検定の例5 「検定」に戻る 次頁
●基本事項
1、母集団に関する既存知識
箱の中に赤札と白札がそれぞれ1枚以上、全部で3枚入っている。
2、母集団に関して、追加知識を得る方法
箱の中から札を1枚、無作為に標本抽出し、札の色を記録する。これを21回繰り返す。
箱の中を見たり、2枚以上同時に抽出することは、許されない。
3、検定の目的
箱の中の赤札の枚数と白札の枚数を推測する。
即ち、仮説を立て、標本による検定統計量を定め、仮説に基ずく検定統計量の確率
分布において仮説の採否の領域を定め、既存知識と追加知識により、箱の中の赤札
の枚数と白札の枚数を推測する。
●仮説の設定
検定仮説H0:箱の中は赤札1枚と白札2枚からなる。
対立仮説H1:箱の中は赤札2枚と白札1枚からなる。
なお、これらの仮説は、箱の中の赤札の枚数の割合をpとして
検定仮説H0:p=1/3
対立仮説H1:p=2/3
と表現するのと同じである。
仮説はこれに限らないが、ここでは例として、こう決めたものである。
●検定統計量
1回の抽出において赤札が出れば1、出なければ0と記録し、これを21回繰り返し、
記録の計をrとする。このrを検定統計量とする。
●確率分布
仮説に基づく、赤札と白札の出現を法則づけるrの確率分布を求める。
先ず、検定仮説に対しては、既存知識と標本抽出の方法から
1回の抽出で赤札が出る確率は1/3、
1回の抽出で白札が出る確率は2/3
となる。このことから、rの確率分布は2項分布となる。
表1及び図1の黒線のようになるが、その基礎となる数値は次のように算出される。
赤札が出る回数をr、白札が出る回数をwとすれば、赤札がr回、
白札がw回出る確率は、
21Cr(1/3)r(2/3)w,r+w=21,r=0,1,2,3,...,21
となるから、具体的には
21C0(1/3)0(2/3)21=0.0002
21C1(1/3)1(2/3)20=0.0021
21C2(1/3)2(2/3)19=0.0105
21C3(1/3)3(2/3)18=0.0333
21C4(1/3)4(2/3)17=0.0750
21C5(1/3)5(2/3)16=0.1275
21C6(1/3)6(2/3)15=0.1700
21C7(1/3)7(2/3)14=0.1821
21C8(1/3)8(2/3)13=0.1594
21C9(1/3)9(2/3)12=0.1151
21C10(1/3)10(2/3)11=0.0691
21C11(1/3)11(2/3)10=0.0345
21C12(1/3)12(2/3)9=0.0144
21C13(1/3)13(2/3)8=0.0050
21C14(1/3)14(2/3)7=0.0014
21C15(1/3)15(2/3)6=0.0003
21C16(1/3)16(2/3)5=0.0000
21C17(1/3)17(2/3)4=0.0000
21C18(1/3)18(2/3)3=0.0000
21C19(1/3)19(2/3)2=0.0000
21C20(1/3)20(2/3)1=0.0000
21C21(1/3)21(2/3)0=0.0000
となる。表1の確率分布表は、これに基づいている。
表1 検定仮説に基づく赤札、白札の出る回数の確率分布表
赤札が出る回数 白札が出る回数 出現確率
(r) (w) (p)
0 21 0.0002
1 20 0.0021
2 19 0.0105
3 18 0.0333
4 17 0.0750
5 16 0.1275
6 15 0.1700
7 14 0.1821
8 13 0.1594
9 12 0.1151
10 11 0.0691
11 10 0.0345
12 9 0.0144
13 8 0.0050
14 7 0.0014
15 6 0.0003
16 5 0.0000
17 4 0.0000
18 3 0.0000
19 2 0.0000
20 1 0.0000
21 0 0.0000
計1



















