数学史

[暗黒時代の終焉]

暗黒時代の終焉

  ヨーロッパ同様、日本にもまさしく暗黒時代と言うべき時代があった。仏教が日本に伝えられて以来千年の間、ほかに記録されるべき知的意義のある出来事はほとんどなかった。日本は世界の再生を待ち望んでいた。そして、この再生の時代は西洋とほぼ同じ頃に東洋にもやってきた。
 1000年から 1500年の間、日本の数学史に名を留めるに値する人は、二人しかいない。一人は、日向の国の大名、あるいは封建領主であった、藤原道憲で、彼は 1156年と 1159年の間に順列?(permutation)(1)についての著作を書いている。その著作は現在失われてしまったが、17世紀の日本の指導的数学者によって考察されるほど重要なものであったと考えられている。
 注目に値するもう一人の名は、仏僧、Gensho(玄証?)である。彼は13世紀初期に生きており、彼の著作のどれにも何の痕跡も残されていないが、著しい算術の才能があったという伝承がある。

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原注1

 継子算(Keishizan)として知られる理論。

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