面白くない話です(本人感想)
IAS CAS TAS EAS GS MACH
みんな飛行機で使う速度です
通常全て使います
だから速度のお話をする時は、どの速度なのかを確かめないと
間違った事を言ってしまいます
また単位も重要です
それがkm/h nm/h sm/h m/s f/s なのか
これでも話は違ってきます
C−172で速度140と言ったら IASで140sm/h(陸マイル)
F−15Jで速度140と言ったら CASで140nm/h(海マイル)
で、実際の距離では1時間あたり30km程度は違ってきます
まあC−172でもF−15でも140はきついですが・・・・
また、パイロットはIASもしくはCASを常に使います
フライトプランにはTASもしくはMACHを記入し
飛行時間はGSで算出します
また技術者の言う速度は必ずEASです
飛行機の速度はこんなに複雑なのです
それでは先ず各々の速度の説明です
例によってくだらない話をしてしまいましたので
この先はちょっと、面白いお話です(自己満足かも知れませんが・・・・・)
飛行機の計器で最も重要なのは
速度計と私は思っています
速度計無くての着陸はちょっと考え物です
高度計、姿勢指示器などはお天気が良ければ必要ありません
エンジン計器などはあっても見ていないので、最初からいりません
だから「なにか1つだけ必要な計器は?」と聞かれれば
迷わず「速度計!!」と私は答えます
最近の飛行機は上記の速度のほとんどを表示します
速度計にマッハ計、TAS指示器にGS指示
この中でも出来れば最も原始的なIASがあればいいのです
地上付近の低速ならIASで十分です
心配ならば上空で模擬着陸やって着陸速度を決めればいいのです
どうせ誤差は、多くても10kts
緊急状態では誤差の内です
F−15の計器の多くは電気で動いています
そのため緊急用に
高度計、速度計にはスタンバイ計があって
停電になっても
生の静圧と全圧で高度と速度が分かるようになっています
F−2も電気で動いていますが
この飛行機は、停電になると
落ちてしまいますので
その手のスタンバイ計はありません
さて、速度の話しに戻ります
速度は飛行機の命です
速度さえあれば、多少のことが起きても
問題なく飛んでいられます
しかし速度がなかったら
直ぐ墜落です
逆にあまり多くても
フラッターや強度の問題で
空中分解してしまいます
何事も適度がいいようです
着陸速度:
着陸アプローチ速度と接地速度はもっとも重要です
これを間違えると、地面が近いので、直ぐに地上とゴッツンです
通常は失速速度の1.3倍を使用します
理由は省略させていただきます
この速度さえ分かれば着陸できます
ではどのように実機で発見するのでしょう
新型機は、まだ本当の着陸速度を知りません
風洞試験などで、小さな模型レベルでは
試験してありますが
実際は飛んで見ないと分からないのです
F−2の初飛行要領を見ると
初飛行時には、いかに着陸速度を見つけだすかが
記載され
そのほかの事は全くと言っていいほど
記載されてません
先ずは離陸でエアーボーン姿勢と
その速度を把握します
これによって地面効果内の、失速速度を推定します
飛んでいるパイロットは、おばかなので
当然、リアルタイムでモニターしている
地上の技術者が推定します
飛行中は常に脚をだたままで
引き込みません
F−2の場合は、脚の上下でフライトプログラムが
変わってしまいますので
この変化を避けるために脚出しのままの飛行でした
飛行機があまりにも安定していたので
上昇中から直ぐに静圧系統の計器の読み合わせが
実施されました
これは、速度計と高度計の誤差を簡単に把握するための
方法で、ペイサー試験に準ずる物です
ペイサー試験とは
すでに正確な高度速度が分かっている
飛行機と一緒に飛び
速度高度の読み合わせで
その試験機の静圧誤差をとみ取るものです
テクニック的にはブルーインパルスの編隊離陸程度
試験機の横3m位の所を動かずに飛べばいいので
