方で、彼女が敵対する学派の学徒
たちと町で議論していて殺害されたというのは確かなように思えます。ス
イダスは、彼女はディオファントスの天文表についての注釈とアポロニウ
スの円錐曲線についての注釈を書いたと言っていますが、彼女の著作はす
べて失われて、残っているものはありません。

 プロクロスは、哲学の分野でプラトンの後継者とみなされていましたの
で、「継承者(Successor)」とあだ名されており、アレクサンドリアで学び、ア
テネで教えていました。彼は、多作家であり、彼の著作には、プトレマイオス
の難解な部分を分かりやすく言い換えたものや天文学についての著作、ユ
ークリッドの第一書の注釈、また、占星術についての短い論文などがありま
す。また、高次平面曲線の研究をした証拠もあります。

彼の著作は、ギリシアの幾何学の歴史についての貴重な情報源です。彼の生
涯についての情報は、パレスティナ(古くはシケム)のフラヴィア・ネアポ
リスのマリノスによるものです。マリノスは、AD485年に彼の後を継いで
います。このマリノスは、ユダヤ人学者である確率が極めて高いようです。

━━[随想] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◆使徒ペテロと使徒パウロ◆

 6月29日は、カトリック暦で使徒ペテロと使徒パウロの祝祭日という
ので、ちょっと書いてみよう。二人については、あまりにもよく知られて
いるので、いまさら書くこともないような気がするが、まあ、ローマ教会
にとってはとくに重要だということを少しだけ書いてみることに。

ローマカトリック教会だけでなく、東方教会でもプロテスタントでも、使
徒ペテロと使徒パウロは、重要な人物には違いないとは思うのですが、ロ
ーマ教会は、特に強調しているようですね。

 引用は、
 Catholic Culture - Solemnity of Sts. Peter and Paul, apostles
(http://www.catholicculture.org/lit/calendar/day.cfm?date=2005-06-29)

 この二人の偉大な使徒の崇拝は、そのルーツがまさに教会の基盤にある。
二人は、その上に教会が建てられた強固な岩である。教会の信仰の起源で
あり、永遠に教会の保護者であり導き手であるだろう。ローマの真の偉大
さは、彼らによる。彼らは神の摂理の導きによって導かれ、帝国の首都は、
彼らの殉教によって聖別され、福音を説き広めるキリスト教世界の中心と
なって光輝くことになる。

聖ペテロは、A.D.66年あるいは A.D.67年のネロ帝による大迫害で殉教す
る。彼は、バチカンの丘の上に埋葬された。最近の発掘では、サンピエト
ロ大聖堂のまさにその場所に彼の墓が現れた。

聖パウロは、オスティア街道、彼の名の付いた大聖堂が現在建っているそ
の場所で首を切られた。数世紀後まで、何千人ものキリスト教徒たちが、
これらの使徒の墓に巡礼に訪れている。2・3世紀には、ローマ教会は、
すでにその使徒性のため、ローマの教えの絶対不可謬の真実、そしてその
二人の偉大な人物ペテロとパウロのために、卓越した地位を築いていた。


━━[催し物情報]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <文化の森情報>
 ●特別展「近代日本洋画の巨匠・黒田清輝展」
  日時:7/16(土)〜9/4(日) 9時30分〜17時
  場所:県立近代美術館
  休館日:月曜日(祝日または振替休日の場合は、その翌日。なお、
  8/15は開館。)

 徳島県立博物館のその他の催し物情報は、以下のサイトをご覧ください。
      http://www.museum.comet.go.jp/

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━━[Homepage Updated]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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━━[あとがき]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ことしの梅雨は空梅雨もようで、西日本を中心に渇水が話題になってき
たと思ったら、ここ数日、新潟では豪雨。

 今年もなにやら変なお天気になりそうな気配です。こちらは、ダムの水
も底をついてきているようで、当面は雨を待ち望む状況に変わりはありま
せんが。

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