度数分布の総変動 Total variation of frequency distribution
総変動とは、偏差の平方和のことです。
度数分布の場合、偏差の2乗に度数を掛けて合算して求めます。あるいは、変数の2乗
に度数を掛けて合算し、これより変数の合計(度数込み)と平均の積を引いても、同じ
結果が得られます。
変数が階級に分かれているときは、階級の中央値を階級の代表値とし、計算上の変数と
します。
データの値に単位呼称があるときは、総変動の呼称はデータの呼称の2乗とな
ります。(集団の構成単位そのものの呼称はない(無名)として。)
計算例 次表は、ある果樹園から1季節に出荷された桃の
重さ(g)の分布です。(階級は、以上−未満)
階級 代表値 個数
160g-170g 165g 93
170 -180 175 165
180 -190 185 252
190 -200 195 318
200 -210 205 355
210 -220 215 293
220 -230 225 176
230 -240 235 132
240 -250 245 84
------------------------------
計 - 1868
桃の重さの総変動は、関連ページにより平均が 203.32976であったので
{(93*(165-203.32976)2+165*(175-203.32976)2+252*(185-203.32976)2+
318*(195-203.32976)2+355*(205-203.32976)2+293*(215-203.32976)2+
176*(225-203.32976)2+132*(235-203.32976)2+84*(245-203.32976)2}
=777588.81(g2)
となります。
なお、変数をそのまま2乗する方法をとれば、
{(93*1652+165*1752+252*1852+318*1952+355*2052+293*2152+
176*2252+132*2352+84*2452}-1868*203.329762=777588.81(g2)
となって、先の計算結果と一致します。
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理論
K個のデータ Xi (幅のある階級に区分されているときは、その中央値
など)とそれぞれに対応する度数 fi が
X1,X2,....,XK
f1,f2,....,fK
であるとき、
Σfi(Xi-
)2 (1)
(Σは iについて 1から Kまで合計する意味。)
を総変動といいます。この式は
ΣfiXi2-(ΣfiXi)(ΣfiXi)/F (2)
(Fは各 fiの合計)
と変形できます。式 (1),(2)は数理的に同じで、どちらを使っても構い
ません。実務では (2)式がよく用いられます。
総変動を総単位数 Fで割ったものが分散(基本定義)です。
ここで参考に(1)式と(2)式が同じものであることを説明します。(1)式の( )の
部分を2乗して
(1)式=Σfi(Xi-
)2=
Σfi(Xi2-2*Xi
+
2)=
ΣfiXi2-2*
Σ(fiXi)
+
2Σfi
[[ここで Σ(fiXi)=
*F, Σfi=F ですから]]
=ΣfiXi2-2*
2*F
+
2*F=ΣfiXi2-
2*F
[[ここで
=Σ(fiXi)/F に戻して]]
=ΣfiXi2-(Σ(fiXi)/F)*(Σ(fiXi)/F)*F=ΣfiXi2-(ΣfiXi)*(ΣfiXi)/F=(2)式
となります。
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| 意味と計算手順のまとめ
意味:総変動は散布度(2次)の一種。
計算手順:偏差の2乗の計として上式 (1)を用いるか、
データの2乗計などを式(2)にあてはめて求める。
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