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次に対立仮説に対しては、
1回の抽出で赤札が出る確率は2/3、
1回の抽出で白札が出る確率は1/3
となる。このことから、rの確率分布は2項分布となる。
表2及び図1の灰線のようになるが、その基礎となる数値は次のように算出される。
赤札が出る回数をr、白札が出る回数をwとすれば、赤札がr回、白札がw回出る確率は、
21Cr(2/3)r(1/3)w,r+w=21,r=0,1,2,3,...,21
となるから、具体的には
21C0(2/3)0(1/3)21=0.0000
21C1(2/3)1(1/3)20=0.0000
21C2(2/3)2(1/3)19=0.0000
21C3(2/3)3(1/3)18=0.0000
21C4(2/3)4(1/3)17=0.0000
21C5(2/3)5(1/3)16=0.0000
21C6(2/3)6(1/3)15=0.0003
21C7(2/3)7(1/3)14=0.0014
21C8(2/3)8(1/3)13=0.0050
21C9(2/3)9(1/3)12=0.0144
21C10(2/3)10(1/3)11=0.0345
21C11(2/3)11(1/3)10=0.0691
21C12(2/3)12(1/3)9=0.1151
21C13(2/3)13(1/3)8=0.1594
21C14(2/3)14(1/3)7=0.1821
21C15(2/3)15(1/3)6=0.1700
21C16(2/3)16(1/3)5=0.1275
21C17(2/3)17(1/3)4=0.0750
21C18(2/3)18(1/3)3=0.0333
21C19(2/3)19(1/3)2=0.0105
21C20(2/3)20(1/3)1=0.0021
21C21(2/3)21(1/3)0=0.0002
となる。表2の確率分布表は、これに基づいている。
表2 対立仮説に基づく赤札、白札の出る回数の確率分布表
赤札が出る回数 白札が出る回数 出現確率
(r) (w) (p)
0 21 0.0000
1 20 0.0000
2 19 0.0000
3 18 0.0000
4 17 0.0000
5 16 0.0000
6 15 0.0003
7 14 0.0014
8 13 0.0050
9 12 0.0144
10 11 0.0345
11 10 0.0691
12 9 0.1151
13 8 0.1594
14 7 0.1821
15 6 0.1700
16 5 0.1275
17 4 0.0750
18 3 0.0333
19 2 0.0105
20 1 0.0021
21 0 0.0002
計1
( 図1)
●仮説の採否の領域
採択域A:赤札が10回以下の場合。即ち、確率分布におけるr≦10の領域。
棄却域R:赤札が11回以上の場合。即ち、確率分布におけるr≧11の領域。
(図1参照)
[解説]検定仮説によれば、標本は赤札の方が出にくいから、赤札が多く出れば標
本と検定仮説の関係が尤もらしくなくなる。そこで、ここでは赤が11回以上
出たとき検定仮説を棄却し、赤が10回以下のとき、検定仮説を採択すること
としたものである。仮設の棄却、採択の領域の決め方は、これに限らないが、
ここでは、例としてこう決めたものである。
●有意水準
この場合、有意水準はα=0.0557(=0.0345+0.0144+0.0050+0.0014+0.0003+0.0000)
(表1より)となる。
[解説]有意水準は、次のように理解する。
「標本の赤札が11回以上になることは、検定仮説に基づくそうなる確率0.0557から
して、起き難いことと考える。然るに実際に起きたとすれば、確率0.0557 による
ものではなく、仮説とは別の、これを起き易くする何らかの原因があると考える。」
このように、有意水準は、標本の出現と検定仮説が両立する(しない)と
判断するための確率的水準を示すものである。