たいしたことありませんが
精度は、いいとは言えません
しかし、手頃で全ての速度帯と高度帯で出来ますので
気軽に出来ます
F−2の飛行中の80%は、この計器読み合わせでした
これによって、自分の計器の誤差を把握して
設計者が示している
CASによって、試験をします
設計者はEASで計算し
それをCASにしますが
IASにはしてくれません
誤差が分からないので、出来ないのです
CASからIASへの変更は、操縦者の責任です
技術者が152ktsと言ったら
ペイサー機のCAS152ktsの時の
自分の計器を読みます
それが178ktsだったら
その高度、速度では自分の計器の誤差は
26kts+であることがわかります
このデータを集めて最終的には
ADCを直しますが
他の方法で誤差も計測します
さてこれで自分の計器の誤差の概要がつかめました
次に着陸速度の発見です
最近の飛行機はAOA計(迎え角指示計)が付いています
これが正確ならば、巡航、着陸、失速全て分かるのですが
AOA計は、飛行姿勢によって誤差が極めて大きく
その取り付け位置によっては20度ぐらいの誤差は当たり前です
そこで、やはりまだ信用できる速度計に頼ることになります
試験飛行が終わり
迎え角の誤差も正確に修正してあれば
速度計よりもAOA計の方が有効です
さて、話を戻すと
F−2の着陸は、風洞試験で
AOA10度 速度143kts 残念料1500lbsと概算されていました
そこで、143ktsまでの挑戦です
先ず200kts付近で安定させます
そこからゆっくり減速を開始します
1kts/1sec程度の減速率です
縦横のコントロールとエンジンの反応を見ます
予定速度の20ktsぐらい手前から
着陸を意識した操作をします
3度のフライトパスに入れて
沈下速度を600feet/minにします
これで減速して目標速度に達します
ただし運が良ければですが
通常は、予想されてない現象が発生します
戦闘機の燃料は通常1時間半程度
脚を下げていると、1時間程度しかありません
しかしなにしろ、燃料が切れる前に
何らかの着陸方法を発見しなくてはいけないのです
運良く予想着陸速度までアプローチしたら
ゴーアラウンド
パワーによる姿勢変化と
急加速による飛行特性をつかみます
これで、概ねの着陸がつかめます
そして着陸飛行場へ
先ずローアプローチをします
上空での試験は、オープンループ
パイロットの操作が、積極的には飛行機に影響を与えていません
裸の飛行機の特性試験です
しかし着陸は、積極的にパイロットの操作が加わります
クローズドループになります
それを試験するために、滑走路を目標に
上空での試験データーを守ってアプローチします
うまくいけば、そのまま降りてもかまいません
このようにして着陸速度を求めるのです
ただし、上空でその速度に達する前に
操縦上問題があれば、操縦特性を満足させる
最低速度が、着陸速度になります
これだけ知っていれば
上空でUFOや鳥などに遭遇して
機体の一部を損傷した場合や
ピトー静圧系統に虫でも入って
指示がおかしい時には便利です
是非ともご活用下さい
戦闘速度:
戦闘する時の速度は勝敗を左右します
正面からミサイルを撃つときは、自機の速度は速い方が
ミサイルの飛行距離が伸びるので、有利です
ただし敵のミサイルも自分に早く当たります
ところがドッグファイトになるとそうではありません
速い速度なら、大きなGをかけることができ
ギリギリ回れますが
旋回半径が大きくなって、旋回に時間がかかります
また、遅い速度では、旋回半径が小さい分
Gがかかりませんので
これまた時間が多くかかります
ですから、適当なGがかかって
最短時間で旋回できる速度を使用します
ただし、飛行機は旋回すると速度が減ってしまうので
やや多めの速度を使います
普通は450〜350kts程度でしょうか
F−4クリーンなら420kts
F−15なら400ktsぐらいが適当かと思います
