Post Stall


失速後のお話です
失速=墜落
(またまたラダーさんごめんなさい)
しかし、地上に到着するまでは、少々時間がありますので
楽しみはたくさんあります

デパーチャー
ポストストール・ジャイレイション
スピン
面白いことの連続です

では、ストールです
普通のストールはラダーさんにお任せするとして
激しいStallの話です

どんな飛行機でもいいですが
最大Gで旋回します
3Gでもいいです
バフェットが来たら

エレベータ最大引き
エルロン最大旋回方向
トップラダー最大入力

これで完全な、ポストストール領域に入れます
ただしその前に機体が分解してしまったら
だめですが・・・・・
C−172ではちょっと危険かな

幸運にもオーバーGや空中分解しなかったら
今まで経験したことのない
飛行が楽しめます

多分、飛行機はそれまでの旋回方向とは
逆に旋回に入るでしょう
右旋回で入れれば、左にデパーチャーします

デパーチャーとは、アンコントロール領域の入口です
通常の戦闘機ではStallの項で述べたように
ノーズスライスやノーズライズになります
本当に突然、起こります

運良くデパーチャーしたら
デパーチャーするために入れた最大重力を保持します
するとPSG
ポストストールジャイレイションに入ります
これは、機首のやや下がった
回転運動です
下に向いた、エルロンロールの感じでしょうか
ただし速度は極めて低速です

これにもめげずに操舵を保持します
すると、スピン
スピンモードには色々ありますが
特に面白いのがフラットスピンです
ゆっくりとおなかを下にして
水平線に平行に回転します

空力的に釣り合った状態です
全ての舵は、失速してききません
どんなにあがいても
飛行機は言うこと聞きません
運が良ければラダーは利くかもしれません

ラダーを回転を止めるように
最大使います
回転が止まれば
助かる可能性大

戦闘機ではここまで行ってしまうと
何をしてもだめです
ベールアウトのみです

ちなみに試験飛行では、故意にスピンに入れます
そしてその特性を明確にしてから
ユーザーに渡します
しかし試験の度に飛行機を落としていたのでは
お金がいくらあっても足りないので
戦闘機の場合には
スピンシュートなる物を取り付けて
試験に臨みます

スピンシュートは、通常機体後部に取り付けられ
スピン等でリカバリー不能なときには
大きなパラシュートを後方に打ち出し
機首を真下に向ける手助けをします

F16の試験では、スピンシュートのトラブルで
シュートが開かず
墜落かと思われた瞬間
ピッチが下を向いて、助かった記録があります

F4などは、ぼんぼんスピン試験で落ちてます
15は普通スピンに入っても、ハンズオフでリカバリーします
T−2は、なんとかリカバリー可能なスピンに入ります

興味深いのは
T−4で
きれいなスピンには入らず
木の葉落とし状態に入ります
ヨーイングがロールと共に
左右に発生します
ピッチは水平線やや下向き安定
外から見ると
枯れ葉が、ひらひら落ちる運動です
T4だけはこれをPSG運動と定義しています
ただし、AOAを21にホールドしてると
普通のスピンに入ってしまいます

またプロペラ機では
ジャイロ効果のため左右でモードが異なり
運動の激しさが違います
ちなみにT−33やT−1の様な単発
ジェットの場合も、エンジンの回転影響で
左右の運動に差が出ます


これらは、意図しない運動でかつ
コントロール出来ません
昔は、ディッチングマヌーバーと言って
死ぬのを覚悟で使う、戦術の一つでした
共倒れとでも言いましょうか
2次対戦中の戦闘機は使った様です
いまでは戦術に故意に、これらの運動を使う人は
先ずいません
そんな低速アンコントロールに入れたら
追いかけてきてる敵は、オーバーシュートさせれますが
別の敵からミサイルが飛んできてしまいます

そこで最近はやっているのが
高迎え角制御です
なんたらコブラとか言うやつです

高迎え角での最大の欠点は
主翼が失速してることと
補助翼に対する動圧が少なく
飛行機を制御出来ないことです
そこで考え出されたのが
エンジンの可変ノズルです

エンジンの排気方向を変えて
機体を運動させるのです
しかしジェットエンジンは、サージマージンぎりぎりで
回っていますので
僅かにノズル面積を変えただけで
溶けてしまいます
この問題のために、まだ試験機のみで
実用機には可変ノズルの飛行機は有りません

また他に
スペースシャトルの様に
飛行機のいろいろな部分から
ジェットを吹き出して
姿勢を変えようと言う考えもありますが
これは現在、机上の論理です
でもハリヤーはやってるけど・・・・

どのような方法を使うとしても
ポストストール領域で
飛行機が制御出来れば
戦闘はかなり楽になります
高Gでぎりぎり回る必要がなくなります

敵とすれ違ったら
(FOX−1は無視)
(ステルスがあるから???????)
急減速して
旋回します
迎え角90度なら
敵に向きながら
飛行経路は変更しなくても良いんです
そしてFOX−2
楽勝です
空中戦の様相ががらりと変わります

これはαのみですが
βも制御できれば
直進しながら
ラダーを踏んで
機首だけ敵に向けてFOX−2
もっと楽です

もう空飛ぶ円盤の世界です

こんな飛行機が出てくる日も近いかも知れません


ちなみに
大きな迎え角でロールをうつと
パイロットにはヨーに見えます
だから個人的には
45度以上でのロールは
ラダーがいいな、後藤君
(ちょっと、内輪ねたでした)
ついでに増田さんご結婚おめでとう
今後は、後藤さんと呼びます

そーなんです
旦那は、新型戦闘機
奥さんは、新型ヘリ設計してるんです
そんなことより、新婚家庭の設計したら・・・・・・
(これまた内輪ねたでした、失礼)