CADを利用する。

H9/ 01/24 登録
H9/ 03/07 更新
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手描きからCADへ!

 T.I.(テクニカルイラストレーション以下T.I.と書きます)技術者により、特許図面
がメインです、とかフリーハンドの絵が中心ですとかいろいろおられるでしょう。
私たちの描いているT.I.は主に「部品明細表」ヨコモジで言うところの「Parts List」
を作成するためのイラストが主です。大きな機械一台分のパーツリスト用イラストは結構
な量になります。

 近年までは組立図、部品図を元にトレーシングペーパーに下図を作成して、それを自分
でまたはトレーサーが墨入れをして一枚の絵を完成させていました。省力化の機械の入り
込む余地はお多くはありませんでした。

 下図を描く作業は製作図面を見て立体表現するのですから読めなくては描けません。
また電気機械など工業一般についての知識も、深い知識は必要はないのですが広く浅く必
要なのです。
墨入の作業は技能ですから、何とか売り物になる絵を墨入れできるまでには長い習熟期間
が必要で、数ヶ月以上はかかりますし、建築図面、機械図面とはまた違った表現をするの
で、それなりのセンスが必要です。
そして誰でもがこういう作業に向いている訳でないのです、できない人はできないのです。
人材の確保と育成は手間と時間がかかる大変なことでした。
そんな中でたくさんのイラストを早く安く、供給する必要が出てきたのです。

 世間では機械図面であれ電気図面であれどんどんとCADで描かれる時代になりました。
なにであれ技術者であれば、個人でもCADを使用できるご時世になりました。
T.I.の業界もCAD化は必須で、時代の流れでしょう。

 という訳で近年自分の勤めている会社でも一人一台パソコンを確保してCADを利用し
てT.I.を描いてます。
 それによるメリットデメリットは会社、技術者のおかれている環境にも左右されますの
で一概にいえませんが次のようになるでしょう。(相手の会社のシステムに合わせるとデ
ータを引用しやすい。T.I.でもグラフィックがメイン等条件は変わります)


☆CADを使用してT.I.を描く長所は

  1. 一点のイラストをいろいろ使用する場合、コピーしても品質を落とさずに転用できる。
  2. 細かい点まで描写できて拡大使用に耐える絵も描ける。
  3. 仕上がりの個人の技能の差が完成品に出にくい。誰が描いても同じものは同じように描ける。
  4. 完成した絵の修正が非常に楽にできる。
  5. その他

★CADを使用してT.I.を描く短所は

  1. 使用するCADソフトで作業能率が変わる。
  2. T.I.に限らないが異種ソフト間のDATAの流通がよくない。
  3. 熟練した作業者の手描きの下図よりもCADで下図を作成する方の時間が長い場合が多い。
  4. 墨入れ完成の状態はプロッター次第で出来が左右される。
  5. 初期投資維持費が手作業より遙かに多い。

などなどいい所もよくない所もあるのですが、導入した以上は長所をより生かす方向で作
業を進めるのみです。


CADとT.I.

 立体図と言うとほとんど第一に思い浮かべるのはみなさん AutoCAD ではないでしょうか。
でもそれではないんです。

 立体図をCADで描く場合、実際描かれる方はどのように描かれているでしょうか。
市販のCADソフトは3面図を元に半自動的に立体図の作成をさせるものが多いように思
います。

AutoCAD、MicroCadam も基本的にはそのような方法がメインと思います(デモを見ている
限り)。

実際使われている方で「いやそればかりではないぞえ!」とおっしゃる方はどうぞほかの
方法も教えてください。

 私の描いているイラストは数をこなす必要があるものも多く、前記のような方法だけで
はこなせない場合があります。

それならばと割り切っていきなり立体図を描いていく方法を中心にすることにしました。
この方法の方が早い場合も実はあるのです。そして普通の3面図からの変換は自動でなく
手動でやることにしました。


どんなソフトをいれたか?

 知らない方もおられるでしょうが、大塚商会の「Expert CAD」というものです。
予算的にこれ全部をそろえる訳には行かず、社員の半分はあの有名なJWCADを使用し
ています。
これを読まれた方で、CADでT.I.を描かれている人がおられましたらあなたがどのよ
うに描いておられるかいろいろ教えてくださいませんか。


なんでこのExpertCADなのでしょう?

 何のことはないのです。これが入る前は同じく大塚商会の「PC−CAD」が入ってま
した。これを下取りに出してExpertCADをいれたのです。
とは営業的答えで「これだけの機能は最低欲しい」というガイドを決めてこれを中心に決
めました。T.I.をCADでやってらっしゃるあなたはどうでした?

(この、選定のための基準は平成5年10月当時のものです)

CADを導入するに当たってのCADソフトに求める機能

  1. 任意の平行四辺形にの4辺の中点に内接する楕円を描く
  2. 円を縦横独立変倍して楕円にできること
  3. 楕円の縦横の独立変倍で形状の変更ができる
  4. 楕円と任意の点の接線が描ける
  5. 楕円と楕円の接線が描ける
  6. 楕円と楕円の接楕円(or接楕円弧)が描けるまたは描くための情報がとれる
  7. 楕円弧の編集ができる(線の延長短縮)
  8. 楕円のと他の要素(点移外)との交点が求められる
  9. 楕円を描く方法が多いこと
  10. グリッドがズームアウト時にも出ていること
  11. タブレットに対応していること
  12. レイヤーの設定が簡単にできること
    1. 表示のみ
    2. 編集可
    3. 参照のみ
    4. 表示の切り替えの簡便さ
  13. マクロ言語が使えること
    1. 編集の易しいこと
  14. CADのカスタマイズの自由度の大きいこと
  15. 画面にWindowが開けること
  16. 描画速度の大きいこと
 これらの機能を欲するということはそれまで使用していたCADに無かったということ
ですね。
 概ね以上のようになりましたが、現在使用しているCADがこれの全部を満たしている
わけではありません。
しかし満足できる水準のものでありましたので導入しました。


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