言語患客
はじめに
「そういうわけで」と枕ではじまるきょうの一日。
前置きなしですから,このいきなり「そういうわけで」の前のことは,聞き手側で,想像力と創造力をたくましく即発揮しなければ対応能力の未熟とさとらなければならないのです。
このアニマルいや「マニュアル」もどきは,いかなる状況,条件においても対応できる能力を醸成,変換効率をたかめ,また狂羊病ウィルスバスター的な活用のためにしたためたものです。
雪崩
「なだれ」と読むことはたやすい。
これを『ゆきなだれ』と読む《誤人》がいる。
「そういうわけで」と前置き無しで述べ始まる情報伝達。
情報を伝える文書をまじめに読んでいて,順序よく漢字の拾い読みをしたがゆえに,その挙句かともおもえるが,三度も繰り返して読めば『誤読』に違いない。
「ゆきくずれ」とならまだしも,と,おもいつつも,得意になって繰り返すので聞き手はかしげた頭がうなだれる。
誤読を翻訳して聞ける許容のある御仁はいいが,狭許容の拙者は,吐き気がしてならない。
《誤人》を『羊』といいます。「脳崩れ」です。
【sheep】を『sleep』とHをLにかえると拙者は癒されます。
「Low」なのに「High」ぶっているから呆れます。
2000.12.27/雪崩の酒田後 採集 〔範疇 : √読めない ≠〕
IH(電磁調理器)
【IH】を「アイエイチ」とは日本人のほとんどが読める。
これを「アイエイチ,つまり、キッチングヒーター・ ・ ・ ・」と解説し得意満悦の《誤人》がいる。
情報を伝える文書をまじめに読んでいる《誤人》に何さ変わらずに、IHをクッキングヒータ(電磁調理器)と聞き手は脳でも翻訳する。
クッキングヒータは、キッチンで使用するから、まあいいか、と思いつつもJCOを「ジェイオーシー」と読んだり,日本オリンピック委員会であるまい,順不同,乱打無な言語間隔という感覚には呆れる。
誤読を翻訳して聞ける許容のある御仁はいいが,言語共同体のメンバーでも狭許容の拙者は,吐き気がしてならない。
食後のデザートを「食後のデパート」とか、職場スチュワードを「職場スチュワーデス」と言ったり,NHKを「笑むエッチ敬」と言ったという田舎高人も居たというが,これはまだいただける怪話か。
滑稽,滑稽。
〔範疇 : カ行勘違い活用 ≠〕
履歴
【履歴】を「フクレキ」と読みながら物事を伝達している《誤人》がいる。
情報を伝える文書をまじめに読んでいる《誤人》に,、「『りれき』ですね」といっても、聞く耳をもたない《誤人》は、そのまま続けるのでヨウイオンが発生し充満します。
就職の際、提出したものは「なんなんだったのだろう」。
《誤人》が【ヒストリィ】を「ヒステリー」と変換形の活用を懸念する。
〔範疇 : 読めない √〕
テロップ
「きのう新幹線が停まったのな、テレビをみていたらプロットが流れた」と言い出す《誤人》がいる。
「プロット」と言っているのは、【テロップ】のことを言っていると変換しなければなりません。
事実は小説よりも奇なり,字幕ニュースには,筋書きがない。
乱打無な言語感覚という患客には呆れる,吐き気がしてならない。
2001.7.10/誤録 〔範疇 : あさって語 ≠〕
スリング
「お願いが二つ,つり荷に使う『スリリング』の悪いのは使わないこと。
擦り切れた『スリリング』を使って,荷物を落っことした,というような事のないようにしてほしい。」と公式打合せで言い出す《誤人》がいる。
