VIは、Visual Identificationの略、スクランブルであがったときに
領空侵犯機を目視で識別するときなどに使えと設計者は言っています
といっても、HUDに目標機の拡大映像がドーンと映し出されるといった
そんなすごい機能はありません
パイロットが目視で識別するのにいい位置まで、誘導してくれるモードです
具体的には、目標機の後方、下方(こちらからはよく見えるけど、あちらから
は見られにくい位置)に位置するまでの飛行方向を教えてくれます
使い方は簡単
まず目標機をレーダでロックオンします
するとHUDにASE Circleと呼ばれる円とSteering Dotと呼ばれる点
が表示されます
Steering DotをASE Circleの中に入れるように飛べば、あら不思議?!
いつの間にか目標機のお尻にきています
あとHUDには、目標機のいる方向を示すTD BOXという箱と、目標機までの
距離及び接近率を示すスケール、自分が目標機の前にいるか後ろにいるかを示す
Aspect Angleなどが表示されます
そして、親切なことに、目標機に接近し過ぎると、Break Xと呼ばれる
大きな×(ばってん)が表示され、近づきすぎだよ!と注意してくれます
話は脱線しますが、VIモードはシミュレータでやってみるとうまくいきません
目標機の正面でレーダをロックオンさせ、Steering DotをASE Circleに入れて
飛んでいると、はじめは好調なのですが、目標機の真横を通った辺りでレーダの
ロックオンがはずれてしまうのです
これは、現在のレーダ(パルス・ドプラ・レーダ)がドプラー効果を利用して
目標機を検知している為、目標機が横を向くとドプラー効果がなくなって見えなく
なってしまうという現象を、シミュレータ上で忠実に模擬しているからです
シミュレータにレーダ性能のカタログ値やら理論値を入れてやってみると、
何回やっても目標機の真横でレーダがはずれてしまうのです
でも、実機では、そんなことは起こりません
ちゃんとレーダはロックオンを継続します
きっと、実機のレーダはロックオンを継続する為の細工を中でいろいろ
やっているのでしょう
レーダというのは、性能がカタログ値以上だったり以下だったり
非常に謎が多い機器の一つなんです