F−2は350ktsがいいでしょう
F−1は戦争してはいけません
シザースに入ってしまったら
出来るだけ速度を減らした方が有利です
空中で止まれればそれに越したことはありません
バックできればさらにいいですが・・・・・
しかし失速寸前でシザースしても
コントロールがうまく利かなかったり
離脱する時に時間がかかりますので
できれば、シザースは避けた方がいいと思います
でもシザースは面白い
昔米軍のF−4Dに乗せてもらったた時に
いつもの癖で
シザースに入れました
相手は同じF−4
有利な位置を占位しました
ところが後席の教官が笑うんです
「何やってんの?」と
理由は、F−4DにはEJと異なり
GUNが付いてないんです
シザース入れても、撃つ物がないんです
相手が燃料切れで落ちるまで待たなくてはいけないのです
ばかなマヌーバをしてしまいました
巡航速度:
戦闘機の巡航速度は.7〜.8Mach程度でしょうか
20000feetで350〜400kts
この程度でエンジン1本3000lbs/h 2本で6000lbs/hの燃費
これで2時間ほど飛べます
しかし.9ぐらいが気持ちよくていいです
450kts〜500ktsぐらいでしょうか
目的地にすぐ着いて
けだるくありません
最近では超音速巡航出来る戦闘機も出ていますが
現在の一般的戦闘機で超音速巡航は
燃料的に無理があります
同じ回転数でも速度が上がれば上がるほど
燃料は多く必要です
A/Bなど入れたら
燃費は倍増します
最大速度:
飛行機の最高速はいろいろな理由で
決まっています
多くはフラッター限界です
強度限界は1.5倍の安全率をかけてあるので
その速度を過ぎたからと言って
瞬時には、破壊しませんが
フラッターは違います
瞬時に破壊します
今では解析技術が進んで
めったにフラッターは起きませんが
昔は、ある速度に達すると
理由不明のまま空中分解し
数多くのパイロットが死んでいます
また、操縦性の面からも制限速度が
決まっている場合もあります
ある速度を超えると
急に操縦が出来なくなったり
難しくなったりする速度です
特にエルロンリバースが生じるような所では
アンコントロール状態になります
また突然振動が発生したりする場合もあります
ですから、制限速度は守ったほうが良いと思います
特に軽飛行機の場合は何が起こるか分からないので
積極的に避けた方がいいでしょう
もしどなたかで、制限速度を超えて
貴重な体験をされた方は、お教え下さい
上昇速度:
これもいろいろの種類があります
たとえばVx、Vyとか
でも原理は簡単です
Vyは各高度で一番上昇率の良い所を結んだ線です
しかし戦闘機では推力が大きいので
これでは操縦しにくくなります
スケジューリングが難しくなります
そこで上昇速度は、一定にしたり
上昇姿勢で決定します
どんな戦闘機でも
.9ぐらいが良いと思います
しかしF15やF2では
これでも地上付近では、垂直近くになってしまいなすので
姿勢角45度程度がいいでしょう
降下速度:
戦闘機の降下速度は、特に制限がありません
好きなように降りればいいのです
ただしMach2で降下すると
高度が30000feetあっても
地上まで30秒ほどで地上に激突します
ですから、リカバリーを考えての降下が必要です
また垂直に下向きならば
エンジンがIDLEでも
重力で、自重分が推力になりますので
音速突破は簡単です
最も簡単な高度の降ろし方は
スプリットSです
1回やれば1000〜8000feetぐらい降下出来ます
ただし、機首が180度逆ですが
これを2回やれば
最初から向いている方向で
20000feet近く降下できます
それも50秒程度で・・・・
たまにお客さんを乗せて
ビジネス機で飛びますが
その降下の遅いこと
目的地の40NMも手前から降下しなくてはいけないのです
戦闘機なら、飛行場の真上で降下すれば
間に合うのに・・・・・
結局あまり面白くない
お話でした
ごめんなさい