「スリリング」と言っているのは【スリング】のことを言っていると変換しなければなりません。
確かに,クレーンで荷の吊り上げの玉掛け作業では,荷物が落下する要素があって『スリリング』ではあるシーンです。
オーソドックスな用語は【スリングロープ】(玉掛索)です。
【スリングロープ】のことを「スリリング」(ダブり)
吃音は一般的には語頭つまるか重複する。
乱打無な言語間隔という感覚には呆れる,言語共同体のメンバーとしては吐き気がしてならない。
2001.7.26/誤録〔範疇 : チャタリング ≠〕
天端
始業ミーティングで,【天端】を「テンバン」と言って,仕事の指示をしている《誤人》がいる。
まじめに指示している《誤人》に,「『てんば』ですね」というと,これは聞く耳をもって《誤人》は,いったんは「てんば」と正常化するが,そのまま続けて再登場の局面ではるので「テンバン」にもどります。
広辞苑には載ってないからなあ,なんとも,でも,言語共同体のメンバーとしては,おおきな問題ではないがこまったもんです。
〔範疇 : 業界語読めない言語共同体外語 √〕
インクジェット
「年賀状は『インジェクト紙』を使った。」と2002年初顔合わせの朝、得意げに言い出す《誤人》がいる。
【インクジェット紙】のことを言っていると変換しなければなりません。
確かに,年賀はがきをインクジェットプリンタで使用する場合は【インクジェット紙】が最適で,既に数年前から発売されており,パソコン使用者は常識的に使用しています。(一般的には再生紙はがき)
《誤人》は,初めての使用と見え,進歩派と得意満面に披露しています。
聞く方は疲労してしまいます。
インクジェットプリンタは,印字ヘッドからインクを射出(ジェット)し,紙面に定着させる仕組みです。
Jet(噴出,噴射)←→Inject(注入・注射)
年賀はがきは「インジェクト紙」ではなく【インクジェット紙】です。
年頭から,まったく反義語を得意に噴出している《誤人》です。
【インクジェット紙】のことを「インジェクト紙」 (反義語)
乱打無な言語間隔という感覚には呆れる、吐き気がしてならない。
2002.1.7/誤録〔範疇 : 反義語 ≠〕
ピロリ菌
「きのう医者に行って胃の再検査をうけたんだけど,さらにわるくなっていて,前の穴のそばにまた穴があいていた。胃潰瘍がなかなかよくならない。『ペロリ菌』というのがあって,それが悪さをするらしい。」と,例の調子「そういうわけで」に続き語りはじめる《誤人》の朝の始業ミーティング。
【ピロリ菌】のことを言っていると変換しなければなりません。
「『ピロリ菌』でしょう。」と、言っても、そう簡単には耳を傾けもせずに語りつづけます。それは,自分が一番先におり,諸君は知らないだろう、とをいうふるまいです。確信犯のようです。
【ピロリ菌】は、約十年前から話題となっているので、「ガン」について気にしている方面では、知っている人は知っている、知らないお方もいたのかもです。(ヘリコバクター・ピロリ菌) 雁・鴨
《誤人》は,初めて出会いのものらしく,さらにと得意に披露しています。
「くすり,のんでものんでもひどくなる,『ペロリ菌』というのはたちが悪い『ペロリ菌』は。」と,あたかもソフトクリームをぺろりぺろりなめるように繰り返す。「ペロリ菌」(謎詞)ではなく【ピロリ菌】ですよう!
