25章 決戦


マーリングリスルの村が次第に黒い雲に覆われていった。
「いかん。思ったよりもヤツが来るのが早い。」
カノンは叫ぶと、マリングリスルの村に向かって猛然と走り始めた。

村は既に戦場となっていた。
幸いに、クラフフォレットの国からキルトの鎧が大量に送られていたので、村フェレ達はそれを身ににまとい、勇敢にモンスターと戦っていた。
しかし、しょせん平和に暮らしてた村フェレたちであった。そこには戦術もなにもなく、ただがむしゃらに牙をたて、爪で引っ掻くだけの戦いであった。
形勢はフェレにとって不利な方向に傾いていた。

カノンはその戦いのどまん中に身を踊らせ、モンスターを1匹、そしてまた1匹と倒していった。
カノンの後をティナとチョビも続いた。
ティナは、地道ではあるが疲れを知らぬ地を這う戦いを見せた。
チョビは、蝶のように舞い蜂のように一撃を加える三次元の攻撃で、ティナの頭上をカバーした。
カノン達の戦いに勇気づけられた村フェレ達は、次第に野性の勘を取り戻していた。
今や、形勢はフェレにとって完全に有利であった。
勝利が見えてきた。

「どうやら、私の出番のようだな。」不気味な声が響いた。
「やっとお出ましってとこかい。」カノンが叫んだ。
「姿を見せろ!」ティナが叫んだ。
「5数えるうちに出てこなかった、あんたの負けよ。」チョビが叫んだ。
村フェレ達は、カウントダウンを始めた。
「5・4・3・2・1・ボン! あんたの負け。」
村フェレ達は、歓声を上げた。
「勝利だ!!」

「おまえらアホか。。。」不気味な声が嘲るように響いた。
ついにジステンバ魔王が姿を見せた。
「意外に小さいのね。」ティナが言った。
「油断するな!」
カノンは叫ぶとジステンバ魔王に向かって突進していった。

「マーリングリスルの村が見えてきた。」あタロウが叫んだ。
村を出てから、もう1ヶ月が過ぎていた。すぐに終わる旅のつもりだったが、意外にも寄り道が多くて今日までに至ってしまった。
「間に合ったのかしら?」ミクが言った。
ロイスは、戦場と化したマーリグリスルの村に突入し、そして止まった。
ミュウ達はロイスから飛び降りた。

ミュウ達が見たのは、ジステンバ魔王に押さえ込まれたカノンの姿だった。
「ちい、邪魔が入ったようだ。まあいい。手間が省けたというものだ。」