ENGINE 2


飛行機用 ジェットエンジンは いろいろな工夫がされています
今回は ジェットエンジンの そのいろいろな 機能です


1 イグニッション


レシプロエンジンは 常に火花が 飛んでいます
まあ 不連続燃焼ですので しょうがないでしょう
また ディーゼルは 火花が飛びませんが・・・・・・・・

ジェットエンジンは エンジン始動時に プラグに火花が飛ぶだけです
エンジンがかかってしまえば 後は 連続燃焼でのために
プラグから火花は飛びません

ただし アフターバーナーは 物によっては 常に火花を出している場合もあります
また 回転数がIDLEより下がると フレームアウトしたと思って 自動的に火花を出すエンジンもあります


2 防氷装置


飛行機は 寒いところを飛行します
時には 氷結します
エンジンも 同じです

そのために 防氷装置が付いています
大体は エンジン先頭部から 暖かい空気を噴出して 
防氷します

この暖かい空気は エンジンのコンプレッサから 取ってきます
このため エンジン出力は低下しますが
氷が付いて エンジンのストールを発生させるより 良いでしょう

また 危険なのは 
エンジンに この氷が 吸い込まれることです
ですから 防氷装置は
エンジンに氷が付く前に 作動させることが重要です

氷がつぃているところで それを作動させると
故意に氷を エンジンに送り込むことになります


3 IDLE ロックアップ


IDLEの エンジン回転数が 落ちないことです
要するに IDLE回転数が 100%になって しまう事です
どんなに スロットルを絞っても 回転数が 落ちてこないので
減速出来なくなるのです

車で言えば
アクセルを離しても エンジンの回転数が下がらないのと同じです
もし この現象を知らずに パイロットが飛んだら パニックです
なにしろ 減速しようとしているのに エンジンが最大推力のままなのですから・・・

この現象は 超音速飛行の時に発生します
超音速では インテイク内が 衝撃波によって 圧縮されます
これは エンジンにとっては 都合の良いことなのです
特に 超音速で巡航する場合は 圧縮効率が上がって コンプレッサーが いらないぐらいです
これを応用したのが ラムジェットです

この状態で 急激にエンジン回転数を下げると
エンジンには 必要以上の空気が入ります
すると コンプレッサーが ストールします
特にファンエンジンの場合は ファンストールを起こして
それが伝染して タービンを溶かします

これの防止のために 超音速では エンジン回転が落ちないのです

では どうやって 超音速飛行から 亜音速飛行に移行するのでしょう
そのままMILPOWERで飛んでいれば
そのうち 減速します
すると 回転も落ちてきて さらに減速します
しかし 音速以上で
このために1分も待っていたら 
20kmや30km進んでしまいます

このため減速すると決心したら 直ぐに減速しなくてはいけません
このためには いろいろな方法がありますが
手っ取り早いのは スピードブレーキを開く事と思いますが
残念ながら スピードブレーキは 風圧に負けて そんなに開きません

次に 考えつくのは 速度エネルギーを高度エネルギーに変えることです
しかし 高度が上がると 音速は下がります
ですから同じ 計器速度でも高度が高い方が 音速出やすいのです
また 通常は50000feetで 高度制限されますので そんなに上昇出来ません

残る手段は 飛行機の抵抗を増やすことです
これには 誘導抵抗を使います
大きなGをかけて 旋回します
すると 巨大な抵抗が出来て 瞬時に減速します

まあ 本当は これら全てを やります
アフターバーナーを切って
スピードブレーキを広げて
高度を取って 急旋回に入れます

すると 数十秒で 遷音速領域に入って エンジンの減速が始まります


4 オート アクセラレイション


文字通り 勝手にエンジンが加速する事です

インテイク内の 空気の温度が上がると
コンプレッサーストールを 防止するために
IDLE回転数が 上がります
本来は 上記のロックアップと同じ目的ですが
問題は 地上で 前方機のブラストを 受けた時です

この場合は 急激にインテイク内に 高温の空気が入りますので
エンジンは ストールを防止しようと 回転が上がります
ひどいときには 100%まで上がりますので
もう 制御のしようがありません

これを解消するためには
CUT OFF しかありません

ですから 通常戦闘機は
タクシー中 お互いの 排気ガスを受けないように
前方機が 風下側を タクシーします

これによって オートアクセラレイションの防止と
FOD防止をしています

FOD:地面に落ちている物によっての エンジン損傷



5 運転範囲


ジェットエンジンにも 運転範囲があります
高度 速度で決まっています

もちろん G制限もありますが これは 通常 機体のG制限よりも大きいので
エンジンが壊れる前に 機体が壊れます

レシプロ機は どんな状態でも 空気があれば回りますが
ジェットはそうは行きません

先ずは 高度です
まあ これは だいたい80000feetが限界です
それ以上だと 空気が無いので 燃料が燃えません
またそれ以上の高度では 人間を保護する能力が 飛行機にはありませんので
まあ 妥当な高度でしょう

次に 速度です
これは意外に 狭いのです
特に 高々度低速領域では 先ずアフターバーナーが 着火しません
着火していても 消えてしまいます

もっと低速にすると エンジン本体の火も消えてしまいます

G制限は無いと言いましたが
−Gの制限はあります
これは エンジンそのものの制限ではなくて
燃料移送の制限です
通常15秒とか30秒とかになります

しかしもしこれ以上燃料が流れても
今度は 潤滑油の問題で制限されます
特に0Gはこの潤滑油の問題で禁止されています

また 特に具体的制限はありませんが
大雨の時に タクシー中 大量の水を 地上から吸い上げて 火が消えちゃう場合もあります