もうまったく,浅はか狂羊の《誤人》には,朝から牛乳ではなく,鼻から牛乳を噴き出してしまいます。
【ピロリ菌】のことを「ペロリ菌」 (名詞動詞パ行五段変化活用)
2002.1.25/始業ミーティング時採集版。〔範疇 : 謎詞パ行五段変活用≠〕
備長炭
「○○○からこのたび『すみひょうひん』をあつかうとあんないがありました。」と,終業ミーティングでパンフレットを手《誤人》に紹介しています。
【炭商品】と聞き手は自動変換します。(話し手は,ワードプロセッサーでの漢字変換がうまくいっているのかと危惧する)
「今はやりの『ちくたん』(竹炭)でしょう。」と,質問すると,「ちがう,『びちゅうたん』とかいてある」という。
すかさず前席のメニブック氏「【びんちようたん】でしょう。」と,軽くいなした。すると「そうか」と軽く応じた。
今や世間は【炭】ブーム、【備長炭】などおんなこどもでも,知っている人は知っている,知らないおとながいたのには驚異です。(竹炭ブーム)
《狂羊病の誤人》,出会いが薄いらしく,皿なる教養を披露しています。
「【備長炭】は、なんでできてるんだっけ?」と,問うと,答えはない。毛頭,回答を期待はしていないので「赤樫かな,青樫かな,」と赤恥,青恥の如く言ってみた。「樫に,赤樫,青樫,なんとあるのか」という。
「『姥女樫』を焼いたのが【備長炭】といい,それで長持するのですよ」と講釈した。不愉快のようだった。こちらの誘導にはまったの知ったようでした。
そのあと,「最近,竹をつかってできた炭があるんだってな。」と言い出すので,再度おどろきもものきけやきの木,当初に『竹炭』の話をきりだしていたときは,なんと解釈していたのだ,なんじゃもんじゃ。
あたかも【蓄熱暖房機】の短縮形「ちくだん」と聞こえていたのでしょうか。(拙者がずうずう弁だったかも)
【蓄暖】を扱っているところは『エルク』ですよう!
もうまったく,夜に向かって浅はか狂羊の《誤人》は,きょう酔をさらけ出しています。
【しょうひん】のことを「ヒョウヒン」 (江戸訛系)
【備長炭】のことを「ビチュウタン」 (読めない形)
【竹炭】のことを「蓄暖」 (聞き違い系)
2002.1.28/終業ミーティング時誤録採集版。〔範疇 : 俚言≠〕
誤 録
1.「雪崩」を『ユキナダレ』(読めない)
2.「クッキングヒータ」は,『キッチングヒータ』(カ行勘違い活用)
3.「履歴」を『フクレキ』(読めない)
4.「JCO」を『ジェイオーシー』(順不同)
5.「テロップ」のことを『プロット』(あさって語)
6.「スリングロープ」のことを『スリリング』(ダブり)
7.「天端」のことを『テンバン』(言語共同体外語)
8.「インクジェット紙」のことを『インジェクト紙』 (反義語)
9.【ピロリ菌】のことを「ペロリ菌」 (名詞動詞パ行五段変化活用)
10.「備長炭」のことを『ビチュウタン』(読めない)
巻尾
神戸夏祭りでの歩道橋で多数の被害者を出した原因を「人雪崩」と断定した。
なだれ=y雪崩】を『ゆきなだれ』と読む《狂羊病》患者は,この際にはどのように読むのか推測する。
ひとなだれ=y人雪崩】を『ひとゆきなだれ』と読むのかもしれない。
MSIME2000で漢字変換した場合は,『人雪雪崩』と表示されても不思議に思わずにいるだろう。
ひとなだれには,二つの雪があるという。滑稽,こっけい,コケ国交,かも。
〔録者紹介〕
十遍捨平兵
江戸生まれ。或大学方角部卒。
罵詈雑言アナリスト
「言語患客=@げんごかんかく」(羊の巻)【2000.11】囀鳥舎
「言談腹背=@げんだんふくはい」(腹の巻)【2002.01】囀鳥舎
「語路縄=@ごろなわ」(藁の巻)【2002.02】囀鳥舎
ほか、ナイィブ告発もの多発
言 語 患 客 第三版
2001年2月16日 第1版第1刷
2001年4月16日 第1版第2刷
2002年1月16日 第2版第1刷
2002年1月25日 第2版第2刷
2002年1月30日 第3版第1刷
採集者 十遍捨平兵
分析者 探理素徒
発酵者 十篇四捨五入
発酵所 囀 鳥 舎
《誤字,落字の綴りは茶番のつもりです》